EU|ECHA、特定の六価クロム物質に関するREACH制限提案のコンサルテーションを開始

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EU|ECHA、特定の六価クロム物質に関するREACH制限提案のコンサルテーションを開始

REACH六価クロム制限案のコンサルテーション

2025年06月18日、欧州化学品庁(ECHA)は欧州委員会から作成要請を受けていた、REACH規則附属書17に特定の六価クロム物質を追加する制限提案についてコンサルテーションを開始しました。意見募集の期限は一次期限が09月18日、最終期限が12月18日に設定されています。

2種類の制限条件が提案されています。

対象物質

物質名 CAS No. 物質名 CAS No.
Chromium trioxide as well as any salt with a different stoichiometry and hydration degree 1333-82-0 Sodium chromate as well as any salt with a different stoichiometry and hydration degree 7775-11-3
Chromic acid 7738-94-5 Strontium chromate as well as any salt with a different stoichiometry and hydration degree 7789-06-2
Dichromic acid 13530-68-2 Barium chromate as well as any salt with a different stoichiometry and hydration degree 10294-40-3
Sodium dichromate as well as any salt with a different stoichiometry and hydration degree 10588-01-9 Dichromium tris(chromate) as well as any salt with a different stoichiometry and hydration degree 24613-89-6
Potassium dichromate as well as any salt with a different stoichiometry and hydration degree 7778-50-9 Potassium hydroxyoctaoxodizincate dichromate(1) as well as any salt with a different stoichiometry and hydration degree 11103-86-9
Ammonium dichromate as well as any salt with a different stoichiometry and hydration degree 7789-09-5 Pentazinc chromate octahydroxide as well as any salt with a different stoichiometry and hydration degree 49663-84-5
Potassium chromate as well as any salt with a different stoichiometry and hydration degree 7789-00-6    

注目すべき内容

2種類の制限条件

制限条件1(RO1)<提案文書表37参照> 制限条件2(RO2)<提案文書表38参照>

1.指定物質は、単独で、または混合物の成分としてはその濃度が0.01wt%以上で使用してはならない。

2.REACH 規則第3条(15)の定義による中間体としての使用については、段落1は適用されない。

3.適用除外として、サイト固有のCr(VI)排出量が、大気中への排出制限値2.5 kg/Cr(VI)/年、水への排出制限値15 kg Cr(VI)/年を下回る場合、以下の使用条件を満たせば、段落1は適用されない。

(i) 以下の場合のCr(VI)の職業暴露が、物質を使用する企業において5 μg Cr(VI)/m³(8時間加重平均)の限度値を下回る場合:

ーREACH規則第3条(2)の意義におけるCr(VI)含有混合物を調剤する場合
ー電気めっきにおいて、金属基材の表面にクロム層を沈着させるために電気分解溶液を使用する場合
ー塗料または下地塗料で物体をコーティングするための混合物の場合
ー不動態化、陽極酸化、変換被覆、クロム酸洗浄、エッチング、酸洗い、剥離、脱酸、脱錆、洗浄、粒界電気鋼の製造のためのシーリングおよび絶縁被覆を含む、電流を必要としない、あるいは低電流のその他の表面処理プロセスの場合
-コーティングに Cr(VI) を含む製品の機械加工の場合

(ii) 以下の場合の物質を使用する企業におけるクロム(VI)の職業暴露が、1 μg Cr(VI)/m³(8時間加重平均)の限界値以下である場合:

ー電気めっきにおいて、電解液を使用してプラスチック基材の表面にクロム層を沈着させる場合
ー光陰極の製造におけるアルカリ金属ディスペンサーとしての使用の場合
ー各種用途の冷却または加熱システムにおける腐食防止剤またはスケール防止剤としての使用の場合
ー各種化学物質の電解製造または鉱石処理用途における触媒または加工助剤としての使用の場合
ーマイクロ構造コンポーネント(フィルター、ふるい、グリッドなど)を製造するための UV リソグラフィプロセスにおける光増感剤としての使用の場合
ー使い捨て化学式飲酒検知器の色指示剤としての使用の場合
ー防衛分野用の火工組成物としての使用の場合

4.Cr(VI)への暴露につながる活動が厳格に分離されていない場合、段落3(i) および(ii)に記載された2つ以上の使用カテゴリーに該当する施設は、最も厳しい関連制限値を遵守しなければならない。

1.指定物質は、単独で、または混合物の成分としてはその濃度が0.01wt%以上で使用してはならない。

2.REACH 規則第3条(15)の定義による中間体としての使用については、段落1は適用されない。

3.適用除外として、サイト固有のCr(VI)排出量が、大気中への排出制限値0.25 kg/Cr(VI)/年、水への排出制限値1.5 kg Cr(VI)/年を下回る場合、以下の使用条件を満たせば、段落1は適用されない。

(i) 以下の場合のCr(VI)の職業暴露が、物質を使用する企業において5 μg Cr(VI)/m³(8時間加重平均)の限度値を下回る場合:

ーコーティングに Cr(VI) を含む機械加工品の場合

(ii) 以下の場合の物質を使用する企業におけるクロム(VI)の職業暴露が、1 μg Cr(VI)/m³(8時間加重平均)の限界値以下である場合:

ーREACH規則第3条(2)の意義におけるCr(VI)含有混合物を調剤する場合
ー電気めっきにおいて、金属基材の表面にクロム層を沈着させるために電気分解溶液を使用する場合

(iii) 以下の場合の物質を使用する企業におけるクロム(VI)の職業暴露が、0.5 μg Cr(VI)/m³(8時間加重平均)の限界値以下である場合:

ー電気めっきにおいて、電解液を使用してプラスチック基材の表面にクロム層を沈着させる場合
ー塗料または下地塗料で物体をコーティングするための混合物の場合
ー不動態化、陽極酸化、変換被覆、クロム酸洗浄、エッチング、酸洗い、剥離、脱酸、脱錆、洗浄、粒界電気鋼の製造のためのシーリングおよび絶縁被覆を含む、電流を必要としない、あるいは低電流のその他の表面処理プロセスの場合
ー光陰極の製造におけるアルカリ金属ディスペンサーとしての使用の場合
ー各種用途の冷却または加熱システムにおける腐食防止剤またはスケール防止剤としての使用の場合
ー各種化学物質の電解製造または鉱石処理用途における触媒または加工助剤としての使用の場合
ーマイクロ構造コンポーネント(フィルター、ふるい、グリッドなど)を製造するための UV リソグラフィプロセスにおける光増感剤としての使用の場合
ー使い捨て化学式飲酒検知器の色指示剤としての使用の場合
ー防衛分野用の火工組成物としての使用の場合

4.Cr(VI)への暴露につながる活動が厳格に分離されていない場合、段落3(i)、(ii)および(iii)に記載された2つ以上の使用カテゴリーに該当する施設は、最も厳しい関連制限値を遵守しなければならない。

主な違いは?

■ 2つの制限オプションの主な違いは、段落1からの適用除外条件を定める内容のうち、各暴露限界値や排出量閾値についての違いが主となっています。

■ 2つの制限案は、提案文書に対するコンサルテーションの終了後、ECHAのリスク評価委員会(RAC)や社会経済分析委員会(SEAC)の検討を経て、1つの欧州委員会提案として採択され、欧州議会やEU理事会の検討へと続く見込みです。

参考情報

■ 関連情報ページ/ECHA

REACH規則の制限とは?

REACH規則の規制の中で最も厳しい規制内容がこの「制限」に係わる内容である。物質の製造、使用または上市から生じるヒト健康または環境に対する許容できないリスクがあり、様々な用途へのリスク評価と社会経済便益の評価に基づいて、EU全体で対処する必要があると判断された物質を規制する制度となっている。この制限対象物質はREACH規則の附属書17に収載され、別途欧州化学品庁(ECHA)がウェブサイト上でも管理している。

制限対象物質の更新

新たに制限対象物質が追加されたり、更新されたりする際には、後の規制化プロセスで見るように、改正規則として欧州官報で公布される。特定され、リストに明記される情報には各物質または物質群ごとに、対象となる物質(群)の範囲詳細と制限条件が含まれる。制限条件は、一般的な規制条件のほか、必要に応じて特定用途または特定状況下での規制条件、猶予期間を設ける項目、適用除外項目、その制限の項目に関係する定義などの情報が含まれる。

対象となる物質(群)の詳細 制限条件

(No.) (対象)

EC No.~

CAS No.~

(主となる制限条件)

(特定用途または特定状況下での規制条件)

(猶予期間を設ける項目)

(適用除外項目)

(その制限の項目に関係する定義)

制限対象物質リストのコンプライアンス対応

制限条件の遵守

附属書XVIIに収載されている物質については、同箇所に記載されている制限条件を遵守しなければならない(第67条)。注意が必要なのは、それが物質単体か、混合物か、それとも成形品も対象なのかはそれぞれの条件で異なるため、一つ一つ個別に確認しなければならないことである。加えて、その制限の対象となる行為も、製造なのか、使用なのか、上市なのか、あるいは情報伝達やラベル表示、訓練・教育が必要なのか、などこれも個別に異なっているため、やはりその物質(群)ごとに個別に制限条件を確認しなければならない。個別の制限条件ごとに、細かく遵守期限が決められていることが多い点にも注意しておきたい。

安全データシート(SDS)の更新と提供

制限が課された場合には、その物質およびその物質を含む混合物の受領者(過去12ヶ月以内)に、更新したSDSを遅滞なく、無償で提供しなければならない(第31条)。

SDSが必要とされない物質・混合物の受領者への情報伝達

SDSが必要とされない物質および混合物の受領者に対しても、制限内容が追加・更新された後、制限の詳細情報を遅滞なく、無償で提供しなければならない。(第32条)。

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