化学兵器禁止条約(CWC)遵守を確実にするため、中国は『監視制御化学品管理条例(国務院令第190号)』及び『監視制御化学品管理条例実施細則』実施細則(以下、「実施細則」という)を公布しました。そして、監視制御化学品の製造・使用・取扱い・輸出入企業は、実施細則の規定に従わなければなりません。
本稿では、監視制御化学品を輸出入する際の注意点を次のようにまとめています。
監視制御化学品とは
実施細則の第56条に基づき、監視制御化学品は以下の4類に分類できます。
- 第一類:化学兵器として使用できる化学品
- 第二類:化学兵器製造の前駆物質として使用できる化学品
- 第三類:化学兵器製造の主原料として使用できる化学品
- 第四類:爆発物と純粋な炭化水素以外の特定有機化学品
上記の4類の化学品を所管する中国工業と情報化部(MIIT)は、『各類の監視化学品名録(2020年版)』、『新規追加された第三類の監視制御化学品名録』、及び『一部の第四類の監視制御化学品名録(2019年版)インデックス』を発表し、監視制御化学品を指定・公布します。
輸出(入)許可申請の要否
中国においては、第四類以外の監視制御化学品を輸出(入)するにあたり、許可の申請が必要となります。貨物の輸出(入)企業は、次の二つの方法を通じて許可取得の必要性があるかどうかを確認できます。
- 貨物(純物質と混合物)の組成成分が、『各類の監視化学品名録(2020年版)』(第四類を除く)或いは『新規追加された第三類の監視制御化学品名録』に収録されているかどうかをチェック;
- 輸出入貨物(純物質と一部の混合物)のHSコードが、『軍民両用品目と技術輸出入許可証管理目録(2022)』(*)に記載されているかどうかををチェック。
*中国商務部と税関総署は2021年12月31日、『両用物項および技術輸出入許可証管理弁法』に基づき策定した『軍民両用品目と技術輸出入許可証管理目録』の更新版(2022年版)を発行しました。当該目録には、第四類以外の監視制御化学品が全て収録されています。
そのため、HSコードと本目録に記載の番号と比較することで、対象貨物が輸出(入)許可を申請する必要があるのかを確認できます。
輸出(入)許可申請が必要な場合
1.許可申請時の必要書類
輸出許可申請 | 輸入許可申請 |
1.監視制御化学品の輸出申請書; 2.輸入国政府または委託機関が発行する保証書(化学品の名称・量・最終用途・最終的に使用する者の名称と住所が記載); 3.輸出契約書の原本。 |
1.監視制御化学品の輸入申請書; 2.法人又は個人事業主の輸入申請書(地方の工業と情報化主管部門の承認が必要); 3.輸入契約書の原本。 |
2.申請手続きの流れ
3.許可後の義務
- 指定事業者は、第一類/第二類/第三類の監視制御化学品の輸出(入)に関するデータを適時にMIITに申告し、その関連活動の記録を少なくとも3年保存すること;
- 監視制御化学品の製造、使用または輸出(入)を行う企業は、「全国監視制御化学品統計書」を届け出ること。
4.対応ポイント
- 企業は輸出(入)活動を行う前に、自社製品が『軍民両用品目と技術輸出入許可証管理目録(2022)』収載物質を含有するかどうかを確認;
- 輸出(入)許可申請が必要とされる場合は、通関を順調に終わらせるために、事前に申請書類を作成し、貨物が到着する前に指定事業者が許可を取得できるようにすること。
ご注意:監視制御化学品が一定濃度以下の場合、データ申告及び輸出入許可は免除されます。しかし、関連する具体的な規制はまだ公布されていません。そのため、濃度にかかわらず、輸出(入)許可を申請することをお勧めです。
転載元
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