解説ドイツ-製品安全法(ProdSG)

HOME > 法令解説 > 解説|ドイツ-製品安全法(ProdSG)
法令の情報時期:2021年7月 公布 ページ作成時期:2025年3月

目的

目的

この法律の目的は、製品のEU市場への提供または展示、もしくは初回使用に関する規制を定め、製品の安全性と適法性を確保することである。

概要

概要

この法律は、製品のEU市場への提供または展示、もしくは初回使用に関する規制を定め、安全性と適法性を確保することを目的とし、製造者等事業者の義務、安全性の評価基準や評価機関、安全性を示すマーク等について定めている。

違反した場合の罰則規定も定められている。

ただし、骨董品(アンティーク)や修理が必要な中古品、軍事用途製品、食品や医療機器など、一部の製品は適用対象外となる。

また、この法律はドイツ国内のみならず、国連海洋法条約に基づく排他的経済水域にも適用される。

注目定義

<対象者>

■ 「製造者」(Hersteller)

「製造者」とは、製品を製造する、または開発もしくは製造を委託し、自らの名前または商標のもとで販売するすべての自然人または法人をいう。以下のいずれかに該当する者も製造者とみなされる。
a) 事業として、自身の名前、商標、または識別可能な標章を製品に付し、それによって製造者としての立場を示す者
  b) 製品を再加工する、または消費者向け製品の安全性に影響を与え、その後市場に提供する者

■ 「輸入者」(Einführer)

「輸入者」とは、EU内に拠点を持ち、第三国から製品をEU市場に輸入する者をいう。

■ 「販売業者」(Händler)

「販売業者」とは、製造者および輸入者以外の、製品を市場に流通させるサプライチェーン内の自然人または法人をいう。

■ 「フルフィルメント事業者」(Fulfilment-Dienstleister)

「フルフィルメント事業者」とは、事業活動の一環として、当該事業者が所有権を持たない製品に関して、保管、梱包、宛名付け、発送のうち少なくとも2つの業務を提供する自然人または法人をいう。
ただし、以下の業務は除外される。
1.欧州議会および理事会指令97/67/EGの第2条 第1号に定義される郵便サービス
2.欧州議会および理事会規則(EU)2018/644の第2条 第2号に定義される宅配便サービス
3.その他の郵便サービスや貨物輸送サービス

■ 「認定代理人」(Bevollmächtigter)

「認定代理人」とは、EU内に設立された自然人または法人で、関連するEU調和法または本法の要件に従って製造者に代わって特定の業務を遂行するために製造者から書面で任命された者をいう。

■ 「製品」(Produkt)

「製品」とは、製造工程によって生産された物品、物質、または混合物をいう。

■ 「消費者向け製品」(Verbraucherprodukt)

「消費者向け製品」とは、新品、中古品、または再加工された製品で、消費者を対象とするもの、または、たとえ消費者向けに設計されていなくても、合理的に予測可能な条件下で消費者が使用する可能性のあるものをいう。また、消費者に対してサービスの一環として提供される製品も消費者向け製品に該当する。

■ 「EU市場への提供」(Bereitstellung auf dem Unionsmarkt)

「EU市場への提供」とは、商業活動の過程でEU市場での流通、消費または使用のために、有償か無償かを問わず、製品を供給するこという。

■ 「上市」(Inverkehrbringen)

「上市」とは、ある製品の初回のEU市場への提供をいう。

■ 「適合性評価」(Konformitätsbewertung)

「適合性評価」とは、EUにおける製品、製法、サービス、システム、人、または団体に関する規制要件を満たしているかどうかを評価する手続きをいう。

■ 「CEマーク」(CE-Kennzeichnung)

「CEマーク」とは、製品がEU調和法に定められた適用要件に準拠していることを示すために、製造者による貼付が義務となっているマークをいう。

■ 「GSマーク」(GS-Zeichen)

「GSマーク」とは、認証機関による試験を受け、製品の安全性が、本法律(製品安全法)に基づく要件を満たしていることを示す認証マークをいう。

■ 「深刻な危険」(Ernstes Risiko)

「深刻な危険」とは、リスク評価に基づき、製品が重大な危険を伴うと判断された場合に市場監視当局が迅速な対応を求める基準をいう。

適用除外(対象外・猶予・免除等)

流通・供給の禁止

本法律は、以下の製品には適用されない。

骨董品(アンティーク)
使用済み製品(使用前に修理または再生処理が必要なもの。ただし、事業者が提供先に対し十分な情報を提供している場合)
軍事目的専用の製品(その構造上、軍事用途のみに使用されるもの)
食品、飼料、生きた植物や動物、人由来の製品、および将来の繁殖に直接関わる植物・動物由来の製品
医療機器(欧州議会および理事会規則 (EU) 2017/745 に定められる医療機器、および (EU) 2017/746 に定められる体外診断用医療機器)
輸送に関する法規制の適用を受ける危険物輸送用の可搬型加圧機器、包装容器、タンク
農薬(欧州議会および理事会規則 (EC) 1107/2009 に定義されるもの)

本法律の規定は、以下の場合には適用されない。
(1)本法律で対象とする製品に関して、他の法規で特別な規定がある場合 
(2)他の法規が、市場での提供に関する特定の側面について具体的な規定を定めている場合 (第1条)

事業者が注意すべき内容

本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。
ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
機械安全、設備安全

製品は、条例に規定された要件を満たし、かつ意図されたとおりに使用された場合、または予見可能な方法で使用された場合に、人の安全および健康、またはその他の法益を脅かさない場合に販売することができる。(詳しくは第3条参照)

製造者、認定代理人、輸入者は、それぞれの事業活動の範囲内で消費者向け製品を市場に提供する際に以下の義務を負う。
1.製品の通常の使用や予見可能な使用において生じうる危険のうち、適切な注意喚起がなければ直ちに認識できないものについて、消費者が評価し、適切に保護できるように情報を提供すること、
2.製造者の氏名および連絡先、または製造者が欧州経済領域(EEA)に拠点を持たない場合は、代理人または輸入者の氏名および連絡先を記載すること、
3.製品を識別するための明確な表示を行うこと。(詳しくは第6条参照)

製造者、認定代理人、輸入者は、それぞれの事業活動の範囲内で、市場に提供した消費者向け製品に関連する危険を回避するための適切な措置を講じなければならない。これらの措置は製品の特性に応じたものでなければならず、製品の市場撤退、適切で効果的な警告の発信、リコールにまで及ぶことがある。(第6条)

製造者、認定代理人、輸入者は、市場に提供した消費者向け製品について、以下の安全管理措置を実施しなければならない。1.抜き取り検査(サンプルテスト)の実施、2.消費者からの苦情対応および必要に応じた苦情記録の作成、3.製品に関する追加措置について、販売業者への通知(第6条)

情報伝達、連絡

製造者、認定代理人、輸入者、販売業者、フルフィルメント事業者は、EU指令2001/95/EG(一般製品安全指令)の附属書Iに従い、市場に提供した消費者向け製品が人の安全や健康に危険をもたらす場合、直ちに各州の州法に基づき定められた、管轄の市場監督当局に報告しなければならない。特に当局には、危険を防ぐために実施した措置について通知する必要がある。(詳しくは第6条参照)

販売業者は、市場に提供する消費者向け製品が安全であることを確保しなければならない。特に、その製品が第3条(製品の市場提供に関する一般要件)に適合していないことを知っている、または知り得る状況にある場合、その製品を市場に提供してはならない。(第6条)

フルフィルメント事業者は、安全な製品のみが消費者に届くようにする責任を負う。特に、その製品が第3条(製品の市場提供に関する一般要件)に適合していないことを知っている、または知り得る状況にある場合、その製品を流通させてはならない。(第6条)

製造者は、CEマークが必要な製品について、上市の前に適合性評価を受け、製品または包装または付属文書にCEマークを貼付しなければならない。(詳しくは第7条参照)

資格、認定

製造者または認定代理人は、GSマークを使用する場合、GS機関による試験を受け、証明書を取得しなければならない。(詳しくは第20条参照)

製造者は、GSマークの使用において、製品が試験を受けた型式に適合することを保証しなければならない。(第24条)

製造者は、第20条 第 5 項に従ってGS団体から証明書を発行され、第20条 第3項に従った要件が満たされている場合に限り、GSマークを使用し、それを広告することができる。GS機関が第22条第5項に従って授与を取り消した場合、または第22条第7項に従って授与を一時停止した場合は、GSマークを使用し、またはGSマークを用いて広告することはできない。(第24条)

製造者は、GSマークをデザインする場合、附属書の要求事項および製品安全委員会が決定した仕様を遵守しなければならない。(第24条および附属書参照)

輸入者は、第20条 第5項に従って製品が証明書を有することを最初に確認した場合に限り、GSマークを付した製品を上市することができる。(第24条)

輸入者は、製品を上市する前に、(第24条)第1項の試験について、少なくとも以下の情報を含む文書を作成しなければならない。1.試験日、2.第20条第5項に従って証明書を発行したGS機関の名称、3.GSマークの付与に関する証明書の番号(第24条)

目次

第一章 一般規定

第1条 適用範囲

第2条 用語の定義

第二章 製品の上市および展示の要件

第3条 製品の市場提供に関する一般要件

第4条 統一規格

第5条 規格およびその他の技術仕様

第6条 消費者向け製品の上市に関する追加要件

第7条 CEマーク

第8条 法規制発布の権限

第三章 認可機関に関する規定

第9条   認可機関の職務

第10条 認可機関の要件

第11条 認可機関の権限

第四章 適合性評価機関による届出

第12条 届出申請

第13条 適合性評価機関の届出に関する要件

第14条 適合性推定

第15条 権限付与および届出手続き

第16条 届出機関の義務

第17条 届出機関の報告義務

第18条 届出機関の支局および下請け

第19条 付与された権限の取消し

第五章 GSマーク

第20条 GSマークの認定

第21条 GS機関としての活動の権限

第22条 GS機関の義務

第23条 外部機関の関与

第24条 製造者および輸入者の義務

第六章 市場監視、労働安全衛生研究所および製品安全委員会

第25条 市場監視

第26条 労働安全衛生研究所の職務

第27条 製品安全委員会

第七章 刑事および罰則規定

第28条 罰金規定

第29条 刑事規定

附属書:GSマークのデザイン

基礎情報

法令(現地語)

Gesetz über die Bereitstellung von Produkten auf dem Markt (Produktsicherheitsgesetz – ProdSG)

法令(日本語)

製品の市場提供に関する法律(製品安全法)

公布日

2021年7月27日

所管当局

連邦労働安全衛生研究所(BAuA)

作成者

LOGO-600w

株式会社先読

調査相談はこちら

概要調査、詳細調査、比較調査、個別の和訳、定期報告調査、年間コンサルなど
様々な調査に柔軟に対応可能でございます。

(調査例)
  • ●●の詳細調査/定期報告調査
  • ●●の他国(複数)における規制状況調査
  • 細かな質問への適宜対応が可能な年間相談サービス
  • 世界複数ヵ国における●●の比較調査 など
無料相談フォーム

    会社名・団体名

    必須

    ※個人の方は「個人」とご入力ください。

    所属・部署

    任意

    お名前

    必須

    メールアドレス

    必須

    電話番号

    任意

    お問い合わせ内容

    任意

    無料メールマガジンの申込み|
    希望の情報分野を選択可能

    登録はこちらからメールアドレスを入力してお申込みください。

    「登録」クリック後、購読したいメールマガジンの種類を選択いただけます。

    ★配信頻度|各メルマガについて月に1~2回
    (不定期)

    メルマガ|全般(全分野)

    当社で扱う情報分野全般の注目規制動向の情報にご関心がある方はこちら。

    メルマガ|化学物質

    化学物質分野の注目規制動向の情報にご関心がある方はこちら。一般・工業用化学品や軍事用途の化学品、食品添加物や農薬、医薬品などが対象です。

    メルマガ|環境

    環境分野の注目規制動向の情報にご関心がある方はこちら。大気・水・土壌汚染のほか、地球温暖化やオゾン層破壊、騒音・振動・悪臭などに対する規制が対象です。

    メルマガ|先端技術

    先端技術分野の注目規制動向の情報にご関心がある方はこちら。当社で言う先端技術分野とは、人工知能(AI)、仮想・拡張現実(VR・AR)、自動運転、エコカー、デジタルトランスフォーメーション(DX)などをいいます。

    メルマガ|新領域

    新領域分野の注目規制動向の情報にご関心がある方はこちら。当社でいう新領域分野とは、宇宙、海底・深海底、大深度地下などをいいます。

    Page Top
    「目次」 「目次」