法令の情報時期:2023年12月 U.S.C.確認 | ページ作成時期:2023年12月 |
目的

この法律は、米国における農薬(pesticides)の、製造、流通、販売、使用を規定し、農薬による人間の健康や環境への悪影響を無くすことを目的としている。
概要

この法律では、有害生物の予防、駆除、忌避、軽減を目的とした農薬の製造、流通、販売、保管、使用、破棄、輸出入を規制している。
米国内で農薬を扱う事業者は、環境保護庁(U.S. Environmental Protection Agency、EPA)への登録・認可性で、製造・使用記録とその保管義務に加え、EPAより施設の検査も行われる。
故意に違反した者には、この法律の下での刑事罰則も設けられている。
注目定義
■ 「管理者」(Administrator)
「管理者」とは、環境保護庁(U.S. Environmental Protection Agency、EPA)長官をいう(136条(b))。 この法律の下で、農薬(136a条)とそれを扱う事業所の登録(136e条)、許可(136d条)、検査(136g条)などを行う。 |
■ 「動物」(Animal)
「動物」とは、すべての脊椎動物および無脊椎動物をいい、人間その他の哺乳類、鳥類、魚類、貝類を含むが、これらに限定されない(136条(d)) 。 |
■ 「認定アプリケーター」(Certified applicator)
「認定アプリケーター」とは、使用制限に分類される農薬の使用または使用の監督を行う権限を持つと認定された個人をいう。 登録農薬の保有もしくは適用、または登録農薬の希釈液の使用し、害虫防除のサービスを提供するのみで、サービスを受ける者に農薬を引き渡さないアプリケーターは、農薬の販売者または流通業者とはみなされない。 「民間アプリケーター」「商業用アプリケーター」がある (136条(e))。 |
■ 「生産者」(Producer)
「生産者」とは、農薬または農薬の生産に使用される装置(device)もしくは活性成分(active ingredient)を製造、調製、配合、増量、または加工する者をいう。 農薬に含まれる活性成分を生産している者も含む。登録ラベルに記載された指示に従って、個人が自ら使用するために製剤化された農薬を希釈する者は、本章における「生産者」の定義に含まれない (136条(w))。 |
■ 「登録者」(Registrant)
「登録者」とは、本章の規定に従って農薬を登録した者をいう(136条(y))。 |
■ 「維持管理アプリケーター」(Maintenance applicator)
「維持管理アプリケーター」とは、構造物または芝生害虫駆除を行う目的で、制限用途に分類されない農薬(消費者向け製品の即使用可能な農薬を除く)を、当該個人の主な職務において使用する、または使用を監督する個人をいう(136条(jj))。 多くは、商業用敷地内またはその周辺で使用制限用途に分類されない農薬を使用する者をいう。 |
■ 「サービス技術者」(Service technician)
「サービス技術者」とは、有償で他人の敷地内の構造物または芝生害虫駆除を行う目的で、殺虫剤(すぐに使用できる消費者向け製品の殺虫剤を除く)を使用する、または使用を監督する個人をいう(136条(kk))。 |
■ 「農薬」(Pesticide)
「農薬(Pesticide)」とは、(1)有害生物を予防、駆除、忌避、または軽減することを目的とする物質または混合物(136条(u))、(2)植物調節剤(136条(v))、枯葉剤(136条(f))、または乾燥剤(136条(g))として使用することを目的とする物質または混合物、および(3)窒素安定剤(136条(hh))をいう。 |
■ 「活性成分」(active ingredient)
「活性成分(active ingredient)」とは、 (1)植物調節剤、枯葉剤、乾燥剤、窒素安定剤以外の農薬の場合、有害生物を予防、破壊、忌避、または軽減する成分、 (2)植物調節剤の場合、生理学的作用により、成長速度または成熟速度を加速または遅延するか、または観賞用植物もしくは作物植物またはその製品の挙動を変化させる成分、 (3)枯葉剤の場合、植物から葉または葉柄を落下させる成分、 (4)乾燥剤の場合、植物組織の乾燥を人為的に促進する成分、 (5)窒素安定剤の場合、土壌細菌に影響を及ぼす作用により、硝化、脱窒、アンモニア揮散、ウレアーゼ生成のプロセスを防止または阻害する成分、をいう(136条(a))。 |
■ 「抗菌農薬」(antimicrobial Pesticide)
「抗菌農薬(antimicrobial Pesticide)」とは、 (i)微生物による増殖または発育を、消毒、除菌、減少、または緩和する、もしくは (ii)細菌、ウイルス、真菌、原生動物、藻類、またはスライムによる汚染、汚損、または劣化から、無生物、工業プロセスまたはシステム、表面、水、またはその他の化学物質を保護し、さらに食品添加物規制を免除されるなどの他の規制を受けない農薬のことをいう。 ただし、上記に含まれない農薬活性を主張する木材防腐剤または防汚塗料製品、農業用殺菌剤製品、水生除草剤製品は含まれない。一方で、化学殺菌剤製品、工業用殺微生物剤製品、および除外されていない防腐剤製品は含む(136条(mm))。 |
■ 「装置」(device)
「装置(device)」とは、有害生物またはその他の動植物(人間、または人間や動物に付着または付着している細菌、ウイルス、その他の微生物を除く)を捕獲、駆除、撃退、または軽減することを目的とした器具または装置(銃器を除く)をいう。 ただし、農薬の散布に使用されるが、それとは別に販売される装置は含まれない(136条(h)) |
適用除外(対象外・猶予・免除等)

農薬」に、「新動物用医薬品」である成形品(136条(u))、「木材防腐剤、 農業用殺菌剤製品、水生除草剤製品」である成形品(136条(mm))は含まれない。
「農薬」に、「クリティカルデバイス」という、人体に直接導入され、血流または身体の通常無菌領域に入るか接触する液体化学滅菌剤製品(136条(u))は含まれない。
事業者が注意すべき内容
本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。 ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。 |

FIFRAは、一般的に”環境に不合理な悪影響”をもたらす農薬の登録を禁止し、いずれの州の者も登録されていない農薬を流通、販売、使用してはならない(136a条(a)項)。
登録には、必要条項、情報の提供、申請方法、ラベル要件などが定められている(136a条(c)項)。

すべての登録された農薬製品は、以下の情報を明確かつ目立つようにラベルに表示しなければならない(136a条(c)項)。
また、ラベルを変更する場合には、登録者が、製品を流通または販売する60日前までに、EPAに書面で通知しなければならない。
ラベル表示情報は以下のとおり:
「法の下で販売される製品名、ブランド、商標」
「製造者または登録者の氏名および住所」
「純内容」
「製品登録番号」
「生産事業所番号」
「成分表示」
「警告または予防措置」
「使用方法」
「用途分類」

以下の条件は「不当表示(misbranded、136条(q))」に当たり、不法行為(136j条)であり、販売、使用、持ち出し、差し押さえの停止(136j条)、もしくは輸入禁止(136o条)の対象となる:
「ラベルに虚偽記載」
「基準に適合しない包装」
「模造品」
「すべてのラベル表示情報、使用上の注意、警告文の記載なし」
「目立たない記載」

農薬との偶発的な摂取または接触による重大な傷害や疾病から人間を保護するために、それが封入される包装、容器、または包材に関する基準は、毒物防止包装法(Poison Prevention Packaging Act、15. U.C.S.§1471)の下で制定された基準と、EPAにより整合性が取られている(136w条)。

農薬を製造する施設は、登録され(136e条)、記録管理の作成、維持とその毎年の提出を求められる(136f条)。
農薬への暴露を低減または除去するように設計された職場慣行を採用し、暴露に関連する緊急事態に対応するための手順が確立しているかどうかなどを、EPAにより検査される(136g条)。

農薬の流通や販売過程(136a条)における保管、廃棄、輸送、回収にも登録が必要で、その方法も定められている(136r条)。
また、記録管理の作成、維持とその毎年の提出を求められる(136f条)。

農薬や機器の輸出入は、EPAに通知し、要請に応じて農薬または機器のサンプルを管理者に引き渡さなければならない(136o条)。
サンプルの検査により、その農薬に不純物が混合されているか、不当表示であるか、その他本章に定める規定に違反しているか、または健康もしくは環境を害することが判明した場合、その農薬または機器の入国が拒否され、荷受人への引渡しが拒否される。
財務省長官が定める規則に基づき、引渡しを拒否された農薬または機器は、その拒否の通知の日から90日以内に荷受人が廃棄しなければならない(136i条、136j条)。

登録された農薬の多くは、一般使用を認めておらず、「使用制限のある農薬」として分類されている。
「使用制限」として、認定アプリケーター(具体的には農薬散布者)または認定アプリケーターの監督下にある者のみが、その農薬を使用できることとしている(136i条)。

州により州内での登録農薬の販売、使用、追加用途等が規制されることもある。
ただし、州は、FIFRAの規制において禁止されている農薬の販売および使用を許可してはならない(136w条)。

不法行為には以下のものが含まれる(136j条):
「登録されていない農薬の流通または販売」
「抹消または停止された農薬の流通、販売、使用」
「ラベルの不表示、破壊や汚し」
「必要な記録の作成、維持、提出の拒否」
「立ち入り、検査、記録のコピー、または許可されたサンプリングの拒否」

FIFRAのいずれかの規定に故意に違反した登録者、登録申請者、製造者、商業用アプリケーター、卸売業者、販売業者、小売業者は、50,000米ドル以下の罰金および/または1年以下の懲役の対象となる。
ただし、使用制限農薬のアプリケーターまたは民間アプリケーターはこれら罰金と懲役より低い制限となっている (136l条)。
目次
7 U.S.C. 第6章環境農薬管理
136条 定義(a)~(oo)
136a「農薬の登録」、136a-1.「登録農薬の再登録」
136b.(注)内容は移動
136c.「実験的使用許可」
136d.「行政審査、資格停止」
136e.「事業所の登録」
136f.「帳簿と記録」
136g.「事業所等の検査」
136h.「企業秘密およびその他の情報の保護」
136i.「使用制限農薬の使用、アプリケーター」136i-1.「農薬の記録管理」136i-2.「農薬使用情報の収集」
136j.「不法行為」
136k.「販売、使用、持ち出し、差し押さえの停止」
136l.「罰則」
136m.「補償」
136n.「行政手続き、司法審査」
136o.「輸出入」
136p.「連邦政府機関および州政府機関の免除」
136q.「保管、廃棄、輸送、回収」
136r.「調査とモニタリング」、136r-1.「総合的害虫管理」
136s.「意見募集、公聴会の通知」
136t.「委任と協力」
136u.「国家の協力、援助、訓練」
136v.「州の権限」
136w.「管理者の権限」
136w-1.「州が第一義的な執行責任を負う」
136w-2.「州が農薬使用規制の実施を保証しなかったこと」
136w-3.「害虫の特定、農務省のプログラムとの協力」
136w-4.「省略」
136w-5.「維持管理アプリケーターおよびサービス技術者の研修に関する最低要件」
136w-6.「環境保護庁(U.S. Environmental Protection Agency、EPA)のマイナー・ユース・プログラム」
136w-7.「農務省(United States Department of Agriculture、USDA)のマイナー・ユース・プログラム」
136w-8.「農薬登録サービス料」
136x.「可分性条項」
136y.「充当の承認」
基礎情報
法令(現地語) | |
法令(日本語) | 連邦殺虫剤・殺菌剤・殺鼠剤法 |
公布日 | 1947年6月25日 (本稿執筆時点で確認できる最終改正:2022年12月29日) |
所管当局 |
作成者

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