法令の情報時期:2024年03月 U.S.C.確認 | ページ作成時期:2024年3月 |
目的

「所見と方針」において、有毒化学物質の汚染は以下のように対処すべきと記載されている。(13101条)
>可能な限り発生源で防止または削減されるべき
>防止できない汚染は可能な限り環境的に安全な方法でリサイクルされるべき
>防止またはリサイクルできない汚染は可能な限り環境的に安全な方法で処理されるべき
>廃棄またはその他の方法によるマルチメディアへの放出は最後の手段としてのみ採用されるべき
汚染防止法(PPA)は、他の有害物質の法律がその廃棄や処理の段階に重点を置いて対策しているのに対し、上記のように汚染が発生する段階の有害物質の発生源の削減に重点を置いている。
具体的には、設備のエネルギー効率や技術の効率を報告する義務などを課す連邦の汚染物質削減プログラムの確立や各州の汚染を防止するプログラムへの財政的支援方法を規定している。
概要

本法は、米国の水、大気、土壌の保全を目的とし、本法に基づいて環境保護庁(Environmental Protection Agency)は各施設のエネルギーの使用効率を高めるための実践的な規則の制定を行っている。
具体的には、本法によって「発生源の削減(Source reduction)」を定義することで、製造者は「発生源の削減」のための活動、例えば設備や技術の変更や工程または手順の変更などを報告することが義務付けられている。この報告書を有毒化学物質の排出源削減およびリサイクル報告書という。
注目定義
■ 「長官」(Administrator)
「長官」(Administrator)とは、環境保護庁長官をいう。(13120条(1)) |
■ 「当局」(Agency)
「当局」(Agency)とは、環境保護庁(Environmental Protection Agency)をいう。(13120条(2)) |
■ 「有毒化学物質」(toxic chemical)
「「有毒化学物質」(toxic chemical)とは、「緊急時対応計画及び住民の知る権利法(Emergency Planning and Community Right-to-know Act、EPCRA)」の 42 U.S.C.11023条(c)に記載されたリストにある物質をいう。 (13120条(3)) 参考情報: 本項の要件が適用される有害物質は以下の通りである。 (1) 「EPCRA対象の有毒化学物質」と題する上院の環境・公共事業 (Environment and Public Works) 委員会の委員会印刷番号99-169のリスト(改訂版を含む)に記載されている化学物質。 (2) 15 U.S.C.8921条(b)(1)、(c)(1)および(d)(3)に基づき、当該リストに含まれる化学物質。 42 U.S.C.11023条(c) |
■ 「マルチメディア」(multi-media)
「マルチメディア」(multi-media)とは、水、大気、土壌をいう。(13120条(6)) |
■ 「放出」(release)
「放出」(release)とは、本法において、EPCRAの42 U.S.C.11049条(8)に規定されるのと同じ意味を持つ。(13120条(4)) 参考情報: 「放出」とは、有毒化学物質、極めて有害な物質、または有毒な化学物質の、環境への流出、漏出、汲み上げ、注入、排出、放出、浸出、投棄、または廃棄(樽、容器、およびその他の密閉容器の放棄または廃棄を含む)をいう。(42 U.S.C.11049条(8)) |
■ 「発生源削減」(source reduction)
「発生源削減」(source reduction)とは、以下のような実施をいう。(13120条(5)) (i) 再資源化、処理、または廃棄の前に、廃棄物として排出、または環境中に放出される有害物質、汚染物質などの量を削減すること。 (ii) そのような物質、汚染物質、または汚染物質の放出に関連する、公衆衛生および環境に対する危険を低減すること。 この「発生源の削減」という用語には、 ①設備または技術の変更、工程または手順の変更、製品の再製造または再設計、原材料の代替、および家計管理、保守、訓練、または在庫管理の改善が含まれる。 ただし、この用語には、②それ自体が製品の生産またはサービスの提供に不可欠な工程や活動を通じて、有害物質、汚染物質、または汚染物質の物理的、化学的、または生物学的特性または量を変更する行為は含まれない。 |
事業者が注意すべき内容
本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。 ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。 |

EPAが規定している有毒化学物質排出目録(Toxic Release Inventory、TRI)制度も、EPCRAに基づいて施行されているため、本法が対象とする「有害物質(13120条(3))」は、TRIの対象物質と同一である。

各施設の所有者または運営者は、有毒化学物質について、EPCRA11023条(42 U.S.C.11023条(c))に基づく年次有毒化学物質の排出報告書を提出する際に、前年の有毒化学物質の排出源削減およびリサイクル報告書の添付が義務付けられている。(13106条(a))

上記で義務付けられている有毒化学物質の発生源削減およびリサイクル報告書は、各有毒化学物質について、施設ごとに以下の項目を記載しなければならない。(13106条(b)):
(1) 報告書が提出された年度中に、リサイクル、処理、または廃棄の前段階もしくはその他の方法で環境中に放出される化学物質の量、および前年からの変化率。廃棄される有害物質の量の実測値が容易に入手できない場合、工学的な判断に基づき合理的な推定を行った量。
(2) 当該年度中に、当該施設より排出され、当該施設または他の場所でリサイクルされた化学物質の量、前年からの変化率、および使用されたリサイクルの行程。
(3) 当該年度中に当該施設において、当該化学物質に関して行われた発生源削減対策。管理者が適切であると認める場合を除き、以下の分類に従って報告されなければならない。
(A) 設備、技術、工程、または手順の変更
(B) 製品の改良または再設計
(C) 原材料の代替
(D) 産業施設の管理、訓練、在庫管理、資材の取り扱い、またはその他の一般的な運営段階における改善
(4) 報告書が提出された年度より直後の2暦年間についての、予想される使用金額。金額は、報告年度の金額を分母とした変化率で表示されるもの
(5) 報告年度の生産量と前年度の生産量の比率。この比率は、有毒化学物質が関与するすべての活動を最も厳密に反映するように計算されなければならない。
(6) 発生源削減の内容を特定するために使用された方法。記載される方法には、従業員の報告、外部監査、内部監査、参加型チームマネジメント、マテリアルバランス監査が含まれるが、これらに限定されない。
(7) 大惨事、修復措置、またはその他の一時的な事象によって、報告年度中に生産工程に関係なく環境中に放出された有害物質の量。
(8) 当該年度中に、当該施設より排出され、当該施設または他の場所で処理された化学物質の量、および前年からの変化率。報告の初年度については、そのような情報が入手可能な範囲で前年との比較が要求される。

長官が追加情報を含めるために必要とみなす範囲で、報告書の書式は修正することができる。
また、1986年スーパーファンド改正・再承認法(Superfund Amendments and Reauthorization Act of 1986)に基づいて、報告書提出の義務については、EPCRA内で記載されている、「企業秘密(42 U.S.C.11042条)」、「報告義務に対する民事罰および行政罰(42 U.S.C.11045条(c))」および「民事訴訟(42 U.S.C.11046条)」の規定が適用される。(13106条(c))

年次報告書を提出する施設の所有者もしくは運営者は、それ以前の年度の発生源削減、リサイクル、その他の汚染防止技術に関する追加情報を報告書に含めることができる。(13106条(d))

有毒化学物質排出報告書に添付される前年の有毒化学物質排出源削減およびリサイクル報告書は、一般に公開される。(13106条(e))
目次
42 U.S.C. 第133章 汚染防止法
13101. 調査結果と政策
13102. 定義
13103. EPAの活動
13104. 州の技術支援プログラムに対する州への補助金
13105. 発生源削減クリアリングハウス
13106. 資源削減とリサイクルのデータ収集
13107. EPAの報告書
13108. 貯蓄条項
13109. 予算計上の承認
基礎情報
法令(現地語) | |
法令(日本語) | 汚染防止法 |
公布日 | 1990年11月5日 (本稿執筆時点の最終改正:1991年11月5日) |
所管当局 | 米国環境保護庁(EPA) |
作成者

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