タイ|物品税局、EV(電気自動車)普及策 EV3.5に基づく告示を5件公表

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タイ|物品税局、EV(電気自動車)普及策 EV3.5に基づく告示を5件公表

EV3.0に続く第2次EV普及策、EV3.5がスタートしたことによるもの

2024年01月29日、物品税局による政府のEV(電気自動車)普及支援策 EV3.5に基づく告示が5件官報公布されました。全て2024年01月01日より発効となっています。

EV3.5とは

EV3.5とは、2022年から実施され、2023年末に期限を迎えたEV普及支援策EV3.0の後継策となるもので、2024年から2027年までの4年間を対象としたEV普及支援策です。

EV3.0から引き続き補助金支給、完成車輸入税率の軽減、物品税率の軽減の3つが柱となっており、セター首相が委員長を務める国家電気自動車(EV)政策委員会(NEVPC、National Electric Vehicle Policy Committee)が2023年11月01日に開催された会議上で承認し、2024年12月19日に閣議決定されました。

内容は以下の通りです。

EV3.5によるEV普及支援策

■ 1台当たりの補助金(2024年02月27日時点:1バーツ=4.2円で算出)

車種 価格 バッテリー容量 2024年 2025年 2026年 2027年
乗用車 200万バーツ以下
(約840万円以下)
50kWh未満 5万バーツ
(約21万円)
3.5万バーツ
(約14.7万円)
2.5万バーツ
(約10.5万円)
50kWh以上 10万バーツ
(約42万円)
7.5万バーツ
(約31.5万円)
5万バーツ
(約2.1万円)
ピックアップトラック
(国内生産分)
200万バーツ以下
(約840万円以下)
50kWh以上 10万バーツ
(約42万円)
二輪車
(国内生産分)
15万バーツ以下
(約63万円以下)
3kWh以上 1万バーツ
(約4.2万円)

■ 完成車輸入税率の軽減

200万バーツ(約840万円)以下、EV自動車の完成車(CBU, Completely Built-Up):
⇒2024年、2025年の2年間は輸入税率を最大40%引き下げ

■ 物品税率の軽減

700万バーツ(約2,940万円)以下のEV自動車:
⇒ 8%から2%に税率を引き下げ

恩典を受けるための条件

これらの恩典を受けるためのタイへの投資条件として、下記が定められています。
  ▪2026年中にタイ国内でEV自動車生産を開始:輸入1:生産2の割合でEV車を生産すること
  ▪2027年中にタイ国内でEV自動車生産を開始:輸入1:生産3の割合でEV車を生産すること
 
また、EV3.0を受けている事業者がEV3.5を受けることを希望する場合も申請が可能です。

物品税局はこの4年間で普及支援を受けるEV自動車は合計約83万台(乗用車45.4万台、二輪車34.6万台、ピックアップ3万台)、4年間で340億バーツの予算が投じられると予想しています。

タイは社会の発展に伴う深刻な大気汚染や温暖化対策、そして東南アジアにおけるEV生産ハブとなることを目指し電気自動車の開発や普及に注力しており、物品税や輸入関税等の税優遇策、NEVPCによる2030年までに自動車の国内総生産台数(250万台)の30%(約75万台)をゼロ・エミッション車とする政策目標「30@30政策」、タイ投資委員会(BOI)による電気自動車生産事業やバッテリー電動バイクの生産事業者等に対する様々な恩典のあるEV奨励パッケージ等、あらゆる角度からの措置が講じられています。

EV3.5に基づく物品税局からの5つの告示

「物品税局告示 EV普及支援策3.5の恩典を受けるためのガイドライン」 

 この告示ではEV普及支援策EV3.5の恩典を受けるための規定が定められており、主な内容は以下の通りです。
 ■ EV3.5の対象となる事業者の規定
 ■ EV3.5の対象となる電気自動車と二輪車車両の特徴・性質
   1)希望小売価格が200万バーツ(約840万円)以下、バッテリー容量が10kWh以上のBEV(Battery Electric Vehicle)乗用車、または同価格が200万バーツ以上700万バーツ(約2,940万円)以下のバッテリー容量が50kWh以上のBEV乗用車で、生産期間が2024年から2027年の国内生産車両、または2024年から2025年までに輸入された同車両。バッテリー(輸入・国内生産とも)はTIS規格準ずるもので、自動車・タイヤ検査研究イノベーション・センター(ATTRIC, Automotive and Tire Testing, Research and Innovation Center)規格に準じた安全性検査をパスしていること。また、工業省が定めた高速充電(Quick Charge)が搭載されていること
   2)希望小売価格が200万バーツ以下および車両重量および積載量の合計4,000Kg以下、バッテリー容量が50kWh以上のBEVピックアップトラックで、生産期間が2024年から2027年の国内生産車両。バッテリー(国内生産のもの)はTIS規格準ずるもので、自動車・タイヤ検査研究イノベーション・センター(ATTRIC, Automotive and Tire Testing, Research and Innovation Center)規格に準じた安全性検査をパスしていること。また、工業省が定めた高速充電(Quick Charge)が搭載されていること
   3)希望小売価格が15万バーツ以下、バッテリー容量が3kWh以上のBEV二輪車で、生産期間が2024年から2027年の国内生産車両

 ■ 上記に該当する車両に対し恩典を希望する場合はこの告示の添付されている申請書「Yoo.Foo.(ย.ฟ.)01-01 第2フェーズ」と必要書類を物品税局長に提出すること。管轄の物品税局事務所もしくは物品税局のオンラインシステムから申請が可能

 ■ 恩典を受ける資格を得た申請者は、恩典を受ける契約が締結した日から30日以内に2028年06月30日まで保証期間がある銀行保証(Bank Guarantee)を 徴税基準開発事務所 2(tax collection standards and development 2 breau)にて物品税局宛てに提出すること。保証金額は資本金によって異なる(その詳細も記載)

 ■ 補助金の内容(上述、「EV3.5によるEV普及支援策」の”1台あたりの補助金”と同内容)

 ■ タイ国内生産バッテリーまたは部品の使用
 恩典を受けるBEV乗用車とBEVピックアップトラックは2026年01月01日よりタイで国内生産されたバッテリー、もしくは部品を使用することが条件づけられる(その詳細も記載)

「物品税局告示 EV普及支援策EV3.5の恩典を受ける自動車と二輪車の希望小売価格通知ガイドライン」

 この告示はEV普及支援策EV3.5の恩典を受ける自動車と二輪車の希望小売価格通知に関するガイドラインとなっています。
 EV普及支援策EV3.5の恩典を受けるBEV乗用車、ピックアップトラックおよび二輪車は、工場もしくは保税倉庫から搬出される15日以上前、もしくは納税の15日以上前までに希望小売価格、価格構造、またはそれらの変更を管轄の物品税局事務所もしくは物品税局のオンラインシステムから物品税局長に報告する義務がある旨を規定した内容となっています。

「物品税局告示 定員10名のEV乗用車または商用車の条件と基準(第2号)」

 この告示は2022年08月23日に官報公布された同告示第1号を改正する内容となっています。(EV3.5がスタートするため)

 ■ 2023年12月31日までにタイに輸入した定員10名のEV乗用車および商用車は恩典を受けるために下記が課されることが定められています。(この他、2025年12月31日までに輸入した場合の条件も別途規定あり)
  ▪希望小売価格が200万バーツ(約840万円)以下でバッテリー容量が10kWh以上、定員10名のEV乗用車および商用車を輸入した場合:
   定員10名のEV乗用車、商用車もしくはピックアップトラックの生産開始時期が2024年の場合は恩典を受けたEV完成車の輸入比率1:生産比率1、2025年まで延長する場合は同比率1:1.5の割合で生産すること
  ▪希望小売価格が200万バーツ以上700万バーツ(約2,940万円)以下でバッテリー容量が30kWh以上、定員10名のEV乗用車でおよび商用車を輸入した場合:
   定員10名のEV乗用車、商用車の生産開始時期が2024年の場合は恩典を受けたBEV完成車の輸入比率1:生産比率1、2025年まで延長する場合は同比率1:1.5の割合で生産すること

 ■ 恩典を受ける者は定員10名のEV乗用車、商用車製造のために2026年01月01日からタイ国内生産のバッテリーもしくは車部品を使用する必要があります。その際、以下の条件からいずれかひとつを選ぶよう規定されています。
  1)2026年01月01日より国産バッテリーセルを使用する
  2)2026年01月01日より国産バッテリーモジュールを使用し、2030年1月1日より国産PCUインバータを使用する。そして2035年1月1日より5つの国産部品(トラクションモーター、リダクションギヤ、エアーコンプレッサー、バッテリーマネジメントシステム(BMS)、ドメイン制御ユニット(DCU))からいずれかひとつを使用する
  3)2026年01月01日より国産バッテリーパック(アセンブリ)を使用し、2030年1月1日より国産PCUインバータを使用する。そして2035年1月1日より5つの国産部品(トラクションモーター、リダクションギヤ、エアーコンプレッサー、バッテリーマネジメントシステム(BMS)、ドメイン制御ユニット(DCU))から2部品選んで使用する

「物品税局告示 EVピックアップトラックの基準と条件(第2号)」

この告示は2022年08月23日に官報公布された同告示第1号を改正する内容となっています。(EV3.5がスタートするため)
上述の、恩典を受ける定員10名のEV乗用車または商用車生産同様、ピックアップトラック生産も2026年01月01日からタイ国内生産のバッテリーもしくは車部品を使用する必要があります。その条件も定員10名のEV乗用車または商用車生産と同様です。

「物品税局告示 EV二輪車の基準と条件(第2号)」

この告示は2022年08月23日に官報公布された同告示第1号を改正する内容となっています。(EV3.5がスタートするため)2023年12月31日までにタイ国内に輸入された二輪車は恩典を受けるために生産開始時期が2024年の場合は恩典を受けたEV二輪車の輸入比率1:生産比率1、2025年まで延長する場合は同比率1:1.5の割合で生産することが定められています。

参考情報

物品税局告示 EV普及支援策EV3.5の恩典を受けるためのガイドライン」2024年01月29日官報公布、2024年01月01日より発効(2023年12月28日発出)

物品税局告示 EV普及支援策EV3.5の恩典を受ける自動車と二輪車の希望小売価格通知ガイドライン」2024年01月29日官報公布、2024年01月01日より発効(2023年12月28日発出)

物品税局告示 定員10名のEV乗用車または商用車の条件と基準(第2号)」2024年01月29日官報公布、2024年01月01日より発効(2023年12月28日発出)

物品税局告示 EVピックアップトラックの基準と条件(第2号)」2024年01月29日官報公布、2024年01月01日より発効(2023年12月28日発出)

物品税局告示 EV二輪車の基準と条件(第2号)」2024年01月29日官報公布、2024年01月01日より発効(2023年12月28日発出)

タイ政府広報ニュース「タイ政府、EV3.5にゴーサイン:2024年01月02日より発効

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