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海底資源としての石油・天然ガス

エネルギー源として広く認識され、活用されている石油および天然ガスについて、海底からの資源獲得が古くより検討されてきました。

日本

ほぼ全てを海外からの輸入に依存している日本においても、「海洋エネルギー・鉱物資源開発計画」において、探査・掘削の観点から着目する資源の一つとして石油・天然ガスが位置づけられています。日本においては国を挙げて調査活動を行っており、基礎物理探査や基礎試錐(試掘)などが行われてきました。上述の計画によると、次の状況とのことです。

■ 2017 年度末までに、日本周辺の 36 海域、約 5.4 万 km2(2019 年 1 月時点:39 海域、約 6.2 万 km2)において、三次元物理探査を実施済み

■ 探査の結果、90 箇所もの有望な地質構造を発見

今後、JOGMEC が新たに調達・保有する三次元物理探査船を活用した国主導での基礎物理探査を実施し
(平均約 5,000km2/年)、2028 年度までにおおむね 5 万 km2の三次元物理探査を実施するとともに、民間企業による同船の活用も含め、効率的且つ効果的な探査を行っていくとしています。

工程表

■ ~2019年度|三次元物理探査のための広域調査|二次元基礎物理探査

■ 2019~2028年度|三次元物理探査(約5万km2

米国

米国では、州の管轄権よりも海側にある水没した土地である外洋大陸棚(OCS)からの原油と天然ガスが主要な供給源になっているとされています。

■ 現在、ほぼすべての海洋石油・天然ガスのリースおよび開発活動は、何千ものプラットフォーム(掘削装置や保管場所、作業員の住居などをすべて備えた井戸)が水深6,000フィートまでの海域で操業しているメキシコ湾の中央および西部で行われているとされ、中にはプ水深10,000フィート以上で操業しているプラットフォームもあるとのことです。

■ 2020年には、メキシコ湾における外洋石油・天然ガス生産量は、米国の総原油生産量の約15%、米国の総乾式天然ガス生産量の約2%を占めたとされています。

米国の場合、古くから海底資源としての石油・天然ガスに着目され、実際に探査・掘削・活用されてきたため、関連する法令整備、関係する紛争の情報も多くなっています。海底資源探査を所管する政府当局の一つ、国家海洋大気庁(NOAA)は、次のことを報告しています。

■ 石油・ガス産業は、エネルギーの埋蔵量を求めて、より深い水深に進出してきており、今後も進出し続ける見込みであることに言及しており、既存の深海油田は、メキシコ湾の連邦水域で生産される日量160万バレルの石油のうち、すでに約100万バレルを占めている。

■ 現在、水深304m以上の場所で操業している構造物は全部で15個あるとされ、2004年に発見された最深部は水深2,934mであった。

EU

EUにおいては、2021年09月に公表された「2021年戦略的フォアサイトレポート」において、重要な原材料(Critical Raw Material, CRM)の確保に関係して、「国際的に合意された原則と公約に従って、海底や宇宙での採掘など、新しい調達方法を検討する必要がある」ことが盛り込まれていましたが、海底資源としての石油やガスについての内容は確認されておりません。

これは加盟国各国の安全保障にも直結するエネルギー供給やその資源については、基本的に各国の裁量になっているためです。EUとしては上述のように、欧州全体でCRMの供給を確保・安定化するための政策を打ち出すなど、欧州全体としての便益を考慮した政策が打ち出されます。

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