解説EU-難分解性有機化合物規則(POPs規則)

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法令の情報時期:2023年8月 統合版 ページ作成時期:2024年4月

目的

目的

本規則の目的は、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約または残留性有機汚染物質に関する長距離越境大気汚染に関する1979年条約の議定書で定義されている残留性有機汚染物質(POPs)の生産と使用を排除または制限することにより、欧州連合(EU)における人の健康と環境を保護することである。

概要

概要

POPsは、国境を越え得る危険な化学物質であり、排出源から遠く離れた場所で発見されることが多く、環境中に残留し、生物濃縮し、結果として人の健康と環境に脅威をもたらす。

本規則では欧州連合(EU)における人の健康と環境を保護するため、POPsの生産と使用、および上市を排除または規制している。

注目定義

■ 「条約」(the Convention)

「条約」とは、「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」をいう。(第1条)
※上記の条約は、残留性有機汚染物質=POPs (Persistent Organic Pollutants)から「POPs条約」ともよばれる。

■ 「議定書」(the Protocol)

「議定書」とは、「残留性有機汚染物質に関する長距離越境大気汚染に関する1979年条約の議定書」をいう。(第1条)

■ 「リカバリー」(recovery)

「リカバリー」とは、指令2008/98/ECの第3条 第15項に定義されるリカバリーをいう。(第2条)
※上記で言及されている廃棄物枠組み指令No 2008/98/ECの第3条 第15項において「『リカバリー』とは、工場内またはより広い経済活動において、特定の機能を果たすために、使用されるはずであった他の材料と置き換えられることにより、またはその機能を果たすために準備され、有用な目的を果たす廃棄物を主な結果とする作業をいう」とされている。

■ 「処分」(disposal)

「処分」とは、指令2008/98/ECの第3条 第19項に定義される処分をいう。(第2条)
※上記で言及されている廃棄物枠組み指令No 2008/98/ECの第3条 第19項において「『処分』とは、その作業が二次的な結果として物質またはエネルギーの再生利用をもたらす場合であっても、リカバリーではないあらゆる作業をいう」とされている。

■ 「閉鎖系の場所限定中間体」(closed-system site-limited intermediate)

「閉鎖系の場所限定中間体」とは、別の物質に変換(「合成」)するための化学処理のために製造され、化学処理で消費される、または化学処理に使用される物質であって、中間体の製造およびその中間体からの1つ以上の他の物質の合成が、同じ場所で1つ以上の法人によって、その全ライフサイクルにおいて厳しく管理され、技術的手段によって正確に封じ込められる条件下で行われる物質をいう。(第2条)

■ 「非意図的微量汚染物質」(unintentional trace contaminant)

「非意図的微量汚染物質」とは、有意義に使用することができず、かつ管理および実施を可能にする既存の検出方法の検出限界を超える水準で、偶発的に存在する最小限の量の物質をいう。(第2条)

■ 「備蓄品」(stockpile)

「備蓄品」とは、保有者が蓄積した物質または混合物または成形品であって、附属書1または附属書2に記載されている物質から構成されるか、またはそれを含むものをいう。
(第2条)

適用除外(対象外・猶予・免除等)

文書登録、文書管理、文書作成

本規則の第3条は、以下のものには適用されない。
(a)研究所規模における研究または参照基準として使用される物質
(b)物質、混合物または成形品中に、附属書1または附属書2の該当する項目に規定される非意図的微量汚染物質として存在する物質。(第4条)

本規則の第3条は、2019年7月15日以降に附属書1または附属書2に追加された物質について、その物質が、本規則がその物質に適用される日以前またはその日に製造された成形品に存在する場合、第3条は、6ヶ月間適用されない。(第4条)

本規則の第3条は、本規則または規則(EC)No 850/2004がその物質に適用される前またはその日に既に使用されている成形品に存在する物質の場合、どちらか早い方の日付には適用されない。(第4条)

事業者が注意すべき内容

本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。
ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
禁止

附属書1に記載の物質の製造、上市、使用は、単独または混合物もしくは成形品のいずれであるかに関わらず、第4条に従い禁止される。(第3条)

制限、限定

附属書2に記載の物質の製造、上市、使用は、単独または混合物もしくは成形品のいずれであるかに関わらず、第4条に従い制限される。(第3条)

文書登録、文書管理、文書作成

備蓄品の保有者は、附属書1または附属書2に記載された物質で構成され、またはそれを含み、使用が許可されていない備蓄品を廃棄物として第7条に従って管理しなければならない。(第5条)

機械安全、設備安全

附属書1または附属書2に記載された物質からなり、またはそれを含み、使用が許可されている50kgを超える備蓄品の保有者は、備蓄品が置かれる加盟国の所轄当局に対し、当該備蓄品の性質および大きさに関する情報を提供しなければならない。

このような情報は、本規則または規則(EC)No 850/2004が当該物質に適用されるようになった日(保有者にとっていずれか早い日)から12ヶ月以内に、および附属書1または2の関連する改正から12ヶ月以内に、またその後、使用が制限される附属書1または2で指定された期限まで毎年提供しなければならない。(第5条)

人の安全

廃棄物の排出者及び保有者は、理事会指令No 96/59/EC前文(3)にかかわらず、本規則の附属書4に記載された物質からなる、含有する、または汚染された廃棄物を過度な遅滞なく、本規則の附属書5の第1部に従いPOPの含有量が確実に破壊されるか、または不可逆的に変化して残りの廃棄物および放出物がPOPsの特性を示さない方法で、処分またはリカバリーしければならない。

このような処分またはリカバリーを行う場合、附属書4に記載された物質を廃棄物から分離することができる。(第7条)

禁止

附属書4に記載された物質を独自にリカバリー、リサイクルすること、再生または再利用する可能性のある処分またはリカバリー作業をすることは禁止されている。(第7条)

など

目次

第1条 本規則の目的および対象
第2条 用語の定義
第3条 製造および上市ならびに使用および物質記載についての規制
第4条 規制措置の適用除外
第5条 備蓄品について
第6条 放出の低減、最小化、排除について
第7条 廃棄物管理
第8条 化学品庁およびフォーラムの任務
第9条 実施計画
第10条 監視
第11条 情報の交換について
第12条 技術支援
第13条 実施に関する監視
第14条 罰則
第15条 附属書の修正
第16条 化学品庁の予算
第17条 情報公開または通知の形式およびソフトウェア
第18条 委任権の行使
第19条 管轄当局
第20条 専門委員会手続き
第21条 廃止規則
第21a条 経過規定
第22条 本規則の発効

附属書1 条約および/または議定書に記載されている物質一覧
附属書2 規制対象物質一覧
附属書3 放出削減規定の対象物質一覧
附属書4 第7条に定める廃棄物管理規定の対象物質一覧
附属書5 廃棄物管理
附属書6 廃止規則および改正一覧
附属書7 廃止規則(EC) No 850/2004との条項対応表

基礎情報

法令(現地語)

Regulation (EU) 2019/1021 of the European Parliament and of the Council of 20 June 2019 on persistent organic pollutants (recast)

法令(日本語)

難分解性有機汚染物質に関する2019年6月20日付け欧州議会および理事会規則(EU) No 2019/1021(改訂)

公布日

2019年6月25日

所管当局

環境総局 (DG ENV)

作成者

株式会社先読

株式会社先読+英語翻訳者(作業者名 齋藤 由貴子)

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