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世界各国の法形成過程 法形成過程|フランス

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本ページでは、フランスの法形成過程の要点について整理しています。
段階、項目、主体、内容、そして期限があるものについては期限の情報も整理しています。
URLを含む根拠法令や根拠条項の情報は、有償となりますので、関心がある場合には指定のリンクよりお進みください。
※下位法令は代表的な種類のものを取り上げて紹介しています。網羅的な把握についてはお問い合わせください。

【調査・確認時期:2023年下半期】

上位法/Loi(法律)

段落 項目 主体 内容 期限 根拠法 根拠条項
1 法案提出(dépôt du texte) 政府(首相 Premier ministre) 政府提出法案(projet de loi)。
国務院(Conseil d’Etat)に諮問。法案が提出された院の事務局の議長会議(Conférence des présidents)で2009年4月15日組織法(loi organique du 15 avril 2009)に定める条件に合致していないと判断された場合(提出から10日以内)には議事日程に乗せることはできない。
政府と議長会議との間に相違がある場合、首相または関係の議長が憲法理事会(Conseil constitutionnel)に付託し、 8日以内に判断が下される。
  ご関心がある場合はこちらより
    議員(国民議会議員députéまたは上院議員sénateur) 議員提出法案(proposition de loi)。1人以上の議員が提出可能。公的資源の減少や、公的負担の創設 /増大を伴わないことが条件。財政面での受理可能性は各院事務局が確認。
各院議長は、法案起草者が反対しない限りで、法案を国務院に諮問できる。
 
      なお、予算法案と社会保障財源法案は、国民議会に提出。
地方自治体組織を主たる目的とする法案、国外に設置されるフランス代表機関に関する法案は上院に提出。
 
2 議会での審議
両院間の回付(Navette)
議会での審議
両院間の回付(Navette)
   
  委員会審議 各院の委員会(Commission)    
  議事日程(order du jour)への登録      
  公開審議(読会) 本会議(Séance publique) 1. 一般審議(法案説明等。手続に関する動議(可決されれば法案廃止/委員会への差し戻しあり)
2. 詳細審議(各条文の審議:修正案の提示可。原則として政府または担当委員会によるもの以外は審議開始の3営業日前17時までに提出。予算法案には特定の期限あり)
3. 採決
 
  他院への送致   他方の院で審議・採決するため法案を送付。修正が付されれば、その部分につき他方の院で再度審議、これを繰り返す。一方の院が採択した法文が他方の院で修正なしで採択された時点(=両院が一致)でnavetteは終了。  
    同数合同委員会(commission mixte paritaire, CMP) 各院2回(政府が迅速手続を事前に開始している場合は1回)の読会を終えると同数合同委員会(commission mixte paritaire, CMP)を調停のため組織
– 合意案に達した場合:政府が議会に可決を求めて提出し、両院で(修正があればそれを含め)可決=成功
政府がその案に反対であればそれをせずにnavetteを再開。
– 合意案がいずれかの議会で否決。CMP案への修正が他院で否決。
– 合意案に達せず。
失敗の場合、国民議会で新たな読会、上院で新たな読会、その後国民議会で最終読会
 
3 審署(Promulgation) 大統領、首相、関係閣僚 採択された法律が内閣官房に送付され、大統領が審署。首相・関係閣僚が副署。
ただし、審署期間の満了前に、大統領は、法律全体または一部条項について議会に再審議を求めることができる
送付を受けてから15日以内
4 公布(Publication)   共和国官報にて公布  
5 施行   定めのない場合は公示の翌日。  
      国際的な約束の批准・承認に関する法案(上院規則47条)、憲法38条のオルドナンスの授権や追認の手続の場合は特定の手続規定がある。  

下位法令/オルドナンス(Ordonnance)

段落 項目 主体 内容 期限 根拠法 根拠条項
1 授権 議会、政府 政府は、予定された政策の実施のため、通常は法律事項に属する措置を、議会による授権法律(lois d’habilitation)に基づき、一定の期間に限ってオルドナンスで定めることの承認を議会に求めることができる。   ご関心がある場合はこちらより
2 審議 政府 閣議にて審議  
3 諮問 国務院等    
4 署名 大統領、首相、閣僚 大統領が署名、首相・担当閣僚が連署。  
5 公布・施行   官報で公布、特に定めがなければ公布翌日に発効  
6 追認 議会 議会による追認のための政府提出法案(projet de loi de ratification)が授権法律に定められた期間内に提出され、追認されると、オルドナンスが法律としての価値を取得する。
定められた期間が過ぎても追認されていないければ、オルドナンスは失効する。
 

下位法令/命令(règlement)

段落 項目 主体 内容 期限 根拠法 根拠条項
  デクレ(décret)   執行権(大統領または首相)による、一方的行政行為   ご関心がある場合はこちらより
1 起草 大臣等    
2 審議 閣議 閣議デクレ(décret du Conseil des ministres)の場合  
3 諮問 国務院 国務院デクレ(décret en Conseil d’État)の場合  
4 署名 大統領 閣議デクレの場合  
    首相 国務院デクレ/単純デクレ(décret simple)の場合  
    関係大臣(場合により副署)    
5 公布・施行   官報にて公布、特に定めがなければ公布翌日に発効  
         
  アレテ(arrêté)   行政権による命令・処分・規則の総称。一方的な行政行為。
デクレ・法律の執行のため、または官公署の長(chef de service)の効力による
 
1 起草 大臣、(地域圏または県の)知事・議会議長、市町村長等
事項により大統領、首相等
   
2 署名 上記に準ずる    
3 公布・施行   官報で公布、特に定めがなければ公布翌日に発効  

備考

フランスには消費者法典や環境法典など、分野毎に法律集(法典、コード)があり、法律や政令はその規定を改正する形で定められます。
実際に法典を確認すると、それぞれの条項の「状態」を示す印を見つけることができます。
略語表記で示されるこれらを判別することで、その条項が改正法令と関係してどのような状態にあるのか、読み取ることができます。

略語

原語

意味

V

Vigueur

その時点で適用されている条項。

VT

Vigueur avec terme

その時点で適用されているが、その期限が決定されており、新たな状態(改定または廃止)に移行が予定されている条項。

VD

Vigueur différée

それ以降の時点で発効する予定の条項。

Ab

Abrogé

官報に掲載された法令により明示的に廃止されたことにより、効力を失った条項。

A

Annulé

国務院決定により無効とされた条項。

D

Disjoint

法典から「分離」された条項。該当の規定は適用されなくなっている。撤回は最終的とは限らず、新たな法令で再度制定されることもある。

M

Modifié

文言や全内容の修正、句読法、置換、廃止の対象となる条項。いわゆる「改定」版が作成されることになる。

MMN

Modifié mort-né

発効のため決定された日までに改定または廃止される条項。一度も法的に存在しなかったとみなされる。

P

Périmé

黙示的廃止の対象となる条項。

T

Transféré

その規定が他の条項番号となって引き継がれる条項。

※根拠情報はお問い合わせください。

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