本ページでは、韓国の法形成過程の要点について整理しています。
段階、項目、主体、内容、そして期限があるものについては期限の情報も整理しています。
URLを含む根拠法令や根拠条項の情報は、有償となりますので、関心がある場合には指定のリンクよりお進みください。
※下位法令は代表的な種類のものを取り上げて紹介しています。網羅的な把握についてはお問い合わせください。
【調査・確認時期:2023年上半期】
上位法/法律
韓国において、法律の形成過程については政府立案の場合と議員立案の場合の2通りがあります。
政府立案
段落 | 項目 | 主体 | 内容 | 期限 | 根拠法 | 根拠条項 |
1 | 政府立法計画推進指針の通知 | 法制処長 | 毎年、政府立法計画推進指針を設け、中央行政機関の長に通知する。 | 毎年11月30日まで | ご関心がある場合はこちらより | |
2 | 立法計画策定、提出 | 中央行政機関の長 | 中央行政機関の長は、年度ごとに立法の必要性、内容、日程、予想される問題点などを含む立法計画を樹立、法制処に提出する。 | 毎年1月15日まで | ||
3 | 立法計画を調整、国務会議へ報告 | 法制処長 | 政府全体の立法推進スケジュールと重複・相反する事項を調整する。 | 毎年3月中 | ||
4 | 立法計画を国民へ通知 | 法制処長 | 官報に告示し、インターネットなどを通じて国民へ通知しなければならない。 | - | ||
5 | 法案の立案 | 主管機関 | 専門研究機関による調査・研究、政策推進チームなどで議論、検討、整理し、具体化、規範化する。専門家による「法律安基礎委員会」を構成することもある。 | 約30~60日 | ||
6 | 関係機関と協議 | 主管機関と関係機関 | 発生する可能性のある異見を事前に調整するため関係機関と協議する。原則10日以上協議が必要。 ①公共料金、手数料、物価関連:企画財政部 ②政府人事・組織関連:行政安全部 ③地方自治体の所管事項:行政安全部 ④書式、定期報告関連:行政安全部 ⑤会計関係法案:監査院 ⑥ その他政府組織法上、他の省庁の固有業務に関する事項:関連省庁 ⑦予算関連:企画予算処、会計関連:財政経済部 等 経済関係省庁で提案する法案は、経済関係省庁の長官又は次官等からそれぞれ構成される経済大臣会議及び経済次官会議を順次に経ることにより、経済政策に関する関連省庁間の十分な協議を行う。 |
約30~60日 | ||
7 | 党政協議 | 各部・処・庁及び委員会の長 | 政策効果を高め、国会での円滑な立法推進を行うため、与党(場合によって野党も)と協議する。 | |||
8 | 立法予告 | 主管機関 | 国民の権利・義務又は日常生活と密接な関連のある法案の場合、立法趣旨や主な内容を官報、メディア、インターネットなどを通じて広く国民に知らせなければならない。 | 40日以上 (自治法規は20日以上) |
||
9 | 規制審査 | 主管機関の長 | 法案が規制等の場合、規制による影響の分析書、自主審査による意見などを添付し、規制改革委員会で規制審査を受ける。 | 約15~20日 | ||
10 | 法制処審査 | 法制処 | 法案の文面、体系などの形式的な項目や、憲法理念及び上位法の違反有無、他法令との重複・衝突の有無、立法内容の適法性などを審査、原案を修正・補完する。より忠実で公正な審査のため、法律案と重要な下位法令案については、処長または次長が駐在し、局長・法制審議官および法制官などが参加する法令案合同審査会議を経る。 | 約20~30日 | ||
11 | 次官会議、国務会議で審議 | 次官会議、国務会議 | 次官会議及び国務会議にて審議する。次官会議は国務会議議案の重要事項を事前に審議するが、緊急の場合には次官会議を省略し、国務会議に上程し審議することができる。 | 約7~15日 | ||
12 | 大統領の裁可、国会提出 | 大統領、法制処 | 国務会議の審議を終えた法案に大統領が署名し、法制処で遅滞なく大統領名義で国会に提出する。 | 約7~10日 | ||
13 | 国会審議・議決 | 国会 | 国会議長が本会議に報告後、所管常任委員会に回付する。所管常任委員会で法案を審査し、必要に応じて公聴会を開催。所管常任委員会全体会議の議決を経て、法案の文言と体系審査のため、法制司法委員会に回付される。法制司法委員会で精査された法律案は、再度国会本会議に回付される。 | 約30~60日 | ||
14 | 公布案を政府移送 | 国会 | 国会本会議を通過した法案は、公布のため政府に移送される。 | |||
15 | 国務会議に上程・審議 | 法制処、国務会議 | 法制処は国務会議の上程案件作成要領に従い法律公布案を作成し、国務会議に上程。国務会議の審議後に大統領が署名し、国務総理及び関係国務委員が署名する。 ※大統領は国会から移送された法案に異議があるときは、移送後15日以内に異議書をつけて国会に還付し、再議を求めることができる。 再議要求された法案は、国会で再議に付した結果、在籍議員過半数の出席と出席議員の3分の2以上の賛成で再度同じ議決をすれば法律として確定し、政府に移送された後は大統領が遅滞なく公布 しなければならない。 |
約5日 | ||
16 | 公布 | 大統領 | 官報に掲載、公布され、法律として成立する。 | 約3~4日 |
※ 大統領令は12番の大統領裁可後に公布
※ 総理令は10番の法制処審査後に公布
※ 当該調査・確認期間の確認では、政府立法支援センターの情報に基づく整理となっています。
議員立案
段落 | 項目 | 主体 | 内容 | 期限 | 根拠法 | 根拠条項 |
1 | 立法推進準備 | 議員、政党、国会の委員会 | 立法推進者である議員個人または政党は、政党内の政策機関の決定、政党指導部の指示で立法を推進する。研究員及び関連団体等が設けた法律草案を議員を通じて提出することもある。この段階で、専門家や国民を対象に政策セミナー及び公聴会などを開催することがある。さらに国会の委員会からも法案発議を行うことができる。(委員会による場合、以下段階の委員会への回付は省略) | ― | ご関心がある場合はこちらより | |
2 | 法案作成依頼 | 議員、政党、国会の委員会 | 外部の法制専門家や、国会内にある法制支援のための法制室に法案の基礎作成を依頼する。 | ― | ||
3 | 法案作成 | 法制専門家、国会法制室 | 法案の基礎を作成する。法制室には法制業務を専門とする法制官(契約弁護士・博士を含む)などが配置され、議員発議の法案に対する法制支援と各種法制資料を提供する役割を担っている。法制官などは関連法律を全般的に検討するだけでなく、外国の立法例、専門家の意見などを収集し、法案に反映する。作成された草案は関係機関、専門家や利害関係者等に回覧して意見を聞き、修正が必要な部分はこれを補完する。 | ― | ||
4 | 要請議員に法案提供 | 法制専門家、国会法制室 | 成案した法案は、法制室内部の決裁を経て要請した議員に提供される。法案の成案を担当した法制官が議員に内容を説明することもある。 | ― | ||
5 | 国会へ提出 | 議員、政党、国会の委員会 | 発議する議員は法案を整え、理由を添えて所定の賛成者(発議者を含む10人以上)と連署し、議長に提出しなければならない。法案改正の場合は新・構造文対比表を添付し、予算上の措置を伴う法案の場合には予算明細書を併せて添付する。 | ― | ||
6 | 本会議へ報告 | ― | 法案提出が本会議へ報告される。 | ― | ||
7 | 委員会へ回付 | ― | 所管常任委員会または特別委員会へ回付される。 | ― | ||
8 | 委員会の審査 | 国会の委員会 | 議事日程が作成される。発議者または提出者は上程提案の説明を行う。専門委員による検討報告、討論、常設委員会の審査が行われる。 | ― | ||
9 | 可決 | 法務委員会 | ― | |||
10 | 法案体系・文言の審査 | 法制司法委員会 | 法案の体系・文言について審査する。 | ― | ||
11 | 審査報告書の提出 | 所管委員会 | 所管委員会から議長に提出する。 | ― | ||
12 | 全院委員会の審査 | 全院委員会 | 政府組織に関する法案、租税又は国民に負担を与える法案等について、主要議案の本会議への上程前または上程後、在籍議員の4分の1以上の要求があるときに開会し、全員委員長名義の修正案を提出することができる。 | ― | ||
13 | 本会議の審査 | 本会議 | 法案を審査した全院委員長の審査報告が行われ、質疑、討論、議決を行う。 | ― | ||
14 | 法案の調整 | 本会議 | 本会議は法律案の議決後、互いに抵触する条項・文言・数字その他の調整を必要とする場合、これを議長又は委員会に委任することができる。 | ― | ||
15 | 可決 | 国会 | ― | |||
16 | 政府へ移送 | 国会議長 | 国会議長は議決された法案を政府に移送する。 | ― | ||
17 | 公布 | 法制処、大統領、国務関係者 | 法制処は法律公布案を作成し、行政自治部に送付、行政自治部は法律公布案を国務会議に上程する。国務会議の審議後、大統領が署名し、国務総理および関係国務委員が署名する。官報に掲載することで公布となる。 | 15日以内 |
下位法令/規則など
下位法令の調査について
当該調査・確認期間の確認では、下位法令の制定過程を公的に明記したものは確認されておりません。
しかし、政府立法支援センターHPの「政府立法手続き」には、法制処の審議過程において「より忠実で公正な審査のため、法律案と重要な下位法令案については、処長または次長が駐在し、局長・法制審議官および法制官などが参加する法令案合同審査会議を経る」との記載があります。詳細は調査対応となりますのでお問い合わせください。
地方法令/条例 など
当該調査・確認期間の確認では、下位法令について根拠法令の情報が確認できなかったため、地方法令の一部について紹介します。
段落 | 項目 | 主体 | 内容 | 期限 | 根拠法 | 根拠条項 |
1 | 条例案発議 | 地方議員 | 条例で定める数以上の地方議会議員の賛成で地方議会へ条例案を発議する。地方議会議員が条例案を発議する場合には、発議議員と賛成議員を区分するが、当該条例案の題名の副題に発議議員の声明を記載し、発議議員が2人以上の場合には代表議員1人を明示しなければならない。 | ― | ご関心がある場合はこちらより | |
2 | 条例案予告 | 地方議会 | 審査対象の条例案に対して5日以上の期間を定め、その趣旨、主な内容、専門を公報やインターネットホームページ等に掲載する方法で予告することができる。 | 5日以上 | ||
3 | 条例案議決 | 地方議会 | 地方議会にて、条例案が議決される。 | ― | ||
4 | 地方自治体の長へ移送 | 地方議会議長 | 条例案が地方議会で議決されると、地方議会の議長はその地方自治団体の長に移送する。 | 5日以内 | ||
5 | 公布 | 地方自治体の長 | 地方自治団体の長は、公報に掲載することで条例を公布する。 | 20日以内 |
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