2023.05.08
EU|メタバースなど仮想世界に関するビジョンを策定する通達策定へ始動-日本でも法的課題の検討が進む
※特別無料記事
大企業だけでなくEU全体で仮想空間関連事業を活性化へ
2023年04月05日、欧州委員会は、メタバースなど仮想世界に関するビジョンを策定する通達の策定へ向けて、意見募集を開始しました。デジタル上の権利や、法令、価値などの側面を踏まえ、取り組みの方向性となる通達を設けるとしています。
意見募集資料より
■ EUの仮想世界のエコシステムは、特定の重要な分野でビッグプレーヤーが欠けている。
■ また、断片的で、投資能力が不足している。
■ 少数の大企業が将来的に仮想世界の門番のように振る舞い、市場参入障壁を作り、EUの新興企業や中小企業をこの新興市場から締め出す危険性がある。
■ 独自システムの普及によるこのような閉じたエコシステムは、個人情報やデータの保護、サイバーセキュリティ、仮想世界の自由度と開放性に同時に悪影響を及ぼす可能性がある。
■ EUの新興企業や中小企業が、イノベーションを支援する枠組み条件の恩恵を受け、ユーザーやコンテンツ制作者がオンラインで保護され、仮想世界で自信を持って活動できるようにすることが不可欠。
日本|メタバース上のコンテンツ等をめぐる新たな法的課題等に関する論点の整理(案)
他方、日本でも、「メタバース上のコンテンツ等をめぐる新たな法的課題等に関する論点の整理(案)」が04月21日より、パブリック・コメントにかけられています。
かつて人工知能(AI)が登場してから今日までの経緯を考えると(いまや日本も国を挙げてAIの導入を促進している)、仮想世界、メタバースに関係する法的論点を早期から押さえておくことは、有意義なことであると考えます。
目次
はじめに
第1章 メタバースの活用により目指すべき価値と目指すべきメタバースの理念
第2章 目指すべき価値を実現するためのルール形成等の在り方(基本的な考え方)
1. 基本的な考え方
2. ソフトローとハードローによるルール形成
3. メタバースの特性を踏まえたルール形成
第3章 課題の所在と対応の方向性(論点の整理)
検討事項1 現実空間と仮想空間を交錯する知財利用、仮想オブジェクトのデザイ
ン等について
Ⅰ.仮想空間における知財利用と権利者の権利保護
課題1-1;現実空間のデザインの仮想空間における模倣、現実空間と仮想空間
を横断した実用品デザインの活用
1.制度・取扱い等の現状
2.対応の方向性
課題1-2;現実空間の標識の仮想空間における無断使用
1.制度・取扱い等の現状
2.対応の方向性
課題1-3;現実環境の外観の仮想空間における再現
1.制度・取扱い等の現状
2.対応の方向性
Ⅱ.メタバース上の著作物利用等に係る権利処理
課題2-1;メタバース上のイベント等における著作物のライセンス利用
1.制度・取扱い等の現状
2.対応の方向性
課題2-2;仮想空間におけるユーザーの創作活動
1.制度・取扱い等の現状
2.対応の方向性
課題2-3;NFT等を活用した仮想オブジェクトの取引制度・取扱い等の現状
①仮想オブジェクトの「保有」
1.制度・取扱い等の現状
2.対応の方向性
②NFT等を活用した仮想オブジェクトの二次流通等
1.制度・取扱い等の現状
2.検討の方向性
検討事項2 アバターの肖像等に関する取扱いについて
Ⅰ.メタバース外の人物の肖像の無断使用への対応
課題1-1 実在の人物の肖像の写り込み
1.基本的な認識
2.対応の方向性
課題1-2;実在する他者の肖像を模したアバター等の無断作成・無断使用
1.基本的な認識
2.対応の方向性
Ⅱ.他者のアバターの肖像等の無断使用その他の権利侵害への対応
課題2-1;他者のアバターの肖像・デザインの無断使用
①他者のアバターのデザインを盗用したアバターの作成・使用
1.基本的な認識
2.対応の方向性
②アバターの肖像の無断撮影・公開
1.基本的な認識
2.対応の方向性
課題2ー2 他者のアバターへのなりすまし、他者のアバターののっとり等
1.基本的な認識
2.対応の方向性
課題2-3 アバターに対する誹謗中傷等
1.基本的な認識
2.対応の方向性
Ⅲ.アバターの実演に関する取扱い
課題3 アバターの実演に係る著作隣接権の権利処理
1.基本的な認識
2.対応の方向性
検討事項3 仮想オブジェクトやアバターに対する行為、アバター間の行為をめぐ
るルール形成、規制措置等について
Ⅰ.論点整理に当たっての基本的な視点
Ⅱ.メタバース上の問題事案に関する現状認識
1.メタバースにおける問題事案
2.問題事案に対する法令規制等
3.プラットフォーマーにおける対応
Ⅲ.留意事項(課題認識)
Ⅳ.問題事案への対応の方向性
1.自由と安全・安心の両立
2.プラットフォーマーの利用規約等による適切なルール形成と実効性の
確保・向上
3.被害ユーザー自身による対抗措置や法的請求を可能とするための対応
4.国際的な動向への対応
検討事項4 その他(国際裁判管轄・準拠法について)
1.基本的な認識
2.対応の方向性
第4章 ルール整備に向けた今後の方向性
<別添資料>
参考
■ 意見募集/欧州委員会
■ パブリック・コメント/日本政府