解説韓国 – 化学物質管理法(化管法)

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法令の情報時期:2024年2月 統合版 ページ作成時期:2025年4月

目的

目的

本法は、化学物質による国民の健康および環境上の危害を予防し、化学物質を適切に管理するとともに、化学物質による事故に迅速に対応することにより、国民の生命と財産または環境を保護することを目的とする。

概要

概要

本法は、人体・生態有害性物質や事故対備物質を含む広範な化学物質を対象として、その製造・輸入・販売・保管・使用等を総合的に規制し、化学物質による事故対応についても定めている。

有害化学物質の取扱いに際しては、取扱施設の安全基準や定期検査・安全診断を受ける義務が課されている。さらに、事故発生の可能性を評価し、被害を最小化するための化学事故予防管理計画書を作成・提出が求められる。

監督と執行の中心は環境部長官であり、重要事項審議のため下位組織として化学物質管理委員会が置かれている。環境部長官には、報告・資料提出命令、施設立入検査等の権限が与えられ、違反があれば営業停止・許可取り消し、改善命令などの行政処分を行う。また、重大な違反には懲役や罰金が科される。

注目定義

■ 「化学物質」(화학물질)

「化学物質」とは、「化学物質の登録および評価等に関する法律」(化評法)第2条第1号に定める化学物質をいう。

■ 「人体急性有害性物質」(인체급성유해성물질)

「人体急性有害性物質」とは、「化学物質の登録および評価等に関する法律」第2条第6号に定める人体急性有害性物質をいう。※「人体慢性有害性物質」「生態有害性物質」についても、同法第2条に定める有害性物質をいう。

■ 「許可物質」(허가물질)

「許可物質」とは、「化学物質の登録および評価等に関する法律」第2条第7号に定める許可物質をいう。

■ 「制限物質」(제한물질)

「制限物質」とは、「化学物質の登録および評価等に関する法律」第2条第8号に定める制限物質をいう。

■ 「禁止物質」(금지물질)

「禁止物質」とは、「化学物質の登録および評価等に関する法律」第2条第9号に定める禁止物質をいう。

■ 「事故対備物質」(사고대비물질)

「事故対備物質」とは、化学物質のうち急性毒性・爆発性などが強く、化学事故が発生する可能性が高い、または化学事故が発生した場合、その被害規模が大きくなるおそれがあるため化学事故の対備が必要と認められ、第39条により環境部長官が指定・告示した化学物質をいう。

■ 「有害化学物質」(유해화학물질)

「有害化学物質」とは、人体急性有害性物質、人体慢性有害性物質、生態有害性物質および事故対備物質をいう。

■ 「取扱施設」(취급시설)

「取扱施設」とは、化学物質を製造、保管・貯蔵、運搬(航空機・船舶・鉄道を用いた運搬は除く)または使用する施設もしくは設備をいう。

■ 「取扱い」(취급)

「取扱い」とは、化学物質を製造、輸入、販売、保管・貯蔵、運搬または使用することをいう。

■ 「化学事故」(화학사고)

「化学事故」とは、施設の交換などの作業時における作業者の過失、施設欠陥・老朽化、自然災害、輸送事故などにより化学物質が人や環境に流出・漏出して生じるすべての状況をいう。

適用除外(対象外・猶予・免除等)

「原子力安全法」第2条第5号に定める放射性物質

「薬事法」第2条第4号・第7号に定める医薬品および医薬部外品

「麻薬類管理に関する法律」第2条第1号に定める麻薬類

「化粧品法」第2条第1号に定める化粧品および化粧品に使用する原料

「農薬管理法」第2条第1号・第3号に定める農薬および原剤

「肥料管理法」第2条第1号に定める肥料

「食品衛生法」第2条第1号・第2号・第4号・第5号に定める食品、食品添加物、器具および容器・包装

「飼料管理法」第2条第1号に定める飼料

「銃砲・刀剣・火薬類等取締法」第2条第3項に定める火薬類

「軍需品管理法」第2条および「防衛事業法」第3条第2号に定める軍需品(「軍需品管理法」第3条に定める通常品は除く)

「健康機能食品に関する法律」第3条第1号に定める健康機能食品

「医療機器法」第2条第1項に定める医療機器

「高圧ガス安全管理法」に定める毒性ガス

「環境にやさしい農漁業の育成および有機食品等の管理・支援に関する法律」第2条第4号・第5号・第5号の2・第6号および第7号に定める有機食品、非食用有機加工品、無農薬原料加工食品、有機農漁業資材および許容物質

「廃棄物管理法」第2条第4号に定める指定廃棄物(同法第25条第5項第1号から第4号までの廃棄物処理業で取り扱う場合に限る)

事業者が注意すべき内容

本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。
ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
有害物質、危険物

化学物質を製造または輸入しようとする者は、当該物質が「化学物質の登録および評価等に関する法律」における既存化学物質か新規化学物質か、また有害性の程度などについて確認を行い、必要な手続を踏むことが義務付けられている。(第9条)

化学物質の排出量が一定量を超える場合には、5年ごとに排出削減計画書の提出義務を負う。(第11条の2)

有害化学物質を取り扱う場合は有害化学物質取扱基準を遵守し、必要に応じて個人保護具を着用しなければならない。また、陳列・保管・運搬する量が一定量を超える場合には環境部長官の確認が必要である。(第13条、第14条、第15条)

有害化学物質を取り扱う者は、容器や包装に、第16号の各号の事項が含まれた有害化学物質に関する表示をしなければならない。(第16条)

人の安全

「禁止物質」「制限物質」は取り扱いを禁止、制限されている。ただし、別途定められたところにより環境部長官の許可を得た場合は、この限りではない。(第18条)

「許可物質」を製造・輸入・使用しようとする者は、必要な資料を提出し、環境部長官の許可を得なければならない。ただし、「化評法」第25条の許可猶予期間内である場合、また、機械に内蔵されて輸入される化学物質など、本法19条第2項に該当する場合はこの限りではない。(第19条)

「人体急性有害性物質」、「人体慢性有害性物質」、「生態有害性物質」を輸入しようとする者は、有害性物質の種類や用途等を環境部長官に申告しなければならない。(第20条)

資格、認定

有害化学物質取扱施設においては、化学事故予防管理計画書を作成・提出する必要がある。提出後は必要に応じて住民への周知を行わなければならない。(第23条)

事業者は、取扱施設や装備等を週1回以上自主点検し、その結果を5年間記録・保管しなければならない。(第26条)

有害化学物質の製造・販売などの営業を行う場合は、許可申請をしなければならない。許可取得後も変更があった場合には変更の許可や申請が必要である。また、通信販売で有害物質を販売する場合は購入者の実名・年齢確認および本人認証を経なければならない。(第28条)

国外で化学物質を製造・生産し韓国へ輸入しようとする者は、要件を満たす者を選任し、輸入者に代わって化学物質確認、許可申請等の業務を行わせることができる(第38条の2)。

工場・施設の停止・禁止

「事故対備物質」に指定された化学物質を取り扱う場合、出入り管理記録等の管理基準を遵守しなければならない。 (第40条)

化学事故が発生または発生のおそれがある場合、直ちに危害防止に必要な応急措置を講じ、事故の重大性・緊急性が認められる場合は取扱施設の稼働を停止しなければならない。(第43条)

事故発生時には直ちに管轄地方自治体・地方環境官庁・国家警察官庁・消防官庁または地方雇用労働官庁に通報しなければならない。(第43条)

目次

第一章 総則
第1条 目的
第2条 定義
第3条 適用範囲
第4条 国家および地方自治体の責務
第5条 化学物質取扱者の責務
第6条 化学物質の管理に関する基本計画
第7条 化学物質管理委員会
第7条の2 化学物質の管理に関する条例の制定
第8条 主要施策等の協議

第二章 化学物質の統計調査および情報公開等
第9条 化学物質確認
第10条 化学物質統計調査および情報システムの構築・運営
第11条 化学物質排出量調査
第11条の2 化学物質排出削減計画書の作成・提出等
第12条 化学物質調査結果および情報の公開

第三章 有害化学物質等の安全管理

第一節 有害化学物質等の取扱基準等
第13条 有害化学物質取扱基準
第14条 取扱者の個人保護具着用
第15条 有害化学物質の陳列量・保管量の制限等
第16条 有害化学物質の表示等
第16条の2 消費者に対する特例
第17条 有害化学物質等の製造・輸入等の中止等
第18条 禁止物質の取扱禁止および制限物質の取扱制限
第19条 許可物質の製造・輸入・使用許可等
第20条 人体急性有害性物質等の輸入申告
第21条 制限物質または禁止物質の輸出承認等
第22条 幻覚物質の吸入等の禁止

第二節 有害化学物質取扱施設の設置・運営等
第23条 化学事故予防管理計画書の作成・提出
第23条の2 化学事故予防管理計画書の履行等
第23条の3 化学事故予防管理計画書の地域社会への告知
第23条の4 地域化学事故対応計画の策定等
第24条 取扱施設の配置・設置および管理基準等
第25条 取扱施設の改善命令等
第26条 取扱施設等の自主点検

第四章 有害化学物質営業者

第一節 有害化学物質営業許可および営業届出
第27条 有害化学物質営業の区分
第28条 有害化学物質営業許可等
第28条の2 有害化学物質の通信販売
第29条 有害化学物質営業許可等の免除
第29条の2 有害化学物質等の販売者の告知義務
第29条の3 試薬販売業または取扱施設のない有害化学物質販売業の申告
第30条 有害化学物質営業者の欠格事由

第二節 有害化学物質営業者に対する管理
第31条 有害化学物質取扱いの請負申告等
第32条 有害化学物質管理者
第33条 有害化学物質安全教育
第34条 有害化学物質の取扱中断および休業・廃業等
第34条の2 有害化学物質営業者に対する改善命令
第35条 有害化学物質営業許可の取消等
第36条 営業停止処分の代わりに科す課徴金処分
第37条 権利・義務の承継
第38条 有害化学物質管理者および取扱施設の共同活用承認等

第五章 化学事故の備えおよび対応等

第一節 事故対備物質の指定等
第39条 事故対備物質の指定
第40条 事故対備物質の管理基準

第二節 化学事故の対応等
第43条 化学事故発生時の通報等
第44条 化学事故現場対応
第44条の2 化学事故発生施設に対する稼働中止命令
第45条 化学事故影響調査
第46条 措置命令等
第47条 化学事故特別管理地域の指定

第六章 補則
第48条 化学物質総合情報システムの構築・運営
第48条の2 電子民願窓口の設置・運営
第48条の3 資料提供の要請
第48条の4 国外製造・生産者が選任した者による業務遂行
第49条 報告および検査等
第50条 書類の記録・保存
第51条 聴聞
第52条 資料の保護
第53条 化学物質管理に関する協会
第54条 手数料
第55条 権限の委任・委託
第56条 罰則適用における公務員擬制

第七章 罰則
第57条 罰則
第58条 罰則
第59条 罰則
第60条 罰則
第61条 罰則
第62条 罰則
第63条 両罰規定
第64条 過料

付則

基礎情報

法令(現地語)

화학물질관리법

法令(日本語)

化学物質管理法(化管法)

公布日

2024年2月 統合版

所管当局

環境部

作成者

株式会社先読

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