解説中国 – ヒトを対象とする生命科学及び医学研究に関わる倫理審...

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法令の情報時期:2023年02月 公布版 ページ作成時期:2024年08月

目的

目的

本弁法の目的は、人の生命と健康を守り、人の尊厳を保持し、研究参加者の合法的な権利利益を尊重及び保護し、生命科学及び医学研究の健全な発展を促進し、並びに生命科学及び医学研究に係る倫理審査業務を標準化することである。

概要

概要

本弁法は、人の生命と健康を守り、人の尊厳を保持し、研究参加者の合法的な権利利益を尊重及び保護し、生命科学及び医学研究の健全な発展を促進し、並びに生命科学及び医学研究に係る倫理審査業務を標準化するため、「中華人民共和国民法」、「中華人民共和国基本医療衛生及び健康促進法」、「中華人民共和国科学技術進歩法」「中華人民共和国生物安全法」「中華人民共和国ヒト遺伝資源管理条例」等に基づいて制定されている。

本弁法は、中華人民共和国国内の医療衛生機構、高等教育機関、科学研究院等におけるヒトを対象とする生命科学及び医学研究の倫理審査業務に適用される。

本弁法は計54条で構成され、倫理審査委員会の設置や運営、研究者の義務、研究参加者の権利保護などについて詳細に定めている。

注目定義

■ 「研究参加者」(研究参与者)

「研究参加者」とは、人体研究の対象者、及びヒトを対象とする生命科学及び医学研究のため個人生体サンプル、情報データ、健康記録、行為などを提供する個人をいう。(第50条)

■ 「ヒトを対象とする生命科学及び医学研究」(涉及人的生命科学和医学研究)

「ヒトを対象とする生命科学及び医学研究」とは、ヒトを被験者また使用者(総称して研究参加者という)の生体サンプル、情報データ(健康記録、行為等を含む)を用いて実施される下記研究活動をいう。
(一)物理学、化学、生物学、中医薬学などの方法を用いて人間の生殖、成長、発達、老化等を研究する活動;
(二)物理学、化学、生物学、中医薬学、心理学などの方法を用いて人間の生理、心理的行動、病理学的現象、疾病の病因と発病メカニズム、及び疾病予防、診断、治療、リハビリテーションなど等を研究する活動;
(三)新技術または新製品を用いて人体に実験研究を行う活動;
(四)疫学、社会学、心理学などの方法を用いてヒトを対象とする生命科学と医療問題に関連する生体サンプル、情報データ(健康記録、行為等を含む)及びその他の科学研究資料を収集、記録、使用、報告または保管する活動。(第3条)

■ 「人または人体の生体サンプル」(人或者人的生物样本)

「人または人体の生体サンプル」には、人体そのもの及び人の細胞、組織、器官、体液、フローラ等及び受精卵、胚、胎児が含まれる。(第51条)

適用除外(対象外・猶予・免除等)

本法令には、法令全体からの適用除外や免除を規定する内容はない。

事業者が注意すべき内容

本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。
ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
人の安全

ヒトを対象とする生命科学および医学研究は、科学的・社会的価値があり、法的および倫理的に国際基準を遵守し、公共利益を損なわず、次の基本要件を満たす必要がある。

研究のリスクは参加者の安全や健康を脅かしてはならず、リスクと利益のバランスが合理的であるべきである。また、参加者の知る権利と自主決定権を尊重し、インフォームドコンセントを確保しなければならない。

参加者は公平に選出され、利益や負担が公正に分配されるべきであり、研究関連費用を請求せず、損害が生じた場合には適切な補償を行う。

さらに、参加者のプライバシーと個人情報は厳重に保護され、特定のグループには特別な保護が必要である。(第17条)

機械安全、設備安全

ヒトを対象とする生命科学および医学研究に携わる研究者は、初回の倫理審査申請時に、倫理審査委員会に研究資料信用承諾書、倫理審査申請書、研究者情報と研究所の合法的資格証明書および研究経費源の説明、研究計画や関連情報、文献レビュー、臨床前研究と動物実験データなど、インフォームドコンセントフォーム、生体サンプルや情報データの出所証明、科学的論証意見、利益相反宣言、募集広告およびその方法、研究成果の発表方法に関する説明、倫理審査委員会が提出を必要と判断した関連資料を提出する必要がある。(第18条)

資格、認定

倫理審査委員会は、申請資料を受理後に迅速に審査を開始し、研究が法律や規定に違反していないか、研究者の資格や経験が適切であるか、研究計画が科学的かつ社会的価値を持ち、倫理的に適合しているかどうかを検討する。中医薬研究の場合、伝統的実践も考慮される。

また、研究参加者のリスクが利益と比較して合理的であるか、インフォームドコンセントが適切に取得されているか、個人情報の保護が適切か、参加者の募集や除外基準が公正か、参加者の権利が保護されているか、負担した費用の補償や損害に対する治療・補償が適正か、インフォームドコンセントが資格を持つ研究者によって取得されているか、リスク対応策が整備されているか、利益相反がないか、社会的に敏感な倫理問題が含まれていないか、研究成果の発表が適切かどうかなども審査の対象である。(第19条)

文書登録、文書管理、文書作成

承認された研究について、研究者は進捗状況や重大な有害事象、計画の逸脱や中止、研究完了などの報告書を速やかに提出する義務がある。

倫理審査委員会はこれらの報告に基づいて継続審査を行い、研究が承認された計画に従って適切に実施されているか、無断で変更が加えられていないか、研究参加者のリスクや重大な影響が追加されていないか、研究の中断や早期終了が必要かどうかを確認する。

また、重大な有害事象が発生した場合、研究者は直ちに報告し、倫理審査委員会は速やかに審査を行い、研究者が取った措置の妥当性やリスク収益比を再評価する。(第25条、第26条)

人の安全

研究者は、研究を実施する前に、研究参加者から自発的な署名によるインフォームドコンセントを取得する必要がある。

研究参加者が書面で同意を表明できない場合、口頭で同意を得て、その過程を音声や動画で記録し、証拠として保管する必要がある。

また、研究参加者が民事行為能力を持たない場合や制限されている場合、その保護者から書面で同意を取得する必要があり、さらに研究参加者自身にも理解できる範囲で情報を伝え、同意を得ることが求められる。(第33条、第34条)

機械安全、設備安全

インフォームドコンセントフォームには、研究参加者が理解できる言語や形式で十分、完全かつ正確な情報が記載されなければならない。

内容には、研究の目的や基本的な内容、方法、期限、研究者や機関の情報、研究がもたらす可能性のある利益やリスク、参加者保護措置、データと個人情報の利用範囲、参加者の権利(随時退出や補償など)、注意事項、連絡先、研究期間と参加者数、研究結果のフィードバック有無、代替治療法の告知、生体サンプルの取り扱い(収集、利用、保存、廃棄等)が含まれる必要がある。(第35条、第36条)

資格、認定

インフォームドコンセントの取得に際して、研究者はフォームの記載内容に従い、研究参加者に各事項を説明し、参加者が内容を理解するための十分な時間を与えなければならない。

参加者は内容を理解した上で、研究参加の可否を決定し、署名を行うことになる。

心理学研究では、インフォームドコンセントが研究結果に影響を与える場合、参加者の安全を確保しつつ、倫理審査委員会の承認を得て研究を実施することができるが、研究完了後には参加者に十分な説明を行い、同意が得られない限りデータを使用してはならない。

また、研究内容に大幅な変更があった場合やリスクが増加した場合、あるいは研究参加者の民事行為能力が向上した場合には、再度インフォームドコンセントを得る必要がある。(第37条、第38条)

目次

第一章 総則
第一条
第二条
第三条
第四条

第二章 倫理審査委員会
第五条
第六条
第七条
第八条
第九条
第十条
第十一条
第十二条
第十三条
第十四条

第三章 倫理審査
第十五条
第十六条
第十七条
第十八条
第十九条
第二十条
第二十一条
第二十二条
第二十三条
第二十四条
第二十五条
第二十六条
第二十七条
第二十八条
第二十九条
第三十条
第三十一条
第三十二条

第四章 インフォームドコンセント
第三十三条
第三十四条
第三十五条
第三十六条
第三十七条
第三十八条

第五章 監督管理
第三十九条
第四十条
第四十一条
第四十二条
第四十三条
第四十四条
第四十五条
第四十六条
第四十七条
第四十八条
第四十九条

第六章 附則
第五十条
第五十一条
第五十二条
第五十三条
第五十四条

基礎情報

法令(現地語)

涉及人的生命科学和医学研究伦理审查办法

法令(日本語)

ヒトを対象とする生命科学及び医学研究に関わる倫理審査弁法

公布日

2023年02月18日

所管当局

国家衛生健康委員会(NHC)

作成者

株式会社先読

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