宇宙に係わる政策・規制
宇宙に関係する法令を考える際、まず初めに抑えておかなければならないのは、1966年12月に採択され、翌年発効した「月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約」、通称「宇宙条約」です。このうち、第1条から第3条までが特に把握しておきたい部分として以下に取り上げます。
第1条月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用は、すべての国の利益のために、その経済的又は科学的発展の程度にかかわりなく行われるものであり、全人類に認められる活動分野である。月その他の天体を含む宇宙空間は、すべての国がいかなる種類の差別もなく、平等の基礎に立ち、かつ、国際法に従って、自由に探査し及び利用できるものとし、また天体のすべての地域への立入は、自由である。月その他の天体を含む宇宙空間における科学的調査は、自由であり、また、諸国はこの調査における国際協力を容易にし、かつ、奨励するものとする。
第2条月その他の天体を含む宇宙空間は、主権の主張、使用若しくは占拠又はその他のいかなる手段によっても国家による取得の対象とはならない。
第3条条約の当事国は、国際連合憲章を含む国際法に従って、国際の平和及び安全の維持並びに国際間の協力及び理解の促進のために、月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における活動を行わなけばならない。
宇宙条約
このほかにも様々な条約や協定がありますが、企業活動に(間接的にでも)関係しうるものとしては、「宇宙空間に打ち上げられた物体の登録に関する条約」、「月その他の天体における国家活動を律する協定」などがあります。また、国連原則などの形でも存在しており、「宇宙空間の探査と利用における国家活動を律する法原則に関する宣言」、「宇宙空間における原子力電源の使用に関する原則」、「宇宙活動に関する国内法制への推奨事項」、「静止軌道の利用に関する諸側面」などが確認されています。とはいえ、その内容の大半が国家を対象とした内容であるため、実際には、宇宙開発企業等は各国国内法を注視し、各国政府と連携を取りながら取り組む形となります。
宇宙政策
国際条約を背景として、各国がそれぞれの宇宙政策を策定しています。その政策に基づき、関連法令が整備されている構造になっています。日本では「宇宙基本計画」がその政策に相当し、宇宙基本法をはじめ、人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律や、2021年6月には「宇宙資源の探査及び開発に関する事業活動の促進に関する法律(宇宙資源法)」も公布され、許可を得て行った事業活動において採掘等をした宇宙資源については、採掘等をした者が所有権を取得する旨が明記され、民間事業者による宇宙資源の探査及び開発に関する事業活動の推進がより一層図られることなりました。
国別の宇宙政策
海外の例を見ると、EUでは規則の形で「EU宇宙計画2021-2027(Regulation (EU) 2021/696 )」が、米国では「国家宇宙政策(National Space Policy)」が、中国では「中国的航天」が策定されています。
日本の要件例
2021年12月16日、「宇宙資源の探査及び開発に関する事業活動の促進に関する法律施行規則」が公布されました。「宇宙資源の探査及び開発に関する事業活動の促進に関する法律」の施行日(2021年12月23日)から施行されます。
主な内容
■ 「宇宙資源の探査及び開発」の定義
法では「宇宙資源の探査及び開発」は次のいずれかに掲げる活動とされています。
イ 宇宙資源の採掘、採取その他これに類するものとして内閣府令で定める活動(ロ及び第五条において「採掘等」という。)に資する宇宙資源の存在状況の調査
ロ 宇宙資源の採掘等及びこれに付随する加工、保管その他内閣府令で定める行為
このうち、ロ号の「その他内閣府令で定める行為」について、規則では「宇宙資源の輸送」と規定しています。
■ 宇宙資源探査・開発の許可の提出書類
法第三条「人工衛星の管理に係わる許可の特例」第一項に規定する宇宙資源の探査及び開発の許可を受けようとする者は、「人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律(宇宙活動法)」第二十条第二項に規定する申請書を提出する際に、併せて様式第一の事業活動計画を提出しなければならない。様式は規則に記載されています。
また、法第三条「人工衛星の管理に係わる許可の特例」で提出を求められている事業計画の内容のうち、「六 その他内閣府令で定める事項」の詳細について、規則では「同項第一号に規定する宇宙資源の探査及び開発に関する事業活動の資金計画及び実施体制」と定めています。
注目記事
調査相談
【例】
■ 事業全般(会社法、登記など)
■ 税務・会計(法人税、所得税、税額控除制度など)
■ 商取引慣行(消費者法、独占禁止、不正競争防止、金融商品取引、個人情報の保護、不正アクセス防止、文書管理、広告、不正表示防止など)
■ 輸出入・貿易(対外貿易、化学物質、自動車、機械、無線機器およびそれらの部材、食品、医薬品、など)
■ 製品安全(消費者製品安全、機械・設備安全、電気製品安全、ガスボンベ・ガスタンク安全、繊維製品、品質表示、子ども用製品安全など)
■ 雇用・労働(労働基準、労働契約、男女平等(ジェンダー)、健康診断など)
■ 資源採掘・管理・処理(資源採掘、輸送、加工・処理、リサイクル、廃棄物管理など)
■ 電力・ガス・水道(電力取引、調達、管理、ガス事業、パイプライン設備、上水道、下水道、飲料水など)
■ 化学物質(取り扱い、保管、貯蔵、廃棄、混合物分類、有害物質規制/含有規制、放射線管理など)
■ 農薬・肥料(許認可、閾値、ラベル、保管管理など)
■ 食品(輸出入許認可、食品添加物、食品接触材料、分析、表示など)
■ 医療(事業の許認可、医薬品管理・販売・管理、表示など)
■ 消防・危険物(火災防止、危険物の保管、取り扱い、建物・設備、行政への届出、輸送など)
■ 建物(建築基準、設備・施設基準、許認可、防火規定など)
■ 労働安全衛生(作業者安全、特定作業や特定設備、特定物質に係わる規定、健康診断、リスクアセスメント、ばく露など)
■ 環境(温暖化対策、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、地下水汚染、エネルギー効率、騒音、オゾン層破壊物質、容器包装、リサイクル、廃棄物など)
■ 循環経済・資源供給(サーキュラーエコノミー、資源管理、重要な原材料/重要鉱物、再生プラスチックなど)
■ 先端技術(人工知能、DX、ドローン、エコカーおよび関連電池、データ管理・取り扱い、サイバーセキュリディ など)
■ 新領域(宇宙、衛星 など)
■ 特許・商標(特許、意匠、商標、著作権など)
■ 罰則・執行(執行プログラム、刑法、罰則規定および事例調査 など)
■ 国際条約関連(POPs条約、バーゼル条約、PIC条約、水銀条約、SOLAS条約など)
■ 調査相談は下記無料相談フォームまたは本サイトの問い合わせフォームよりお知らせください。
調査相談はこちら
概要調査、詳細調査、比較調査、個別の和訳、定期報告調査、年間コンサルなど
様々な調査に柔軟に対応可能でございます。
- ●●の詳細調査/定期報告調査
- ●●の他国(複数)における規制状況調査
- 細かな質問への適宜対応が可能な年間相談サービス
- 世界複数ヵ国における●●の比較調査 など
無料相談フォーム
無料メールマガジンの申込み|
希望の情報分野を選択可能
登録はこちらからメールアドレスを入力してお申込みください。
「登録」クリック後、購読したいメールマガジンの種類を選択いただけます。
★配信頻度|各メルマガについて月に1~2回
(不定期)
メルマガ|全般(全分野)
当社で扱う情報分野全般の注目規制動向の情報にご関心がある方はこちら。
メルマガ|化学物質
化学物質分野の注目規制動向の情報にご関心がある方はこちら。一般・工業用化学品や軍事用途の化学品、食品添加物や農薬、医薬品などが対象です。
メルマガ|環境
環境分野の注目規制動向の情報にご関心がある方はこちら。大気・水・土壌汚染のほか、地球温暖化やオゾン層破壊、騒音・振動・悪臭などに対する規制が対象です。
メルマガ|先端技術
先端技術分野の注目規制動向の情報にご関心がある方はこちら。当社で言う先端技術分野とは、人工知能(AI)、仮想・拡張現実(VR・AR)、自動運転、エコカー、デジタルトランスフォーメーション(DX)などをいいます。
メルマガ|新領域
新領域分野の注目規制動向の情報にご関心がある方はこちら。当社でいう新領域分野とは、宇宙、海底・深海底、大深度地下などをいいます。