連邦航空局(FAA)、煙排出試験要件の廃止案を説明する内容などを追加補足
2023年08月17日、運輸省(DOT)の連邦航空局(FAA)は、2019年07月03日に発行された通知19–09で提案された「輸送用カテゴリーに属する飛行機の内部コンパートメントの防火に関する特定の規制」の提案に対して受け取った意見に対する回答を追加した補足を行いました。具体的には、内装部品およびコンポーネントからの煙排出試験要件の廃止案に関する内容を追加しています。さらに、FAAは、規則制定に関わるコストと利益に関する計算式を変更し追加しています。FAAはこの通知に関する意見を2023年10月02日まで受け付けています。
背景・概要
2019年07月03日、運輸省(Department of Transportation、DOT)の連邦航空局(Federal Aviation Administration、FAA)は、連邦官報において規則制定の提案公告 (Notice of Proposed Rulemaking、NPRM)で、”Interior Parts and Components Fire Protection for Transport Category Airplanes(輸送用カテゴリーに属する飛行機の内装部品およびコンポーネントの防火対策規則)” と題された規則案を発表しました。FAAは、このNPRMで輸送カテゴリーに属する飛行機の内装部品やコンパートメント(区画)の防火に関する耐空性規則の一部を改正し、部品の燃焼性に関する規制を細かい規定的な基準からより単純で防火に対する性能に基づく基準に変更することを提案しました。
具体的には、飛行中の火災もしくは墜落後の火災から航空機と乗員を保護するための基準の中から、放熱試験や煙排出試験などの試験方法を削除し、性能に基づく要件に置き換え、試験の標準化を進める内容でした。特にFAAは、煙排出試験は火災安全性に対する煙排出試験の結果がそれほど火災事故の被害に影響はなく、人間の生存率との間に相関関係がないことに言及し、基準の削除を提案していました。また、放熱試験の要件に加えて煙排出試験要件を規定すると、どちらか一方の試験だけでは除外できない材料も除外されてしまうことについても言及していました。FAAでは、本規則案における重要な課題は、実際の衝突後の火災における乗員の生存率においては、煙排出試験を廃止しても規定の厳格さは変わらないという意見です。
しかし、この提案に対して、SABIC(サウジ基礎産業公社、Saudi Basic Industries Corporation、石油化学製品、化学薬品などを取り扱う多角的製造会社)、GBH International(火災試験機器サプライヤーであるFire Testing Technology社の北米総代理店)、Airbus(エアバス、民間旅客機、空中給油機や輸送機などの軍用機、ヘリコプター、さらに宇宙事業などヨーロッパで多国籍に事業を展開する航空機メーカー)と数名の個人から、煙排出試験の要件が実際の事故の火災からの被害にどれほど寄与するかが示されていないという意見がでました。さらに、これら企業は、提案された規則が飛行機の内部コンパートメントに使用できる新たな材料を許可することにつながり、規則への影響は未知数であると主張しました。
前回のNPRMでは、FAAは、煙排出試験が廃止された場合に利用可能な方法として、熱放出率(heat release rate、HRR)試験を説明していました。さらに、今回は「HRR試験から得られた情報だけでは、コンパートメントに使われている材料の衝突後の燃料火災性能が保証されない場合、申請者は別の手段で適合を示すことができる」とも記載されていました。そこで、今回の規則案補足通知(Supplemental Notice of Proposed Rulemaking、SNPRM)では、HRR以外の方法に関する情報も追加しています。またFAAは、今回のSNPRMで、法令遵守のためのコストと便益の計算方法についても一部を変更することを提案し、さらに準拠を示すために煙排出基準の評価方法についても説明しています。
注目すべき内容
今回のSNPRMは、①FAAが法律施行のためのコストと便益の計算の一部を変更することを提案しています。さらに、②排煙基準の準拠の方法について説明を追加しています。今回のSNPRMでは、輸送カテゴリーに属する飛行機の製造業者が影響を受ける可能性があります。最終規則に先立ち、FAAが使用している前提条件や基準についての意見募集を2023年10月02日まで受け付けています。
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