解説中国 – 無人航空機飛行管理暫定条例

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法令の情報時期:2023年05月 公布版 ページ作成時期:2024年08月

目的

目的

本条例の目的は、無人航空機の飛行及び関連活動を規範化し、無人航空機産業の健全かつ秩序ある発展を促進し、航空安全、公共安全及び国家安全を維持すること。

概要

概要

本条例は、無人航空機の飛行及び関連活動を規範化し、無人航空機産業の健全かつ秩序ある発展を促進し、航空安全、公共安全及び国家安全を維持するため制定された。

中国国内の管轄下にある他の空域において無人航空機の飛行活動を行う場合、本条例の関連規定を遵守しなければならない。

規定は計63条で構成され、無人航空機の飛行と関連活動に関する管理、規範化、安全確保、業界標準の制定、民間無人航空機及び操縦員の管理、空域及び飛行活動の規制、事故防止措置、申請手続き等を包括的に規定している。

本条例に違反した場合、無人航空機の設計、製造、使用に関しては、関連活動の停止、罰金、業務停止、運営許可証の取り消し、あるいは刑事責任が科されることがある。

注目定義

■ 「中華人民共和国内で無人航空機の飛行及び関連活動に従事する者」(在中华人民共和国境内从事无人驾驶航空器飞行以及有关活动)

「無人航空機」とは、パイロットが搭乗しておらず、独自動力システムを備えた航空機をいう。無人航空機は性能指標に応じて超小型、軽型、小型、中型、大型に分類されている。(第2条)

■ 「航空交通管理機構」(空中交通管理机构)

「航空交通管理機構」とは、軍隊及び民間航空管理部門内関連する責任分野を担当する航空交通管理機構をいう。(第62条)

■ 「超小型無人航空機」(微型无人驾驶航空器)

「超小型無人航空機」とは、空機重量が0.25キログラム未満、最大真飛行高度が50メートル以下、最大水平飛行速度が時速40キロメートル以下で、無線送信設備が微小出力短距離の技術要件を満たし、いつでも手動で制御できる無人航空機をいう。(第62条)

■ 「軽型無人航空機」(轻型无人驾驶航空器)

「軽型無人航空機」とは、空機重量が4キログラム未満、かつ最大離陸重量が7キログラム以下、最大水平飛行速度が時速100キロメートル以下で、空域管理要件を満たす空域維持能力、信頼できる監視される能力を備え、超小型無人航空機以外のいつでも手動で制御できる無人航空機をいう。(第62条)

■ 「小型無人航空機」(小型无人驾驶航空器)

「小型無人航空機」とは、空機重量が15キログラム未満、かつ最大離陸重量が25キログラム以下、空域管理要件を満たす空域維持能力、信頼できる監視される能力を備え、超小型、軽型無人航空機以外のいつでも手動で制御できる無人航空機をいう。(第62条)

■ 「中型無人航空機」(中型无人驾驶航空器)

「中型無人航空機」とは、超小型、軽型、小型無人航空機以外の最大離陸重量が150キログラム以下の無人航空機をいう。(第62条)

■ 「大型無人航空機」(大型无人驾驶航空器)

「大型無人航空機」とは、最大離陸重量が150キログラムを超える無人航空機をいう。(第62条)

■ 「無人航空機システム」(无人驾驶航空器系统)

「無人航空機システム」とは、無人航空機及びそれに関連する遠隔制御台(ステーション)、ミッションロード及び制御リンク等で構成されるシステムをいう。このうち、遠隔制御台(ステーション)とは、無人航空機を遠隔制御する各種制御設備(手段)及び関連システムの構成全体を指す。(第62条)

■ 「農業用無人航空機」(农用无人驾驶航空器)

「農業用無人航空機」とは、最大真飛行高度が30メートル以下、最大水平飛行速度が時速50キロメートル以下、最大飛行半径が2,000メートル以下で、空域維持能力、信頼できる監視される能力を備え、植物の保護、播種、給餌などの農林水産業に特化した、いつでも手動で制御できる無人航空機をいう。(第62条)

■ 「独立飛行」(隔离飞行)

「独立飛行」とは、無人航空機と有人航空機が同一空域内において同時に飛行しないことをいう。(第62条)

■ 「統合飛行」(融合飞行)

「統合飛行」とは、、無人航空機と有人航空機が同一空域内において同時に飛行することをいう。(第62条)

■ 「分散式操縦」(分布式操作)

「分散式操縦」とは、無人航空機システムの操縦を複数のサブサービスに分解し、複数の拠点や端末で共同操縦するモデルのことをいう。(第62条)

■ 「集団」(集群)

「集団」とは、複数の無人航空機を制御する機能を有する同一システムまたはプラットフォームを使用し、同一任務を処理するために、各無人航空機の制御データを相互接続及び共同処理することを特徴とし、同一時間内に並行して複数の無人航空機を操縦し、無人航空機を比較的物理的に集中して飛行させる無人航空機運航モードのことをいう。(第62条)

■ 「模型航空機」(模型航空器)

「模型航空機」とは、サイズや重量に制限があり、人を乗せることができず、高度維持や位置維持の機能を持たない無人航空機のことで、自由飛行、ワイヤー制御、直接目視範囲内で継続遠隔人工操縦、第一視点からの継続遠隔人工操縦の模型航空機のことをいう。(第62条)

■ 「無人航空機対策設備」(无人驾驶航空器反制设备)

「無人航空機対策設備」とは、専門的に無人航空機の違法飛行の防止管理に用いられる設備であり、妨害、迎撃、捕獲及び破壊機能を有する設備のことをいう。(第62条)

■ 「空域維持能力」(空域保持能力)

「空域維持能力」とは、電子柵等の技術的手段を通じて無人航空機の高度及び水平範囲を制御する能力をいう。(第62条)

適用除外(対象外・猶予・免除等)

文書登録、文書管理、文書作成

本条例は屋内を飛行する無人航空機には適用されない。

独自動力システムを備えた飛行玩具は本条例関連規定の適用を受け、具体的な弁法は国務院工業情報化主管部門、関連航空交通管理機構が公安部門、民間航空主管部門と協力して制定するものとする。

事業者が注意すべき内容

本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。
ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
人の安全

無人航空機の飛行管理業務は、党の指導強化、全体的な国家安全保障観念、安全第一、サービス開発、分類管理、共同監督の原則を堅持しなければならない。(第3条)

資格、認定

中型・大型の民間無人航空機システムの設計、生産、輸入、飛行、保守活動に従事する者は、国務院民間航空主管部門に申請し耐空免許を取得しなければならない。

超小型・軽型・小型の民間無人航空機システムの設計、生産、輸入、飛行、保守、組立に従事する者は耐空免許を取得する必要はないが、製品は製品品質法律法規および強制国家標準に準拠しなければならない。

民間無人航空機システムに関わる者は、実名登録、飛行エリア制限、緊急対応、ネットワーク情報セキュリティ等の国家規定を遵守し、大気汚染物質や騒音放出削減のための措置を講じなければならない。(第8条)

文書登録、文書管理、文書作成

民間無人航空機システム製造者は、国務院工業情報化主管部門の規定に従い、自社が生産する無人航空機に独自製品識別コードを設定しなければならない。

超小型、軽型、小型の民間無人航空機システム製造者は、無人航空機機体に製品タイプと独自製品識別コードを明記し、製品パッケージの目立つ位置に法律遵守の運航要件と危険警告を表示しなければならない。(第9条)

資格、認定

民間無人航空機所有者は法律に従って実名登録を実施しなければならず、具体的な弁法は国務院民間航空主管部門が関係部門と協力して制定するものとする。

海外を飛行する民間無人航空機は、法律に従って国籍登録を行わなければならない。(第10条)

文書登録、文書管理、文書作成

超小型以外の民間無人航空機を使用して飛行活動を行うユニットは、安全運営に必要な管理機構、管理人員、本条例規定に準拠した操縦人員、無人航空機および関連施設・設備を備え、管理制度および運用手順を整備し、継続的に安全運営を確保できる営利法人であることが求められる。

これらを満たし、民間航空管理部門に民間無人航空機運営合格証を申請する必要がある。

申請後、民間航空管理部門は運営安全評価を行い、許可された場合は運営合格証を発行し、許可されない場合は書面で理由を通知する。(第11条)

禁止

民間無人航空機を使用して商業飛行活動に従事する者、および小型、中型、大型の民間無人航空機を使用して非商業飛行活動に従事する者は、法律に従って賠償責任保険に加入する義務がある。

超小型、軽型、小型の無人航空機システムに欠陥が判明した場合、製造者または輸入者は製造および販売を中止し、欠陥製品を回収し、関係事業者および使用者に通知しなければならない。

また、既に耐空許可を取得しているシステムを大幅に設計変更して使用する場合は、再度耐空許可を申請しなければならない。(第12条、第13条、第14条)

人の安全

小型、中型、大型の民間無人航空機を操縦する者は、完全なる民事行為能力を有し、安全操縦訓練を受けて評価に合格し、操縦に影響を与える疾病や薬物乱用記録がなく、過去5年間に意図的な犯罪で刑事処罰を受けていないことが求められる。

これらの条件を満たした上で、国務院民間航空主管部門に操縦員免許を申請取得する必要がある。

従来農業用無人航空機作業飛行に従事する者は操縦員免許は不要だが、製造業者が定めた訓練と評価を受け、試験合格後に操作証書を取得しなければならない。

超小型、軽型無人航空機の操縦者は免許不要だが、操作方法と管理制度を理解しなければならない。(第16条、第17条)

文書登録、文書管理、文書作成

無人航空機の飛行空域は、全体的な計画性、安全性、効率性の原則に基づいて指定され、独立飛行を主としつつ統合飛行ニーズも考慮し、飛行安全と公共利益を配慮する必要がある。また、飛行空域の水平・垂直範囲や使用時間も明確にしなければならない。管制空域の具体的範囲は、国家航空交通管理指導機構の規定に従い各級航空交通管理機構が決定し、市級以上の人民政府が発表し、民間航空管理部門が航空情報を公開する。(第19条)

資格、認定

超小型航空機以外の無人航空機の飛行活動では、操縦者は国家規定に従い、無人航空機が一体化総合監督管理サービスプラットフォームに識別情報を送信できることを確保しなければならない。

超小型、軽型、小型無人航空機は飛行中に自動的に識別情報を送信する必要がある。

無人航空機の飛行活動を組織するユニットまたは個人は、関連法規を遵守し、事故防止措置を講じて飛行安全の責任を負わなければならない。

特別な定めがある場合を除き、無人航空機の飛行活動を組織する際には、飛行予定日の前日12時までに航空交通管理機構に申請を提出しなければならない。(第24条、第25条、第26条)

人の安全

無人航空機の飛行活動を承認されたユニットまたは個人は、離陸予定時刻の1時間前に航空交通管理機構に報告し、確認を取得した後に離陸しなければならない。

飛行活動時には、関連証明書やライセンスを取得し携帯すること、安全飛行準備を整えること、無人航空機の状況を確認し情報を更新することなど、定められた行動規範を遵守しなければならない。

アルコールや薬物の影響下での操縦は禁止され、その他国家の行動規範を遵守する必要がある。

飛行活動では有人航空機や地上・水上交通手段を回避し、単一飛行は集団飛行を、超小型無人航空機は他の無人航空機を回避するなどの回避規則も遵守しなければならない。(第30条、第32条、第33条)

文書登録、文書管理、文書作成

無人航空機の飛行中に異常事態が発生した場合、飛行活動を組織したユニットまたは個人は適時に対処し、航空交通管理機構の指示に従わなければならず、飛行の安全上の問題を引き起した場合、飛行活動を組織したユニットまたは個人は無人航空機の着陸後24時間以内に関連状況を航空交通管理機構に報告しなければならない。(第40条)

目次

第一章 総則
第一条
第二条
第三条
第四条
第五条
第六条

第二章 民間無人航空機及び操縦員管理
第七条
第八条
第九条
第十条
第十一条
第十二条
第十三条
第十四条
第十五条
第十六条
第十七条

第三章 空域及び飛行活動の管理
第十八条
第十九条
第二十条
第二十一条
第二十二条
第二十三条
第二十四条
第二十五条
第二十六条
第二十七条
第二十八条
第二十九条
第三十条
第三十一条
第三十二条
第三十三条
第三十四条
第三十五条
第三十六条

第四章 監督管理及び応急処置
第三十七条
第三十八条
第三十九条
第四十条
第四十一条
第四十二条
第四十三条

第五章 法律責任
第四十四条
第四十五条
第四十六条
第四十七条
第四十八条
第四十九条
第五十条
第五十一条
第五十二条
第五十三条
第五十四条
第五十五条
第五十六条

第六章 附則
第五十七条
第五十八条
第五十九条
第六十条
第六十一条
第六十二条
第六十三条

基礎情報

法令(現地語)

无人驾驶航空器飞行管理暂行条例

法令(日本語)

無人航空機飛行管理暫定条例2023年05月31日

公布日

2023年05月31日

所管当局

作成者

株式会社先読

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