法令の情報時期:2015年03月 公布版 | ページ作成時期:2023年07月 |
目的

本規則は、EU諸国の利益を守り、特に商品取引に関する国際的水準での権利の行使並びに義務の履行を可能にすることを目的としている。
概要

本規則は、EU諸国の主に貿易による商品取引に関する利益を守ることを目的として、特定の国を除く非EU諸国から輸入される製品、及び特定の製品を除く輸入製品に適用される。
輸入製品が本規則に定める条件を満たす場合に講じられる輸入監視措置、緊急輸入制限措置について、並びにそれらの措置に先立ち実施される欧州委員会による調査、調査報告、措置の実施中に行われる報告、輸入監視措置下にある製品の自由流通に必要な文書等について定めている。
注目定義
■ 「EUの生産者」(Union producers)
「EUの生産者」とは、EU地域内で操業する類似製品若しくは直接競合する製品の全体としての生産者、又はその類似製品若しくは直接競合する製品の総生産量がそれらの製品のEU地域内総生産量の大部分を占める生産者をいう。(第4条) |
■ 「重大な損害」(serious injury)
「重大な損害」とは、EUの生産者の立場にとって、多大な影響を与える総合的な損害をいう。(第4条) |
■ 「重大な損害を与える恐れ」(threat of serious injury)
「重大な損害を与える恐れ」とは、明らかに差し迫った重大な損害をいう。(第4条) |
■ 「欧州委員会による調査手続、調査」(Union investigation procedure, investigation)
「欧州委員会による調査手続」とは、いずれかの輸入制限措置を実施する前に問題の製品の輸入がEUの生産者に重大な損害を与えるか、又は与える恐れがあるかどうかを判断することを目指し、欧州委員会により行われる調査をいう。(第4条) 輸入の傾向及び状況、輸入に起因するEUの生産者への重大な損害、又は重大な損害を与える恐れについての調査では、特に以下の要素を対象とする。(第9条) ・輸入量、特にEU地域内での絶対量又は生産量や消費量と比較して大幅に増加した場合 ・輸入品の価格、特にEU地域内の類似製品の価格と比較して大幅な価格低下が見られる場合 ・生産量、稼働率、在庫、売上、価格の下落、通常生じるだろう範囲の価格上昇の抑制、市場占有率、利益、使用資本利益率、キャッシュフロー、雇用等の経済的要因の動向が示すEUの生産者に与えられる影響 |
■ 「輸入監視措置、監視」(surveillance measures, surveillance)
「輸入監視措置」とは、商品の名称、数量、価格、原産地証明等を含む情報を記載した監視文書の発行によってのみ、EUの生産者に重大な損害を与える恐れのある製品の自由流通を許可する措置をいう。(第11条) |
■ 「監視文書」(surveillance document)
「監視文書」とは、関係加盟国が指定する管轄当局が、EU地域内の輸入者による申請を受け、要求された数量について、受領してから最長5営業日以内に無料で発行する文書をいう。地域監視下にある製品は、監視文書を作成した場合に限り、当該地域において自由に流通させることができる。(第13条) 監視文書は、附属書1のひな型に対応する形式で作成されなければならない。(第11条) |
■ 「緊急輸入制限措置」(safeguard measures)
「緊急輸入制限措置」とは、EUの生産者に重大な損害を与えるか、又は与える恐れがあるような量及び/又は条件で製品がEUに輸入されている場合に、欧州委員会がEUの利益を保護するために加盟国の要請に応じて、又は自らの判断で講じることのできる措置をいう。本措置の発効後に発行される監視文書の有効期間の制限、及び当該製品の輸入規則を変更し、自由流通のために輸入許可の取得を条件とすることが含まれる。(第15条) |
適用除外(対象外・猶予・免除等)

本法令は、規則No.2015/936/EUに基づく特定の輸入規則の対象となる繊維製品、及び理事会規則No.2015/755/EUに記載の特定の非EU諸国で製造された製品には適用されない。(第1条)
事業者が注意すべき内容
本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。 ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。 |

非EU諸国からEU諸国へ製品を輸出する事業者は、輸入量の大幅な増加、価格の大幅な低下、生産量、稼働率、在庫、売上、価格の下落、通常生じるだろう範囲の価格上昇の抑制、市場占有率、利益、使用資本利益率、キャッシュフロー、雇用等の観点から、EU諸国に重大な損害を与えるか否かを判断される(第9条)。
しかし、加盟国が指定する管轄当局による監視文書の発行を申請することで、輸出前に監視措置の対象となった製品を自由流通させることができる。(第11条)

上記の監視文書は附属書1のひな型に対応する形式で作成されなければならない。監視文書の発行申請時には下記項目の情報が必要となる。 (第11条)
(a) 申請者の氏名と住所(電話番号とファックス番号、及び所轄の国内当局に対して申請者を識別する番号を含む)、さらにVAT(付加価値税)納税の義務がある場合は申請者のVAT登録番号
(b) 必要に応じて、宣言者又は申請者が任命した代理人の氏名及び住所(電話番号及びファクス番号を含む)
(c) 商品の説明(商標名、紐づけられた固有の商品番号、原産地及び積荷地)
(d) キログラム単位での申告数量、及び必要に応じてその他の単位(組数、品目数など)
(e) ユーロでの商品の価格及びEU国境でのCIF
(f) 申請者が日付を記入及び署名し、申請者の名前を大文字で記載した次の声明 ‘I, the undersigned, certify that the information provided in this application is true and given in good faith, and that I am established in the Union.’ (訳)「私、署名者は、この申請書において提供された情報が真実で、誠意を持って提供されたものであり、私がEU内に設立されていることを証明します。」

前文21で「WTO加盟の発展途上国由来の製品が輸入制限措置から免除される環境を整備すべきである。」とされていることから、WTO加盟の発展途上国由来の製品には、当該製品のEU総輸入量におけるその国の占有率が3%を超えず、同じくEU総輸入量における当該製品の占有率が3%未満であってWTOに加盟する別の発展途上国由来製品の占有率との合計が9%を超えない場合に限り、いかなる輸入制限措置も適用されないことになっている。 (第18条)
目次
基礎情報
法令(現地語) | |
法令(日本語) | 輸入共通規定に関する2015年3月11日付け欧州議会及び理事会規則 |
公布日 | 2015年03月27日 |
所管当局 | ー |
作成者

株式会社先読+英語翻訳者(齋藤 由貴子)
調査相談はこちら
概要調査、詳細調査、比較調査、個別の和訳、定期報告調査、年間コンサルなど
様々な調査に柔軟に対応可能でございます。
- ●●の詳細調査/定期報告調査
- ●●の他国(複数)における規制状況調査
- 細かな質問への適宜対応が可能な年間相談サービス
- 世界複数ヵ国における●●の比較調査 など
無料相談フォーム
無料メールマガジンの申込み|
希望の情報分野を選択可能
登録はこちらからメールアドレスを入力してお申込みください。
「登録」クリック後、購読したいメールマガジンの種類を選択いただけます。
★配信頻度|各メルマガについて月に1~2回
(不定期)
メルマガ|全般(全分野)
当社で扱う情報分野全般の注目規制動向の情報にご関心がある方はこちら。
メルマガ|化学物質
化学物質分野の注目規制動向の情報にご関心がある方はこちら。一般・工業用化学品や軍事用途の化学品、食品添加物や農薬、医薬品などが対象です。
メルマガ|環境
環境分野の注目規制動向の情報にご関心がある方はこちら。大気・水・土壌汚染のほか、地球温暖化やオゾン層破壊、騒音・振動・悪臭などに対する規制が対象です。
メルマガ|先端技術
先端技術分野の注目規制動向の情報にご関心がある方はこちら。当社で言う先端技術分野とは、人工知能(AI)、仮想・拡張現実(VR・AR)、自動運転、エコカー、デジタルトランスフォーメーション(DX)などをいいます。
メルマガ|新領域
新領域分野の注目規制動向の情報にご関心がある方はこちら。当社でいう新領域分野とは、宇宙、海底・深海底、大深度地下などをいいます。