米国|最高裁、EPAによる発電所からのCO2規制の権限を抑制

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米国|最高裁、EPAによる発電所からのCO2規制の権限を抑制

EPAの規制権限を抑制

米国最高裁判所(SCOTUS)は、West Virginia 対 EPA において、EPA には化石燃料からの発電シフトを強いるほど厳しい発電所の排出基準を設定する権限はないとの判断を下しました。

この判決では、連邦議会は経済的・政治的に重大な問題を含む規制権限を明確かつ直接的に規定する必要があり、政府機関はより曖昧な法令を解釈して自らの権限を規定することはできないという「重大問題法理(major questions doctrine)」が適用されています(6対3)。

意見書は、議会が大気浄化法第111条(d)においてEPAに発電シフトに基づく排出量規制を考案する権限を与えていない、つまり、排出量の多い生産者から排出量の少ない生産者へのシフトを強制する権限を与えていないとするものです。

ウェストバージニア州対EPA訴訟の意見書より

発電所に対する排出規制を考案する際、EPA はまず、コスト、健康、その他の要因を考慮し、「十分に実証されている」と判断した「最良の排出削減システム」を「決定」する。合衆国法典第 42 編第 7411条(a)(1)。

そして、その最良のシステムが対象となる排出源に適用された場合に「達成可能な排出制限の程度」を定量化する。同上:また、80 Fed. Reg. 64719も参照。

したがって、BSERは、111条の下で「EPAが(排出)ガイドラインを策定する際に行わなければならない中心的な決定である」。

Id., at 64723. ここでの問題は、2030年までに石炭38%から石炭27%へ移行するために、国の全体的な発電構成を再構築することが、第111条の意味における「最良の排出削減システム」となり得るかどうかということである。

問題になっている法律が行政機関に権限を与えるものである場合、その調査は、「少なくともある程度は、提示された問題の性質によって形作られ」なければならない。つあmり、議会が実際に、行政機関が主張した権限を与えることを意図していたかどうかである。

我々の判例によれば、これは重大問題(major questions)のケースである。EPA は、第111 条(d)が米国のエネルギー市場を大幅に再構築する権限を有していると主張する際に、「規制権限における(その)変革的拡大」を意味する「前例のない権限を、長く存続する法律の中に発見すると主張した」のである。

Utility Air, 573 U.S., at 324. それは、法の「付属規定(ancillary provision[])」の曖昧な文言の中に、その新しく発見された力を見出している。Whitman, 531 U.S., at 468によれば、それは隙間を埋めるものとして機能するように設計され、それまでの数十年間にほとんど使用されていなかったものであった。

また、連邦政府機関のその発見により、連邦議会が繰り返し制定を拒否してきた規制プログラムを連邦政府機関が採用することができた。

Brown & Williamson, 529 U.S., at 159-160; Gonzales, 546 U.S., at 267-268; Alabama Assn., 594 U.S., at , (slip op., at 2, 8). これらの状況を踏まえると、第111 条(d)の下でEPA が主張する権限を付与することを意図していたと「議会が結論づける前にためらう」理由は十分にある。Brown & Williamson, 529 U.S., at 159-160.

EPA の第 111 条(d)に関する見解によれば、議会は、米国人がどのようにエネルギーを得るかを決定する ことに関係する、国家政策の多くの重要な検討事項のバランスをとることを、暗黙のうちにEPAに、そして EPA にのみ課してきた。

例えば、電力網が崩壊する前に、2020年、2025年、2030年までに、石炭から天然ガスへの転換が現実的にどの程度可能なのか、その結果、エネルギー価格が不当に「法外」になるまでにどの程度の高騰が許容されるのかを、EPAは決定しているのである。

議会がこのような判断をEPAに委ねていると考える理由はほとんどない。ひとつには、EPA 自身が特別資金の要請時に認めたように、「送電、配電、および貯蔵などの分野におけるシステム全体の傾向の把握と予測」には、「EPA 規制策定において従来必要とされていない技術および政策の専門知識」が必要であることである。

また、今後数十年間における石炭火力発電量を決定することを、議会が「当局の裁量」に委ねる可能性は「極めて低い」と判断している。

クリーンパワープランにおいてEPAが特定した「最良の排出削減システム」が、大気浄化法第111条(d)においてEPAに与えられた権限の範囲内であるかどうかということである。前述の理由から、答えは「NO」である。

発電のための石炭使用から全国的に移行せざるを得ないレベルで二酸化炭素の排出に上限を設けることは、賢明な「今日の危機に対する解決策」であるかもしれない。New York v. United States, 505 U.S. 144, 187 (1992)しかし、議会がEPAに、第111条(d)においてそのような規制方式を独自に採用する権限を与えたというのは、もっともな話ではない。

このような大規模かつ重大な決定は、議会自身、または議会の代表機関からの明確な委任に従って行動する機関に委ねられている。従って、コロンビア特別区控訴裁判所の判決を破棄し、この意見に沿った審理を行うため、本件を差し戻す。

出典-GreenCarCongress

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