対象貨物の「100%の資料審査+出入境審査場での現場実物検査/目的地での現場実物検査」を実施へ
2022年11月25日、上海税関は「輸入危険化学品に対する検査方式の改革試行に関する通告」を公布し、来月1日から三ヶ月間にわたる試験的な運用を開始することを宣言しました。運用はまず上海税関に所属する浦江税関(出入境審査場)からスタートし、その後、運用の状況を鑑み、段階的に上海税関が管轄している他の出入境審査場に広がる予定です。
今回の対象貨物は「輸入する危険化学品」だけで、他の貨物や、輸出などに影響がありません。
具体的には、対象貨物に対して、「100%の資料審査+出入境審査場での現場実物検査/目的地での現場実物検査」を実施します。また、税関は危険化学品の性質及びその包装のタイプを基に、危険化学品の種類ごとに、実物検査を実施する場所及び検査の比例を設定する予定です。
資料審査
ここでの資料は大きく二種類に分けられています。
①「税関システム」に記入した情報:
貨物の属性・検験検疫用名称・危険貨物の関連情報(UN番号・危険類別・包装タイプ及び包装のUNマーク)・目的地検験検疫機関など
②「申告書類」に記載されている情報:
SDSとらラベル・輸入危険化学品企業の適合自己声明書・抑制剤/安定剤に関する説明(ある場合)
資料審査では、①と②自体の完全性・正確性・適格性;及び①と②の間の一致性が確認されることになります。
現場実物検査
- 包装は完全無欠であること
- 貨物に添付されているSDSは申告書類に記載されている情報と一致すること
- SDSとラベルは中国の国家標準に適合すること
- 危険貨物の輸送包装マークと輸送警告ラベルは関連規定に適合し、また、申告書類に記載されている情報と一致すると
- 包装された内容物の危険特性(外観・性状などの物理化学特性なども含む)は申告した製品と一致すること
- ばら積みで輸送される危険化学品に対しては包装とラベルの検査は実施しない。
現場実物検査の実施場所について
「中国輸出入商品検験法実施条例」の第十八条により、危険化学品(法定検験商品)に対する実物検査は通関時に申告した目的地で実施されることになります。一方、税関は実際の状況を考慮し、他の場所に指定することもできます。
つまり、出入境審査場で検査を実施することも認められています。税関は出入境審査場に実物検査に必要な条件が備わっているかどうかを見極めて、その場で検査を実施するか、あるいは目的地で検査を実施するかを決めていきます。
前述したように、今回三ヶ月に及ぶ試験運用で得た経験をもとに、税関は危険化学品の性質及びその包装のタイプを基に、危険化学品の種類ごとに、検査を実施する場所及び検査の比例を設定する予定です。
2020年12月24日、中国税関総署(GAC)は「危険化学品の輸出入とその包装検験監督管理の関連問題に関する公告(2020年税関総署令 第129号)」を発表し、「元・国家質量監督検験検疫総局(AQSIQ)2012年第30号公告」の代わりに翌年の1月10日から実施されました。
しかし、中国各地の出入境審査場の間に、依然として危険化学品の輸入に対する具体的な要件やプロセスが異なる状況が続いています。これにより、危険化学品は速やかに通関できず、港での大量滞留をもたらす可能性があります。
2015年の天津港爆発事故を経験した中国当局にとって、危険化学品の大量滞留はどうしても避けなければいけない状態です。
GACは今回の改革を通して、上海税関をモデルとして、輸入する危険化学品に対する書類検査、現場の実物検査、サンプリング検査など一連の作業プロセスを明確にし、全国の出入境審査場に導入することにより、危険化学品のスムーズな通関を実現することを目指しています。
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