法令の情報時期:2024年3月 U.S.C.確認 | ページ作成時期:2024年3月 |
目的

毒物予防包装法(PPPA)は、特に5歳以下の児童を重大な人身傷害または重篤な疾病から保護する目的で、家庭で消費する化学製品、食品、医薬品および化粧品等の包装について、特殊包装の基準を定めている。
概要

PPPAは、たばこを含む化学製品、食品、医薬品および化粧品等などを製造する事業者に、製品の「特殊包装」を行う義務を課す法律である。
消費者製品安全委員会が、科学的情報や用途などを考慮して、「特殊包装」の基準を定める。
本法は、①包装の全てを規定しているものではない。また包装は②通常の成人が使用する場合に困難があってはならないとも規定している。また、③「不適合包装」という例外的な包装も認めている。
注目定義
■ 「委員会」(Commission)
「委員会」(Commission)とは、消費者製品安全委員会をいう。(1471条(1)) |
■ 「家庭用物質」(household substance)
「家庭用物質」」とは、家庭内または家庭周辺の個人によって消費または使用のために販売される、慣例的に製造または流通され、あるいは慣例的に貯蔵される物質で、以下のものをいう。 (A) 連邦有害物質法(FHSA、15 U.S.C. 1261条(f))に定義される有害物質 (B) 連邦食品・医薬品・化粧品法(FFDCA、21 U.S.C. 321条)で定義されている食品、医薬品、または化粧品 (C)持ち運び可能な容器に貯蔵され、家屋の暖房、調理、冷蔵システムで燃料として使用されることを意図した物質 (1471条(2)) |
■ 「包装」(package)
「包装」とは、家庭内または家庭外の個人による消費、使用、または保管のために、家庭内物質が入っている直接的な容器または包みを意味する。また、15 U.S.C. 1473条(a)(2)においては、そのような物質を消費者に小売陳列する際に使用される外側の容器または包装も含まれる。ただし、この用語に以下は含まれない。 (A)まとまった量の家庭用物質の、製造者、包装業者、加工業者、または卸売業者もしくは小売業者の輸送のためにのみ使用される、輸送容器または包み (B)小売業者が家庭用物質を消費者に出荷または配送するために使用する出荷用容器または外装包装。ただし、そのような容器または包装が唯一である場合は(B)の内容から除かれる。(1471条(3)) |
■ 「特殊包装」(special packaging)
「特殊包装」とは、5歳未満の児童が合理的な時間内に開封してその中に含まれる物質の毒性もしくは有害な量を得ることが著しく困難であり、かつ、通常の成人が適切に使用することが困難でないように設計又は構築された包装をいう。ただし、すべての5歳未満の児童が合理的な時間内に開封してその中に含まれる物質の毒性もしくは有害な量を得ることができない包装を意味するものではない。 (1471条(4)) |
適用除外(対象外・猶予・免除等)

製造者または包装業者は、本法の1472条に基づき特殊包装の対象となる家庭用物質であっても、以下(a)、(b)の場合には「不適合包装」と表示することで、従来型の包装や販売方法を取ることができる。
ただし、委員会より、命令として特殊包装の基準に準拠した包装を要求される場合もある。(1473条)
(a) 高齢者用または障害者用の「不適合包装」の表示文言 製造者または包装業者は、高齢者または障害者が容易に使用できるようにする目的で、当該基準に準拠していない単一サイズの包装を用いることができる。
ただし、この場合、「この包装は、児童のいない家庭用です(This package for households without young children)」と記載する。もし、この文言を記載するには小さい包装については、同趣旨の委員会が規定した代替文言を使用する。
(b) 医師の指示により調剤された物質の不適合包装 医師、歯科医師、または処方を許可されたその他の免許を有する者の命令に従って調剤されるもので、委員会より指示もしくは購入者より要求があった場合に限り、当該医薬品は非準拠の包装を用いることができる。
事業者が注意すべき内容
本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。 ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。 |

本法に基づいた特殊包装に関する規則は、消費者製品安全委員会(以下、委員会)が、提案、公表、施行を行う。(1474条(a))

委員会は、以下の4点を考慮して、「特殊包装」についての基準を定める。(1473条(b))
(1)その基準の合理性
(2)特殊包装に関する、また家庭用物質による小児期の誤飲、疾病、傷害に関する、入手可能な科学的、医学的、工学的情報
(3)この法律により影響を受ける産業の製造慣行
(4)家庭用物質の性質と用途

本法のいかなる内容を取っても、委員会が製造者や包装業者に、特定の包装デザイン、製品内容、包装数量、表示を規定・命令することはできない。
ただし、委員会が当該物質において特殊包装が必要と判断した場合、委員会はその包装を禁止することができる。(1473条(d))

たばこについては、「液体ニコチン容器の特別包装」として本法1472a条にその要件が記載されている。
米国で商業的に流通、または米国に輸入される液体ニコチン容器で提供されるたばこは、連邦規則集に記載される試験(16 U.S.C. 1700.20条)を受け、規定される基準(16 U.S.C. 1700.15条)に従って包装されなければならない、とされている。(1472a条(a))

特殊包装に関する規則に定められた基準により悪影響を受ける者は、規則が発布されてから60日目以前であればいつでも、米国控訴裁判所に、当該基準の司法審査請求を行うことができる。(1474条(b))

委員会が制定した家庭用物質の特殊包装に関する基準は、いかなる州またはその政治的下位区分も、同一でない基準およびそれに関連する免除などの要件を制定できない。
ただし、州またはその政治的下位区分は、児童が疾病または傷害のリスクから保護する目的で、委員会が制定する基準より厳しい要件については、同一でなくても、その基準を設定し・施行することができる。(1476条)
目次
15 U.S.C. 第39A章 児童保護のための一般家庭用物質の特別包装
1471.定義
1472.特殊包装基準
1472a.液体ニコチン容器の特殊包装
1473.従来型の包装、販売
1474.特殊包装基準に関する規定
1475.廃止
1476.連邦基準の先取り
1477.州検事総長による施行
基礎情報
法令(現地語) | |
法令(日本語) | 毒物予防包装法 |
公布日 | 1970年12月30日 (本稿執筆時点の最終改正:2016年1月28日) |
所管当局 | 米国消費者製品安全委員会(Consumer Product Safety Commission、CPSC) |
作成者

株式会社先読
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