海上輸送における再生可能燃料及び低炭素燃料の使用について
2023年09月22日、欧州官報にて海上輸送における再生可能燃料及び低炭素燃料の使用について定め、指令2009/16/ECを改正する規則(EU)2023/1805が公布されました。本規則は欧州官報に掲載された翌日から起算して20日目に発効します。第8条及び第9条は2024年8月31日から適用されますが、他の条文は2025年1月1日から適用されます。
背景
海上輸送は、EUの対外貿易の75%及び内部貿易の31%を占めています。また、年間約4億人の旅客が欧州連合加盟国の港を利用し、約1400万人がクルーズ船に乗船しています。つまり、海上輸送は欧州連合の交通システムにとって、重要なファクターです。
海上輸送は雇用の創出につながっていますが、EU内外の事業者によって激しい競争が繰り広げられている分野でもあります。そのため、海上輸送業者などが平等な条件で事業運営するための、調和の取れた政策フレームワークが必要とされています。
その一方で、海上輸送はトン・キロ当たりの輸送あたりで最も二酸化炭素(CO2)排出効率が高い輸送形態です。そのうえ、CO2の排出量は今後も増加すると考えられています。
しかし、EUは規則(EU)2021/1119に基づき、2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにすることに貢献しなければなりません。そのため、EUは海上輸送業界に対して、エコロジーな施策に方向転換するための進路を示す必要があります。
概要
再生可能で低炭素な海運燃料の利用を促す際、EUは技術的中立性の原則を遵守します。したがって、特定の燃料や技術の使用を規定せず、船舶が使用するエネルギーの温室効果ガスの原単位(経済活動量あたりのCO2排出量を表す単位)に対する制限を設けます。そして、持続可能で商業的に成熟したエネルギーソリューションの開発と展開を促します。
食品及び飼料作物ベースの燃料は伝統的な生産に変化をもたらし、生態多様性に対するリスクと温室効果ガス排出量増加の要因となる可能性があるため、使用の推奨は行いません。
化石燃料よりも大幅に温室効果ガスを削減できる非生物起源の再生可能燃料(RFNBO)の使用には、インセンティブが用意されます。
本規則を遵守しない場合は、本規則に従って使用するべきだった再生可能エネルギー及び低炭素燃料の量を考慮したうえでペナルティを課します。
目次
■第I章
一般的規定
第1条 対象および目的
第2条 適用範囲
第3条 定義
第II章 船舶で使用されるエネルギーに関する要件
第4条 船舶で使用されるエネルギーのGHG排出強度の制限
第5条 非生物学的起源の再生可能燃料の使用
第6条 係留中に使用されるエネルギーに関する追加のゼロエミッション要件
■第III章
共通原則および認証
第7条 監視および報告の共通原則
第8条 監視計画
第9条 監視計画の修正
第10条 燃料および排出係数の認証
■第IV章 検証および認定
第11条 監視計画および修正された監視計画の評価
第12条 検証者の一般的な義務および原則
第13条 検証手続
第14条 検証者の認定
■第V章 記録、検証、報告、および遵守の評価
第15条 監視と記録
第16条 検証と計算
第17条 権限当局による追加の検査
第18条 支援ツールおよびガイダンス
第19条 FuelEUデータベースおよび報告
第20条 報告期間間の遵守超過の銀行および借用
第21条 遵守のプーリング
第22条 FuelEU遵守文書
第23条 FuelEUペナルティ
第24条 有効なFuelEU遵守文書の保持義務
第25条 執行
第26条 再審査の権利
第27条 権限当局
■第VI章
委任および実施権限と最終規定
第28条 委任の行使
第29条 委員会手続
第30条 報告および再評価
第31条 指令2009/16/ECの修正
第32条 発効
参考情報
海上輸送における再生可能燃料および低炭素燃料の使用について定め、指令2009/16/ECを改正する規則(EU)2023/1805
注目情報一覧
新着商品情報一覧
調査相談はこちら
概要調査、詳細調査、比較調査、個別の和訳、定期報告調査、年間コンサルなど
様々な調査に柔軟に対応可能でございます。
- ●●の詳細調査/定期報告調査
- ●●の他国(複数)における規制状況調査
- 細かな質問への適宜対応が可能な年間相談サービス
- 世界複数ヵ国における●●の比較調査 など