法令の情報時期:2024年1月 U.S.C.確認 | ページ作成時期:2024年02月 |
目的

この法律は、消費者製品に関連する不当な傷害リスクから一般市民を保護すること、消費者が消費者製品の安全性を比較評価できるようにすること、消費者製品の統一安全基準を策定すること、製品に関連した死亡、疾病、傷害の原因と予防に関する研究と調査を促進することを目的としている。
概要

この法律の下で、消費者製品安全委員会は、消費者製品の統一安全基準の策定している。また、委員会は市場に流通している製品が実質的な危険を生じさせることを発見した場合、製造者などに対し、「製造流通の中止」といった公的措置などを講じる。
消費者製品を扱う事業者は、性能要件と表示要件を含む統一安全基準の認証を得る必要がある。消費者製品の米国の関税地域への輸入は、適用される消費者製品安全規則に準拠していない場合や本法で義務付けられている証明書が添付されていない場合などは、拒否される。
ただし、当該製品が米国から輸出するために製造、販売、または販売目的で保有されていることが証明できる場合は、本法は適用されない。
本法に基づく禁止行為を故意に行った者は、その違反は民事罰(罰金刑)に加え5年以下の禁固刑が科される場合がある。
注目定義
■ 「委員会」(Commission)
「委員会」(Commission)とは、本法律の第2053条により設立された消費者製品安全委員会をいう。(2052条(a)(4)) |
■ 「流通業者」(Distributor)
「流通業者」(Distributor)とは、商業における頒布を目的として消費者製品が引き渡す者または販売する者をいうが、当該製品の製造者または小売業者は含まれない。(2052条(a)(8)) |
■ 「製造者」(Manufacturer)
「製造者」(Manufacturer)とは、消費者製品を製造または輸入する者をいう。(2052条(a)(11)) |
■ 「プライベートブランド業者」(Private labeler)
「プライベートブランド業者」(Private labeler)とは、プライベート・ラベルが付された消費者製品のラベルに付されたブランドまたは商標の所有者をいう。(2052条(a)(12)) |
■ 「小売業者」(Retailer)
「小売業者」(Retailer)とは、消費者への販売または頒布を目的として、消費者製品の引渡しまたは販売を行う者をいう。(2052条(a)(13)) |
■ 「第三者物流業者」(Third-party logistics provider)
「第三者物流業者」(Third-party logistics provider)とは、通常の業務において消費者製品の受領、保管、その他の輸送のみを行うが、当該製品の所有権を有しない者をいう。(2052条(a)(16)) |
■ 「普通運送人、契約運送人、第三者物流業者、および貨物運送業者」(Common carriers, contract carriers, third-party logistics provider, and freight forwarders)
「普通運送人、契約運送人、第三者物流業者、および貨物運送業者」(Common carriers, contract carriers, third-party logistics provider, and freight forwarders)とは、通常の業務において消費者製品を受領または輸送することのみを行い、消費者製品の製造者、販売業者、または小売業者とみなされない者をいう。(2052条(b)) |
■ 「子供向け製品」(Children’s product)
「子供向け製品」(Children’s product)とは、主に12歳以下の子供向けに設計または意図された消費者向け製品をいう。消費者製品が主に12歳以下の児童を対象としているかどうかは、 (A)製造者の声明(当該製品に貼られたラベルを含む)、 (B)包装、表示、宣伝、広告においての表現、 (C)消費者の一般的な認識、(D)委員会の年齢判定ガイドライン、に従って判断される(2052条(a)(2))。 |
■ 「消費者製品」(Consumer product)
「消費者製品(Consumer product)」とは、家庭もしくは住居、学校、レクリエーションの場、その他、またはその周辺で使用される製品を消費者製品という(2052条(a)(5))。 (i)恒久的もしくは一時的な家庭もしくは住居、学校、レクリエーション、その他において、またはその周辺で使用するために消費者に販売するためのもの、または (ii)(i)と同条件で消費者が個人的に使用、消費、または享受するために、製造または頒布される物品またはその構成部分をいう。ツアー旅行の運航費なども含まれる(2052条(a)(5))。 |
適用除外(対象外・猶予・免除等)
「消費者製品(Consumer product)」に、次のものは含まれない。
(A) 慣習的に製造または頒布されない物品
(B) タバコおよびタバコ製品
(C) 自動車または自動車機器
(D) 農薬(連邦殺虫・殺菌・殺鼠剤法[7 U.S.C. 136条])
(E) 製造者、生産者、または輸入者によって販売された場合で1986年内国歳入法[26 U.S.C. 4181条]によって課される税金の対象となる物品、またはそのような物品の構成部品
(F) 航空機、航空機エンジン、プロペラ、または器具
(G) 船舶、船舶の付属品、船舶または船舶での機器の一部
(H) 医薬品、(医療)機器、化粧品(連邦食品・医薬品・化粧品法[21 U.S.C. 321(g)、(h)、および(i)条、201条(g)、(h)、および(i)]
(I) 食品(連邦食品・医薬品・化粧品法[21 U.S.C. 321条(f)、201条(f)])のすべての「食品」、家禽および家禽製品(家禽製品検査法[21 U. S.C. 453条(e)および(f)])、食肉や食肉食品(連邦食肉検査法[21 U.S.C. 601条])、卵および卵製品(卵製品検査法[21 U.S.C. 1033条])は含まれない(2052条(a)(5))。
事業者が注意すべき内容
本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。 ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。 |

消費者製品安全基準の要件は、(1)性能要件で表される要件と(2)消費者製品に明確かつ適切な警告または指示を表示または添付する要件の2つもしくはそれ以上で構成され、当該製品に関連する不合理な傷害のリスクを防止または低減するために合理的に必要なものでなければならない。
また、消費者製品安全委員会は、消費者製品安全自主基準に依拠できるが、その場合、自主基準の遵守を監視するための手順を考案しなければならない(2056条)。

消費者製品は、免除される一定の製品(例えば、7,500個の製品を作る小ロット製造品、小分けに製造される各バッチ、特定の印刷物)以外は、認証が行われ(2063条(a))、そのために委員会が策定した合理的な試験プログラム(2063条(b))を受ける必要がある。
また、「消費者製品の製造日および製造地」「製品のコーホート情報(バッチや実行番号、またはその他の識別表記を含む)」「消費者製品の製造者の適切な識別情報」「消費者製品安全基準を満たしていることの証明と適用される基準の明記」などといったラベル表示および内容要件がある。(2063条(c))。
試験プログラムには、適合性評価機関による、第三者試験が含まれている(2063条(d))。
製造者またはプライベートブランド業者は、要請があれば、試験の結果を記した証明書を、証明書を発行する委員会に証明書の写しを提出しなければならない(2063条(g))。

委員会は、市場に流通している製品について実質的な製品の危険を生じさせることを発見した場合、製造者、販売業者または小売店に対し、一定の公的措置を講じるように命じる権限がある(2064条(c))。
委員会は、「製造流通の中止」、「製品を輸送、流通または別途取り扱う者全員に対する、製品販売の即時中止の通知」「該当する州および地方自治体の公衆衛生担当者への通知」を行う。
さらに、製造者、販売業者、流通業者または小売業者などは、自社のウェブサイトおよび製品の販売用のウェブサイトでの通知やテレビなどでの告知を行うことを求められる場合がある。これらは、委員会からすべての関連者などに通知が行われる。

さらに委員会は、実質的な製品の危険を排除するために必要な措置の実行計画を提出するように要求できる。具体的には、当該製品に対する「修理」「交換」「返金」といった措置を命じる。
措置が有効もしくは適切ではない、または有効に実行されていないと委員会が判断した場合、修正命令が発せられ、場合によっては製品の流通目的の販売が委員会によって禁止されることもある(2064条(d))。
また、死亡、重篤な疾病、または重篤な人身傷害の差し迫った不合理な危険をもたらす消費者製品であった場合には、委員会が訴訟の提起を行う場合もある(2061条)。

委員会は、リコール通知要件のガイドラインを定めている。ガイドラインには、消費者がリコールされる特定の製品を確認し、「当該製品について確認された危険」と「製品を購入した消費者が利用できる救済措置」を理解するための情報が記載されている。
リコール通知の内容とは、例えば次のものをいう。
(A) 製品の説明(型番または最小在庫管理単位、製品の一般名称および製品の写真を含みます)
(B) 措置の内容
(C) 措置が講じられる製品の個数
(D) 製品の危険および措置の理由
(E) 製造者および小売業者の特定
(F) 製品の製造から販売までの期間
(G) 製品に関連して発生した死傷事故の件数および説明
(H) 消費者が利用できる救済措置の情報などである(2064条(i))。

本法の下で、消費者製品の米国の関税地域への輸入は、以下の場合、入国を拒否される。
(1)適用される消費者製品安全規則に準拠していない場合
(2)委員会が施行する他の法律で義務付けられている証明書が添付されていない、または虚偽の証明書が添付されている場合。
また、差し迫った危険性を生じる可能性がある製品の場合、委員会が妥当な数の見本を参考に、製品の所有者もしくは荷受人の聴聞が行われる(2066条)。
輸入製品の製造者も、すべての検査および記録保持の要件(2065条)を遵守しなければならない。

ただし、当該製品が米国から輸出するために製造、販売、または販売目的で保有されていることが証明できる場合(または、当該製品が輸出のために輸入された場合)には、いかなる消費者製品にも適用されない。
一方、当該製品の輸出が(1)米国内の消費者に不当な損害を与える危険性があると委員会が判断した場合、および(2)当該消費者製品が商取引で流通する場合などは、消費者製品として本法が適用される(2065条)。
また、消費者製品安全規則に適合していない製品を外国に輸出する場合、例外を除いてその30日以上前に、当該輸出者は、委員会に当該輸出を通知する声明書を提出しなければならない(2065条)。

製品の製造・販売等に関する禁止行為として、以下の12の行為などがあげられる(2068条)。
(1)消費者製品であり、しかし本章に基づく該当する消費者製品安全規則、または委員会が施行する他の法律の下施行された規則、規制、基準、もしくは禁止事項に適合していないものを、販売、販売の申し出、販売のための製造、商業上の頒布、または米国に輸入すること
(2)製造者が自主的に是正措置を講じている製品、委員会の命令に従っている製品、禁止有害物質を販売、販売の申出、販売のための製造、商業上の頒布、または米国に輸入すること
(3)本章または本規則に基づき要求される、記録へのアクセスや複写、記録の維持、報告もしくは情報提供を行わない、もしくは拒否すること
(4)製品の危険性(2064条(b))に関する情報を提供しないこと
(5)製品の通知、修理、交換、払い戻し、および禁止行為に関する内容(2064条(c)または(d))に基づき発行された命令に従わないこと
(6)本章または委員会が施行するその他の法律により要求される証明書を提出しないこと、または、当該証明書が虚偽である場合、もしくはラベル要件(2063条)の内容に従わないこと
(7)本章の備蓄(2058条(g)(2))、性能および技術データの提供(2076条(e))、セルロース断熱材の表示と試験(2082条)の規則に従わないこと
(8)委員会に声明書(2067条(b))を提出しないこと (9)情報報告(2084条)の義務を怠ること
(9)認定適合性評価機関が所有する登録安全認証マークが付された消費者製品を販売、販売の申出、商業上の頒布、または米国に輸入すること
(10)差し迫った不合理な危険をもたらす(2061条)もしくは重大な危険を伴う消費者製品(2064条)について、委員会の役員または職員に虚偽の説明をすること
(11)第三者の適合性評価機関(2063条(f)(2)に定義)に対し、製品の試験またはその報告に関して、不当な影響力を行使すること、または行使しようとすること
(12)第三者による試験要件(2063条(a)(2))を回避するため、子供用製品の生産を少量に分割すること。
ただし、以上の本章第2063条(a)項に従って発行された、当該消費者向け製品が適用されるすべての消費者製品安全規則に適合している旨の証明書を保有する者、または当該製品が適用される製品安全規則の対象外であるという製造者もしくは販売業者の表明を誠実に信頼する者は、例外として禁止行為をする者には当たらない。
故意にこれら禁止行為を行った者は、その違反1件につき10万ドル(複数の禁止行為があった場合、違反の全体で15万ドル)を超えない民事罰の対象となり、その金額は2069条に従う。加えて、故意による違反の場合、5年以下の禁固刑が科される場合がある(2070条)。

委員会が以下のように判断した製品は、禁止有害製品となる(2057条)。
(1)消費者製品が商業的に流通している、または流通する予定であり、当該消費者製品が不合理な傷害の危険性を示す、
(2)本章に基づく実行可能な消費者製品安全基準では、当該製品に関連する不合理な傷害リスクから公衆を適切に保護することができない製品。
2057条で指定された「亜硝酸ブチル(2057a条)」「亜硝酸イソプロパルおよびその他の亜硝酸塩(2057b条)」「特定フタル酸エステル類を含む製品の販売(2057c条)」「乳幼児用傾斜まくら(2057d条)」「ベビーベッド用バンパー(2057e条)」製品は禁止有害製品にあたる。

子供を対象とした製品は、特定の項目で追加的に以下のように定められている。
5歳未満が使用することが想定された乳幼児製品(ベビーベッド、幼児用ベッド、補助椅子、乳幼児お風呂用バスシート、閉じ込めるためのゲート、プレイヤード、幼児用抱っこひも、ベビーカー、歩行器、ブランコ、ゆりかごなどは「耐久性のある育児用品の基準(2056a条)」項が、子供用の玩具はASTM国際規格F963-07「玩具の安全性に関する消費者安全仕様」の規定が付随した「必須玩具の安全基準(2057b条)」項が、安全基準やその要件を定めている。
また、ベビーベッド用のバンパー(2057d条)や乳幼児用傾斜まくら(2057e条)は禁止されている。

本法の下で、消費者製品安全基準が施行され、消費者製品に関連する傷害リスクに適用されている場合、いかなる州または州の政治的下位区分も、連邦基準の要件と同一もしくはより厳しい性能基準を課す消費者製品安全要件でない限り、当該製品の性能、組成、内容物、設計、仕上げ、構造、包装、または表示に関する要件を規定する安全基準または規制の条項を制定・施行できない(2075条)。
目次
15 U.S.C. 第47章消費者製品安全法
2051.議会所見および目的宣言
2052.定義
2053.消費者製品安全委員会
2053a.従業員研修交流
2054.製品安全情報および調査
2055.情報の公開
2055a.一般に利用可能な消費者製品安全情報データベース
2056.消費者製品安全基準
2056a.耐久性のある育児用品の基準と消費者登録
2056b.必須玩具の安全基準
2056c.乾式壁の硫黄含有量基準
2056d.裸火またはその他の着火源付近での携帯燃料容器の爆発を防止するための性能基準
2056e.ボタン電池またはコイン電池、およびそのような電池を含む消費者製品の安全基準
2056f.衣類収納庫の転倒を防止するための消費者製品安全基準
2057.禁止される有害製品
2057a.亜硝酸ブチルの禁止
2057b.亜硝酸イソプロパルおよびその他の亜硝酸塩の禁止
2057c.特定フタル酸エステル類を含む製品の販売禁止
2057d.乳幼児用傾斜まくらの禁止
2057e.ベビーベッド用バンパーの禁止
2058.消費者製品安全規則の手続き
2059.廃止
2060.消費者製品安全規則の司法審査
2061.差し迫った危険
2062.廃止
2063.製品認証およびラベリング
2064.製品の重大な危険性
2065.検査および記録保管
2066.輸入製品
2067.輸出の免除
2068.禁止行為
2069.民事罰
2070.刑事罰
2071.強制執行および差し押さえ
2072.損害賠償請求訴訟
2073.製品安全規則および第2064条命令の追加執行
2074.私的救済
2075.州基準
2076.消費者製品安全委員会の追加機能
2076a.民事罰に関する報告
2076b.監察総監の監査と報告
2077.慢性危険諮問委員会
2078.州および他の連邦機関との協力
2079.機能の移転
2080.消費者製品安全委員会の管轄権の制限
2081.予算の承認
2082.暫定的セルロース断熱材安全基準
2083.消費者製品安全規則の議会拒否権
2084.情報報告
2085.低速電動自転車
2086.業界主催旅行の禁止
2087.内部告発者保護
2088.財務責任
2089.全地形対応車
2090.一酸化炭素中毒予防のための助成金プログラム
基礎情報
法令(現地語) | |
法令(日本語) | 消費者製品安全法 |
公布日 | 1972年10月27日 (本稿執筆時点の最終改正:2022年12月29日) |
所管当局 | 米国消費者製品安全委員会(Consumer Product Safety Commission、CPSC) |
作成者

株式会社先読
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