法令の情報時期:2024年2月 U.S.C.確認 | ページ作成時期:2024年2月 |
目的

この法律は、消費者が有害な家庭用製品を安全に保管・使用できるように、また事故が起きた場合にすぐに取るべき応急処置に関する情報を提供するために、有害な家庭用製品の直属容器に予防ラベルを貼ることを義務付けている。
同法はまた、消費者製品安全委員会が、同法が要求するラベルでは消費者を保護するのに十分でないほど有害な危険がある、または有害の性質が強い特定の製品を禁止している。
概要

連邦有害物質法(FHSA)は、米国での消費者製品における有害物質に関する規制のひとつで、消費者製品安全法(CPSA)によって設けられ、政府機関から独立した組織である消費者製品安全委員会(CPSC)が消費者製品の安全の観点から管理を行っている。
特定の有害物質を含有する消費者製品は、ラベル要件もしくは米国内での製造、流通、販売などを行うことが禁止されている。本法に基づく禁止行為を故意に行った者は、刑事罰および、もしくは民事罰が科される場合がある。
子供用製品(たとえば風船やビー玉など)、鉛を含有するものは、特別に項目が準備され、規制されている。
注目定義
■ 「委員会」(Commission)
「委員会」(Commission)とは、本法律の第2053条により設立された消費者製品安全委員会をいう。(1261条(c)) |
■ 「人物」(Person)
「人物 (Person)とは、一員、パートナーシップ、法人、および団体を含む。(1261条(e)) |
■ 「有害物質」(hazardous substance)
「有害物質」(hazardous substance)とは、以下をいう。(1261条(f)) (1)(A)(i)毒性がある、(ii)腐食性がある、(iii)刺激性がある、(iv)強い感作性がある、(v)引火性または可燃性がある、(vi)分解、熱、またはその他の手段により圧力が発生する、物質または物質の混合物で、使用またはその結果として相当な人身傷害または疾病を引き起こす可能性がある場合など。 (B)1262条「有害物質の宣言」の規定に従い、委員会が規則により認めた物質。 (C)成形品として使用されているまたは包装された放射性物質で、委員会が公衆衛生を保護するために本章に従った表示を必要とするほど十分に危険な物質、 (D) 1262条「有害物質の宣言」の規定に従い、委員会が規則により電気的、機械的、または熱的な危険性を示すと認めた、小児による使用を意図した玩具またはその他の成形品、 (E)鉛含有量が0.2%を超えるはんだ。 |
■ 「強感作性物質」(strong sensitizer)
「強感作性物質」(strong sensitizer)」とは、アレルギー性または光線力学的な力によって正常な生体組織に過敏症を引き起こし、同じ物質を再塗布したときに再度同様なことを起こす物質で、委員会がそのように指定したものをいう。(1261条(k)) |
■ 「放射性物質」(radioactive substance)
「放射性物質」(radioactive substance) とは、電離放射線を放出する物質をいう。(1261条(m)) |
■ 「不当表示有害物質」(misbranded hazardous substance)
「不当表示有害物質」(misbranded hazardous substance)とは、規定された有害物質で、包装またはラベル要件が本章1472または第1473条(毒物予防包装法(PPPA)、15 U.S.C. §1472または1473)の下で発行された規制に違反している場合、または本章1262条によって別途規定されている物質を除いた、以下の(1)もしくは(2)の要件を満たすラベルが貼付もしくは包装されていない場合。(1261条(p)) (1)(A)製造者、包装業者、流通業者又は販売業者の名称及び事業所、 (B)危険物質又はその危険性の実質である各成分の一般的又は慣用的な名称又は化学名、 (C)極めて可燃性、腐食性、または毒性が高い物質には危険を示す「DANGER」の表示、 (D)その他のすべての危険物質には注意を示す「WARNING」または「CAUTION」の表示、 (E)「Flammable(引火性)」、「Combustible(可燃性)」「Vapor Harmful(蒸気有害性)」、「Causes Burns(火傷を引き起こす)」、「Absorbed Through Ski(皮膚から吸収される)」など、主な危険性または有害性を示す文章、または危険性を説明する同様の文言、 (F)本章1262条に従って委員会の規則により修正される場合を除き、従うべき、または避けるべき行動を記述した予防措置、 (G)必要または適切な場合、応急処置に関する指示、 (H)「猛毒(1261条(h))」と定義される危険物質については「poison(毒)」の文字、 (I) 取り扱い又は保管に特別な注意を必要とする包装の取扱いおよび保管に関する指示、 (J) (i)「小児の手の届かないところに保管すること」又はこれに相当する記載、又は(ii)小児が使用することを意図し、かつ、禁止された危険物質でない場合には、小児を危険から保護するための適切な指示。 (2)(1)により要求される表示が、目立つように配置され、かつ、他の印刷物とタイポグラフィ、レイアウト、又は色彩により、対照的に、見やすく読みやすい英語で記載されていること。 |
■ 「禁止有害物質」(banned hazardous substance)
「禁止有害物質」(banned hazardous substance)とは、以下(1)と(2)に相当するものをいう。(1261条(q)) (1)(A)小児が使用することを意図した玩具またはその他の物品であって有害物質であるもの、または小児が使用できる、有害物質を含有するもの、 (B)家庭での使用を意図し適切な形態で包装された有害物質であって、しかしたとえラベルなどが行われていたとしても、公衆の健康および安全の保護という目的のために委員会が規則により当該物質を通商の経路から排除するとしたもの。 ただし、規制により、以下の(i)と(ii)は、対象から除外される。 (i)セット品など、その機能上の目的から、関係する危険物質の含有を必要とし、または電気的、機械的もしくは熱的危険伴う物品であって、安全使用のための適切な指示および警告を示すラベルが貼付され、十分な成熟度に達した小児による使用を意図するもの。また、 (ii)一般的な花火で、その購入者および使用者を保護するために適切なラベル付けが可能であると委員会が判断するもの。 (2)委員会が、有害物質と認め、連邦官報に認定を通知されたもの。 |
適用除外(対象外・猶予・免除等)

それぞれの製品に関する規則項目内での除外や対象外品はあるものの、連邦有害物質法での適用除外、対象外、免除品はない。
事業者が注意すべき内容
本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。 ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。 |

以下の行為およびその原因となる行為などは禁止される(1263条):
(a) 「不当表示有害物質」または「禁止有害物質」の商取引を行うこと。
(b) 危険物のラベルの全部または一部を変更、切除、破壊、抹消、除去すること。
(c) 国境を越えた商取引において、「不当表示有害物質」または「禁止有害物質」を受け取り、有償またはその他の方法で引き渡すこと。
(d) 罰則規定(1264条(b)(2))で言及される保証または約束が虚偽である場合。
(e) 本章の施行を目的とした立入り、検査、許可された記録へのアクセスおよび複写を許可しないこと。
(f) 再使用される食品、医薬品や化粧品の容器、または再使用される容器ではないものの識別可能な容器に入れられた危険物を、通商すること。食品、医薬品又は化粧品の容器を有害物質の容器として再利用することは、製品を「不当表示有害物質」とする。
(g) コロンビア特別区内、または立法機関が組織されていない領域内で、「不当表示有害物質」または「禁止有害物質」を製造すること。
(h) 企業秘密として保護されるべき製法に関する情報を、何人かが自己の利益のために使用することなど。
(i) 輸出に関して委員会に通知しなかった場合。
(j) 発行された命令に従わない場合。
(k) 鉛含有量が0.2%を超える鉛はんだで、はんだの鉛含有量を明記し、民間または公共の飲料水供給システムの接合部または付属品の製造に当該はんだを使用することが禁止されていることを警告するラベルを目立つように表示していないものの商取引を行うこと。

上記(1263条)の規定のいずれかに違反した者は、軽罪に問われ、有罪判決を受けた場合、500ドル以下の罰金、または 90日以下の禁固刑、あるいはその両方が刑事罰として科される。
詐欺または誤解を招く意図をもって犯した犯罪、あるいは2度目以降の犯罪については、5年以下の禁固刑、または罰金、あるいはその両方が科される。(1264条(a))

ただし、1264条(a)項には例外が以下3つあり、この場合には罰則の対象とはならない。(1264条(b))
(1)1263条(c)に違反した者で、有害物質の受領、引渡し、または引渡しの申し出を善意で行っていた場合など。
(2)1263条(a)に違反した場合であって、有害物質を善意で受領した米国に居住する者が保証書等に本章の有害物質ではないと署名した場合など。
(3)外国に輸出するために、輸送容器の外側に輸出用と表示され、外国の法律に従ってラベルが貼られ、梱包で出荷された、または出荷のために引き渡された場合など。

刑事罰に加えて、1263条に故意に違反した者は、その違反1件につき10万ドルを超えない民事罰の対象となる。
ただし、1263条(a)、(b)、(c)、(d)、(f)、(g)、(i)、(j)および(k)項の違反は、関連する一連の違反に対する民事罰の上限が1,500万ドルを超えないものとする。(1264条(c))

誤表示された「不当表示有害物質」または「禁止有害物質」を米国内で流通させた、本章の1263条の規定を違反した場合などは、刑事罰もしくは民事罰以外に訴訟される責任も負うものとする。(1265条(a))

本章の施行を目的として、委員会が正当に指名した役員または職員は、
(1)有害物質が存在する工場、倉庫、または施設、さらに車両に立ち入ること、
(2)すべての関連設備、完成品および未完成品の材料、およびラベルを検査することができる。(1270条)

当該「不当表示有害物質」または「禁止有害物質」は、入国を拒否される。そして、拒否の通知の日から90日以内、または当該規則に従って許可される追加期間内に輸出されない限り廃棄される。
ただし、または輸入の申出があった有害物質の受入に関する決定がなされるまでの間、当該有害危険物質の所有者または荷受人は正当かつ十分な保証書の提出により所持することができる。
また、再ラベル貼付またはその他の措置により、本章に適合させることができると委員会が考えられる場合はその実施も許可される。(1273条(a)(b)(c))

米国外に「不当表示有害物質」または「禁止有害物質」を輸出する30日以上前に、委員会に当該輸出を通知する陳述書を提出しなければならない。
委員会は、当該陳述書を受領次第、当該輸出と、当該物質が本章に基づき不当表示、または禁止とみなされた根拠について、速やかに当該国の政府に通知する。(1273条(d))

委員会が、商業上販売される成形品又は物質を「禁止有害物質」と定義し、さらに公衆を適切に保護するために通知が必要であると判断した場合、または有害物質ではないが子供が使用することを意図した玩具又はその他の成形品が子供に傷害を与える欠陥がありかつ公衆に知らせる必要があると判断した場合、
(1)当該成形品又は物質が禁止有害物質であることを公表する、または
(2)製造者、流通業者又は販売業者(再販もしくは輸入する業者も含む)のそれぞれに当該通知を郵送する、
(3)引き渡され又は販売されたことを知っている全ての者に当該通知を郵送する、のいずれかが行われる。
また、委員会が何らかの措置が公共の利益に資すると判断した場合、当該成形品または物質が危険有害物質とならないように、修理または変更を命じられる。(1274条(a)(b)(c))

画材(art materials)のラベルに関しては、米国材料試験協会の規格D-4236を委員会が発行した規制とみなされるものとする。
ちなみに、「画材または画材製品」とは、あらゆる媒体の視覚的または図形的な芸術作品の創作のあらゆる段階での使用に適するものとして、製造者または再包装業者によって販売または表示されるあらゆる物質を意味する。
ただし、連邦殺虫・殺菌・殺鼠剤法(7 U.S.C. §136~)、または連邦食品・医薬品・化粧品法(21 U.S.C. §301~)の対象となる物質は含まれない。

以下(a)3歳以上の子ども向けの玩具またはゲーム、(b) 風船、小球、ビー玉、の特定の玩具およびゲーム、のラベリング要件として、未包装の玩具またはゲームが調剤されるビン、小売陳列用容器、または自動販売機には、本章の1278条(b))に示された注意書きを付すか、または記載しなければならない。
注意書きの要件は、小売業者、製造者、輸入業者、流通業者、またはプライベートブランド業者(1278条におけるこれらの者の定義は消費者製品安全法(CPSA)の2052条に従う)による広告での表示が求められ、また小売業者への通知が義務付けられる。(1278条(a)(b)) 表示は、主要言語で表示すること、読みやすい表示をすることなどが要求される。(1278条(c))
ただし、米国外で製造され、米国の郵便またはその他の配送サービスによって製造者から消費者に直接出荷される製品の場合、製品とともに出荷される他の添付資料にそのような記載があれば、その製品の包装内の添付資料には必要な記載がなくてもよい。(1278条(d))
一方、これら要件に準拠していない製品は、1261条(p)に基づき、「不当表示有害物質」とみなされる。

「鉛を含む子供用製品」と「鉛塗料規則」において、その成形品の形状などに従って、制限値(600、300、100 ppmの段階がある)を超える鉛を含む、もしくは鉛塗装された子供製品は消費者製品安全法(CPSA、15 U.S.C. §2052(a))または本章1261条などで「禁止有害物質」となる。
ただし、特定の使用済み子供用製品などは除外される。
制限値に関しては、規制値は5年ごとに見直されて修正される(1278a条)
目次
15 U.S.C. 第30章 有害物質
1261.定義
1262.有害物質の宣言
1263.禁止行為
1264.罰則、例外
1265.差押え
1266.違反報告前のヒアリング
1267.差止命令、刑事侮辱、裁判所または陪審員による裁判
1268.合衆国の名における手続、追送状
1269.規則
1270.審査および調査
1271.州間輸送の記録
1272.宣伝、報告、情報の普及
1273.輸入
1274.禁止有害物質に関する救済措置
1275.毒物学諮問委員会
1276.有害物質規制に対する議会の拒否権
1277.画材のラベル
1278.特定の玩具およびゲームのラベル要件
1278a.鉛を含む小児用製品、鉛塗料規則
基礎情報
法令(現地語) | |
法令(日本語) | 連邦有害物質法 |
公布日 | 1960年7月12日 (本稿執筆時点の最終改正:2008年8月14日) |
所管当局 |
作成者

株式会社先読