中国医薬品・健康食品輸出入商会が発表した「RCEP化粧品市場調査報告書(ASEAN編)」によると、2022年における中国とASEANの化粧品貿易額は12.3億米ドルであり、そのうち中国からASEAN地域への輸出額は9.2億米ドル、これは中国の化粧品輸出総額の16.1%に相当します。
ASEANは、世界の化粧品業界が注力すべき「未来市場」として位置づけられています。2025年までに市場規模は3,000億米ドルを超えると予測されており、年平均成長率はすでに飽和状態にある欧米市場を上回るとされています。したがって、ASEANは中国化粧品産業の「海外進出」の重要な市場となります。
では、ASEANの化粧品規制にはどのような要求があるのでしょうか? 中国の化粧品をASEANに輸出するためには、どのようなコンプライアンス義務を履行する必要があるのでしょうか? REACH24Hが整理した内容を見ていきましょう。
ASEAN化粧品規制の背景
東南アジア諸国連合(Association of Southeast Asian Nations, ASEAN)は、1967年に設立されました。
現在、11か国がメンバーであり、マレーシア、タイ、ベトナム、ミャンマー、カンボジア、ラオス、シンガポール、インドネシア、フィリピン、ブルネイ、そして東ティモール(加盟手続き中)です。
2003年9月3日、ASEAN各国は「ASEAN化粧品統一規則に関する枠組み」(Agreement on the ASEAN Harmonised Cosmetic Regulatory Scheme, AHCRS)に署名しました。この文書には「ASEAN化粧品規則」(ASEAN Cosmetic Directive, ACD)が含まれています。
「ASEAN化粧品統一規則に関する枠組み」および「ASEAN化粧品規則」は、ASEAN内で販売される化粧品の安全性、品質、効果を確保するとともに、加盟国間の化粧品貿易における制限を排除することを目的としています。
2008年1月1日より、ASEAN各国は「ASEAN化粧品規則」を全面的に実施しました。
「ASEAN化粧品規則」では、原料の使用制限や禁用、使用可能な着色料、保存料、防腐剤、防曇剤などの規定が示されています。また、化粧品の分類、ラベル表示、宣伝、製品通知(notification)、製品情報ファイル(PIF)に関する具体的な要件も記載されています。
現在、ASEANの化粧品は統一的な規制が実施されていないため、製品が各国に上市される前に、ASEAN各国で個別に製品通知を行う必要があります。具体的な規制は各国の化粧品管理機関が担当しています。
企業のコンプライアンス義務
化粧品に該当するかの確認
ASEANにおける化粧品の定義は、人体の外部器官(皮膚、毛髪、爪、唇、外陰部)または口腔内の歯や口腔粘膜に接触し、清潔、香り付け、外見の改善、体臭の改善、または体の健康状態を保持することを目的とする物質や製品です。
製品通知の際には、各国の化粧品管理機関がその製品が化粧品に該当するかどうかを審査します。
化粧品の配合要件
化粧品の配合設計は、「ASEAN化粧品規則」の要件に従う必要があります。
中には、添付資料II(禁用リスト)、添付資料III(制限リスト)、添付資料IV(使用可能な着色料)、添付資料VI(使用可能な保存料)、添付資料VII(使用可能な防晒剤)に関する原料の要件が含まれます。
ただし、一部の国ではACDの一部の原料管理要件が適用されない場合や、独自の追加的な原料管理要件があるため、配合審査時には各国の原料管理リストや規制要件を考慮する必要があります。
化粧品のラベル表示要件
「ASEAN化粧品規則」に基づき、ラベルに必須表示事項があります。これらは必ず遵守しなければなりません。
一部の国ではラベルに記載する内容について、現地の言語を使用することが求められる場合もあります。例えば、ベトナム、タイ、インドネシアなどです。
製品通知
ASEAN諸国では、製品通知はオンラインシステムを通じて提出され、行政手数料が必要です。
各国で求められる資料は異なりますが、一般的には製造業者/ブランド側の情報、国内の申請者情報、製品情報などが含まれます。
情報が提出された後、各国の規制機関は簡易な審査を行い、審査結果として承認、補足修正、または不承認のフィードバックを提供します。規制機関から発行される通報許可書は、製品が現地の税関に輸入される際に提出する必要があります。
製品通知は現地の登録企業によって行われ、通知保有者としてその企業が責任を負います。一部の国では、通報保有者が製品の品質と安全性に対して責任を持つことが求められます。
欧州連合(EU)では一度の通報で済むのに対し、ASEANでは各製品が上市される国ごとに個別に通報する必要があります。したがって、製品が輸入される前に、各国の通知保有者を確認する必要があります。
また、製品通知には有効期限があり、有効期限が切れた後も販売を継続する場合は、通報の更新を事前に行う必要があります。同様に、製造業者情報や製品情報に変更があった場合も、オンラインシステムで通報情報の変更を行う必要があります。
製品宣伝と広告
ASEAN地域では、化粧品の宣伝は製品の用途に限られていますが、製品の宣伝は事前審査がなく、上市後の監視という方法で行います。誇張表現や医療効果を宣伝することは罰則を受けるリスクがあります。
また、いくつかの国では化粧品の広告掲載について事前登録が求められます。例えば、ベトナム、タイ、インドネシアなどです。
製品情報ファイル
EUと同様に、企業は事前に製品情報ファイル(PIF)を準備し、正式な実地検査の際に提出する必要があります。
製品情報ファイルには、製品の基本情報、原料データ、配合情報、製造と品質管理情報、製品安定性情報、検査報告書、安全評価報告書、製品宣伝支持文書などが含まれます。
安全評価報告書は、資格を持った安全評価士によって発行される必要があります。
Halal認証
Halal認証を取得した製品は、外装にHalalマークを表示することができ、ムスリムの消費者からの認知を得るのに役立ちます。
各国にはそれぞれのハラール認証を担当する指定機関があります。企業がハラール認証を海外機関で取得している場合、その機関が公式に認められた海外機関リストに含まれているかどうかを確認する必要があります。
REACH24Hは、東南アジアに輸出を行う化粧品企業に対して、東南アジアの規制要求を十分に理解し、各輸出先の規制の違いに対応できるよう、適切な準備を行うことを強く推奨します。今後、東南アジア化粧品規制の核心となる内容をさらに詳しく紹介いたしますので、ぜひご注目ください。
転載元
REACH24Hコンサルティンググループ
■ 転載元:REACH24Hコンサルティンググループ (URL: https://reach24h.com/jp/)