解説EU-特定プラスチック製品環境影響低減指令(SUP指令)

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法令の情報時期:2019年6月 公布版 ページ作成時期:2024年6月

目的

目的

本指令は、特定のプラスチック製品が環境に与える影響を防止および削減することを目的とする。

概要

概要

本指令では、特定のプラスチック製品が環境に与える影響を防止および削減し、特に、より入手しやすく安価で持続可能な代替品があるにも関わらず、使い捨てプラスチック(SUP)製品が市場に出回ることのないよう、指令の対象製品に合わせた措置を組み合わせて導入することとしている。

これにより、EU全域において循環型経済への移行を促進することを目的としている。なお、本指令が指令No 94/62/ECまたはNo 2008/98/ECに抵触する場合は、本指令が優先される。

注目定義

■ 「生産者」(producer)

「生産者」とは、
(a) 欧州議会および理事会指令 2011/83/EUの第2条第7項に定義される遠隔契約を含む、販売手法にかかわらず専門的に製造、充填、販売または輸入を行い、使い捨てプラスチック製品、充填された使い捨てプラスチック製品またはプラスチックを含む漁具を当該加盟国の市場に流通させる、加盟国に設立された自然人または法人で、欧州議会および理事会規則(EU)No 1380/2013 の第 4 条 第28項に定義される漁業活動を行う者を除く者、または
(b) 指令 No 2011/83/EU第2条 第7項に定義される遠隔契約により、一加盟国または第三国に設立された自然人または法人で、他加盟国において一般家庭または一般家庭以外の利用者に対し、使い捨てプラスチック製品、充填済み使い捨てプラスチック製品、またはプラスチックを含む漁具を専門的に直接販売する、規則(EU)No 1380/2013第4条 第28項に定義される漁業活動を行う者以外の者をいう。(第3条)

■ 「プラスチック」(plastic)

「プラスチック」とは、規則(EC)No 1907/2006の第3条(5)に定義するポリマー(化学修飾されていない天然ポリマーを除く)からなり、添加剤またはその他の物質が加えられている可能性があり、最終製品の主要な構造要素として機能し得る物質をいう。(第3条)

■ 「使い捨てプラスチック製品」(single-use plastic product)

「使い捨てプラスチック製品」とは、全体的または部分的にプラスチックで作られた製品であって、詰め替えまたは当初と同じ目的での再利用のために、当該製品の寿命内に生産者に返品される複数回の移動または循環を想定して考案、設計、または市場投入されていない製品をいう。(第3条)

■ 「酸化型分解性プラスチック」(oxo-degradable plastic)

「酸化型分解性プラスチック」とは、添加剤を含むプラスチック材料で、酸化によりプラスチック材料が微細な断片に分解されるか、化学分解されるものをいう。(第3条)

■ 「漁具」(fishing gear)

「漁具」とは、漁業または水産養殖業において海洋生物資源を対象として、捕獲もしくは飼育のために使用される物品または装置、または海面に浮遊して当該海洋生物資源を誘引および捕獲もしくは飼育することを目的として配備される物品または装置をいう。(第3条)

■ 「廃棄漁具」(waste fishing gear)

「廃棄漁具」とは、指令No 2008/98/ECの第3条 第1項の廃棄物の定義に含まれる漁具をいい、放棄または紛失された場合を含め、廃棄された際に当該漁具の一部であった、または付属していた全ての別個の部品、物質または材料を含む。 (第3条)

適用除外(対象外・猶予・免除等)

機械安全、設備安全

本指令は、「化学修飾されていない天然ポリマー」が主要な構造要素として機能する製品には適用されない。(第3条)

事業者が注意すべき内容

本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。
ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
禁止

加盟国は、附属書B部に記載の使い捨てプラスチック製品、およびプラスチックを使用した製品の上市を禁止しなければならない。(第5条)

機械安全、設備安全

加盟国は、プラスチック製のキャップおよび蓋を有する附属書パートCに記載の使い捨てプラスチック製品が、製品の意図された使用段階においてキャップおよび蓋が容器に取り付けられたままである場合に限り、上市されることを保証しなければならない。(第6条)

文書登録、文書管理、文書作成

各加盟国は、附属書F部に記載の飲料用ボトルに関し以下を保証しなければならない。(第6条)

(a)2025年以降、ポリエチレンテレフタレートを主成分として製造される附属書F部に記載の飲料用ボトル(「PETボトル」)は、加盟国の領域内で上市されるすべてのPETボトルの平均値として算出した25%以上の再生プラスチックを含有すること。

(b)2030年以降、附属書のF部に記載の飲料用ボトルは、当該加盟国の領域で上市されるすべての飲料用ボトルの平均値として算出した30%以上の再生プラスチックを含有すること。

機械安全、設備安全

加盟国は、上市される附属書D部に記載された使い捨てプラスチック製品について、その包装上または製品自体に、消費者に次の事項を知らせるため、目立ち、はっきりと読み取れる、かつ消えにくい表示を付すことを保証しなければならない。(第7条)

(a)廃棄物ヒエラルキーに沿った、当該製品の適切な廃棄物処分の選択肢または当該製品について避けるべき廃棄物処分手段。

(b)製品中にプラスチックが含まれること、およびその結果、製品の投げ捨てやその他の不適切な廃棄物処分手段が環境に及ぼす悪影響。

人の安全

加盟国は、本指令の附属書E部I章に記載の使い捨てプラスチック製品の生産者が、指令No 2008/98/ECおよびNo 94/62/ECの拡大生産者責任制度に従って費用を負担し、すでに含まれていない限り、以下の費用を負担することを保証するものとする。(第8条)

(a)当該製品に関して本指令の第10条で言及される意識啓発措置の費用
(b)公共回収システムで廃棄される当該製品の廃棄物回収にかかる、インフラ用費用およびその運用費用、その後の廃棄物輸送費用および処理費用
(c)当該製品に起因するごみの清掃費用、およびその後の当該ごみの輸送費用および処理費用

文書登録、文書管理、文書作成

加盟国は、附属書およびセクションⅢに記載の使い捨てプラスチック製品の生産者に対し、少なくとも以下の費用負担を保証しなければならない。(第8条)

(a)当該製品に関して第10条に言及される意識啓発措置の費用
(b)当該製品に起因するごみの清掃およびその後の輸送ならびに処理に要する費用
(c)指令No 2008/98/ECの第8条aの1cに従ったデータ収集と報告の費用

人の安全

本指令の附属書E部セクションⅢに記載の使い捨てプラスチック製品に関して、加盟国は、インフラとその運用、その後の廃棄物の輸送と処理を含め、公共回収システムで廃棄される当該製品の廃棄物回収の費用を、生産者が追加で負担することを保証しなければならない。

この費用には、一般的なごみの投げ捨てが多い場所における適切なごみ箱の設置など、当該製品の廃棄物回収用の特定のインフラの設置が含まれる場合がある。(第8条)

目次

第1条 本指令の目的
第2条 本指令の適用範囲
第3条 用語の定義
第4条 消費量削減
第5条 上市の制限
第6条 製品に関する要件
第7条 表示に関する要件
第8条 拡大生産者責任
第9条 分別収集
第10条 意識啓発措置
第11条 措置の調整
第12条 使い捨てプラスチック製品の規格およびガイドライン
第13条 情報システムおよび報告
第14条 罰則
第15条 評価および総括
第16条 専門委員会手続き
第17条 加盟国国内法への置き換え
第18条 本指令の発効
第19条 本指令の宛先

附属書
A部 第4条適用対象の使い捨てプラスチック製品
B部 第5条適用対象の使い捨てプラスチック製品
C部 第6条(1)から(4)適用対象の使い捨てプラスチック製品
D部 第7条適用対象の使い捨てプラスチック製品
E部 第8条(2)および(3)適用対象のプラスチック製品およびその他のプラスチック製品
F部 第9条および第6条(5)適用対象の使い捨てプラスチック製品
G部 第10条適用対象の使い捨てプラスチック製品

基礎情報

法令(現地語)

Directive (EU) 2019/904 of the European Parliament and of the Council of 5 June 2019 on the reduction of the impact of certain plastic products on the environment (Directive on single-use plastics)

法令(日本語)

特定プラスチック製品が環境に与える影響の低減に関する2019年6月5日付け欧州議会および理事会指令(EU)No 2019/904

公布日

2019年6月12日

所管当局

環境総局 (DG ENV)

作成者

株式会社先読

株式会社先読+英語翻訳者(齋藤 由貴子)

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