2026.09.21
EU|欧州委員会、子どものSNS利用を制限するKIDS法案を公表
2026年9月17日、欧州委員会は、オンライン上の未成年者の保護に関する規則案「EU KIDS法」(EU Keeping Internet Digital Spaces Accountable and Trustworthy Act)を公表しました。サービスが年齢に適合し、設計の段階から安全であることを、事業者の側が立証する仕組みへ転換することが柱です。フォン・デア・ライエン委員長は「KIDS法は立証責任を逆転させるものであり、安全であることを示すのはプラットフォームの側である」と述べています。13歳未満の子どもによるアカウントの開設を認めず、単独でアカウントを開設できる最低年齢をEU域内で15歳に統一します。対象はSNSや動画共有サービスにとどまらず、ビデオゲームプラットフォーム、AIチャットボット及びAIコンパニオン、アプリストアにも及びます。違反に対する制裁金は、全世界の年間売上高の最大6%です。
対象となるサービス
- リスクを伴う機能を有するソーシャルネットワーキング及び動画共有のプラットフォーム
- ビデオゲームプラットフォーム
- AIチャットボット及びAIコンパニオン
- アプリストア
- EU域内の月間平均利用者が4,500万人以上の超大規模オンラインプラットフォーム(VLOP)
年齢に応じた取扱い
- 13歳未満:ソーシャルメディアのアカウントを持てません。保護者のアカウントを通じ、保護者の管理下で動画を視聴することは可能とされています
- 13歳から14歳:保護者の監督下のアカウントとなり、保護者による管理機能が常時有効となります。連絡先の追加にも保護者の承認が必要です
- 15歳以上:サービスが安全性の要件を満たしていることを条件に、単独でのアカウント開設が認められます
年齢確認の方法
自己申告ではなく、独立した認証を受けた手段による年齢確認が求められます。EUの無償の年齢確認アプリや欧州デジタルIDウォレットが想定されており、「ゼロ知識証明」により、利用者を特定・追跡することなく年齢のみを確認する方式です。事業者が身分証明書そのものを取得することは認められません。加盟国は、親権を証明する無償の手段を少なくとも一つ提供しなければならないとされています。
設計上の義務
- 中断のない自動再生・無限スクロール、利用状況と無関係な通知、連続利用を途切れさせると不利益となる「ストリーク」、投稿・配信量に応じた報酬など、依存を誘う設計の禁止
- 推薦システムは、エンゲージメントではなく安全と精神的健康に最適化すること。利用者がフォローするコンテンツを優先し、パーソナライズのための追跡は既定で無効とすること。フィードの初期化手段の提供
- 見知らぬ相手からのメッセージやグループへの追加の制限、既定での配信(ライブストリーミング)の無効化、ダウンロード・スクリーンショットの既定での遮断
- AIコンパニオンについて、感情的な依存を生む人間関係の模倣の禁止、既定でのセッションをまたぐ会話履歴の引継ぎの禁止
執行と制裁
執行は、デジタルサービス法(DSA)及びAI法の既存の枠組みを用いて行われます。VLOP及びAIシステムは欧州委員会が直接監督し、その他の対象サービスはデジタルサービス調整官及び各国の市場監視当局が監督します。違反に対する制裁金は全世界の年間売上高の最大6%であり、欧州委員会が監督するサービスについては、30日以内の予備的認定、90日以内の最終決定という迅速な手続が適用されます。VLOPは、子どもに接触する前に遵守を示すことが求められ、自らの費用で独立した監査人の検証を受けた遵守計画を提出しなければなりません。また、規則の適用開始から6か月以内に、既存の利用者の年齢を確認し、年齢に満たない、又は年齢を確認できないアカウントを無効化する必要があります。
本規則案は提案の段階であり、今後、欧州議会及びEU理事会での審議に付されます。
参考情報
欧州委員会 通信ネットワーク・コンテンツ・技術総局(DG CNECT)「EU KIDS Act to restrict social media platforms’ access to children in the EU」
欧州委員会「The KIDS Act explained」
https://digital-strategy.ec.europa.eu/en/faqs/kids-act-explained
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