本ページでは、アルゼンチンの法形成過程の要点について整理しています。
段階、項目、主体、内容、そして期限があるものについては期限の情報も整理しています。
URLを含む根拠法令や根拠条項の情報は、有償となりますので、関心がある場合には指定のリンクよりお進みください。
※下位法令は代表的な種類のものを取り上げて紹介しています。網羅的な把握についてはお問い合わせください。
【調査・確認時期:2023年上半期】
上位法/法律(leyes)
<法律案の提出について>
■ 国民は下院(Cámara de Diputados)において法律案(proyectos de ley)を提出するため発議をする権利を有する。国民議会は12ヶ月の期間にわたり明確な方法を用いて法律案を取り扱うものとする。有権者名簿に記載されている国民の3%しか求めていない法律案でも、議会は下院と上院でそれぞれ絶対多数の賛成を得ることでその法律案を裁可するものとする。国民は、憲法改正、国際条約、税、予算、および刑事に関する法律案の提出を発議することはできないものとする。
■ 国民議会(Congreso)は下院の求めに応じて、法律案についてパブリックコメントを募ることができる。
■ 法律案の提出は、国民議会(Congreso)の下院議員でも上院議員でも、あるいは行政(Poder Ejecutivo)でも行うことができる。ただし、憲法が定める例外を除く。選挙制度、および政党制度を変えるための法律案を承認するには、両院のすべての議院の絶対多数の賛成が必要である。
■ 法律案が提出され、起点となった議院(Cámara de origen)で法律案が承認されたら、次に法律案がもう一方の議院へ送られ、討議が行われなければならない。両院での承認を受けた法律案は行政(Poder Ejecutivo)へと送られ、検証される。行政による承認も得られれば、法律として公布される。
■ それぞれの議院で法律案の全体を承認したら、議院の委員会へと送り、法律案の個別事項の承認を委員会の絶対多数の賛成に委ねることができるものとする。
■ 法律案を行政へ送ってから10就業日が経過しても戻されない場合、行政によって承認されたものと見なされる。
■ 法律案の全体または一部が行政によって却下され、異議申立書を添えて起点となる議院へ戻す場合、当該議院で再び討議が行われる。そして2/3の賛成票を得る場合は再び、見直しの議院(Cámara de revisión)へ送られる。両院で同じ賛成多数で裁可されれば、法律案は法律となり、行政へ送られて公布される。
■ 共和国大統領は、憲法に従って法律の制定に関わり、法律を公布し、公表する権限を有する。
段落 | 項目 | 主体 | 内容 | 期限 | 根拠法 | 根拠条項 |
1 | 法律案の提出 | 上記主体 | 上記参照 ■ 法律案の提出は書面により行い、執筆者の署名がなければならない。 ■ いかなる法律案も、15名を超える下院議員が提出することはできない。 |
ー | ご関心がある場合はこちらより | |
2 | 法律案の手続き | 下院 委員会 |
■ 法律案は下院において発表され、該当する委員会へ送られる。 ■ 委員会は、すべての法律案について見解書を作成する。 |
委員会の見解書 事務局の所見 |
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3 | 討議 | 下院 | ■ すべての法律案は、下院における2回の討議を通して検討されなければならない。1回目の討議では全体について検討し、2回目の討議では条項ごとの個別の内容について検討する。 ■ 法律案に関する討議は、最後の条項について完了したら終了とされる。 |
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4 | 裁可 | 下院 | 下院で法律案が最終的に裁可を受けたら、その旨が行政に伝えられ、さらに上院にも伝えられる。 | ー | ||
5 | 法律案の提出 | 上院 委員会 |
上院でも同様の手続きが行われる。法律案が上院に提出されたら、該当する委員会へ送られる。 | ー | ||
6 | 討議 | 上院 | すべての法律案は、委員会で見解書が発行された後、上院の会議における2回の討議を通して検討されなければならない。1回目の討議では全体について検討し、2回目の討議では条項ごとの個別の内容について検討する。 | ー | ||
7 | 承認 | 上院 | 下院により送られた法律案を全面的に承認する決議となった場合、行政にその旨を伝えるほか、下院にもその旨を伝える。上院が法律案の起点となる議院であることで、追加事項や修正事項を伴って法律案が上院に戻されるとき、上院はそれらの追加事項や修正事項のすべてまたは一部を承認することも、却下することもできるが、いかな場合も見直しの議院が行った改変以外の改変を行うことはできないものとする。 | ー | ||
8 | 行政への送達と大統領による公布 | 行政 大統領 |
■ 法律案を行政へ送ってから10就業日経過しても戻されない場合、行政によって承認されたものと見なされる。 ■ 法律案の全体または一部が行政によって却下され、異議申立書が添えられて起点となる議院へ戻される場合、当該議院で再び討議が行われる。そして2/3の賛成票を得る場合は再び、見直しの議院へ送られる。両院で同じ賛成多数で裁可されれば、法律案は法律となり、行政へ送られて公布される。 ■ 共和国大統領は、憲法に従って法律の制定に関わり、法律を公布し、公表する権限を有する。 |
10就業日 |
下位法令/政令(decretos)
「政令」とは通常、行政によって発せられる行政措置であり、規範的および法規的な内容を持つが、階級として法律(leyes)の下に位置する。普通は、緊急的な必要性を要する状況に対処するために制定される。
政令の特徴的な性質を以下に示す。
1. 大統領(presidente)、ならびに該当する事項に応じた行政部門の大臣(ministro)または責任者(director)の署名を必要とする。
2. 既存の法律に加えて、既存の法律を改変するため、もしくは廃止するために制定することができる。
3. 最高裁判所(Máximo Tribunal)の管轄下にあり、国民は違憲性を訴えることができる。
段落 | 項目 | 主体 | 内容 | 期限 | 根拠法 | 根拠条項 |
1 | アルゼンチン共和国両院常任委員会の形成 | 両院常任委員会 | アルゼンチン共和国両院常任委員会が、それぞれの議院の議長により指名されることで下院議員8人、および上院議員8人で形成される。 | 任期は、所属する議院が刷新されるまで続く。 再選も可能。 |
ご関心がある場合はこちらより | |
2 | 見解書の作成 | 両院常任委員会 |
<必要性と緊急性の政令(DNU)の場合> <委任政令の場合> <法律の部分的な公布・発布の場合> |
委任政令の場合: 10日 |
||
3 | それぞれの議院の本会議への見解書の提出 | 両院常任委員会 | 両院常任委員会は、内閣首席大臣議院での手続きがプレゼンを行ってから10日以内に、検討の対象となる政令に関して意見を述べ、見解書をそれぞれの議院の本会議に提出する。 | 10日 | ||
4 | 議院での手続き | 両院 | ■ 指定の期間が経過しても両院常任委員会が見解書を議院へ提出しない場合、両院は招集され、かつ直ちに政令の手続きを行うものとする。 – 両院は、それぞれ決議を通して意見を表明する。法令の却下または承認は、明確に行われなければならない。それぞれの議院は、直ちに自らの意見を他の議院に伝達するものとする。 – 両院は、行政による修正、追加、もしくは削除を適用することはできず、出席する議院の絶対多数票によって規則を受け入れるか、却下するかのいずれかにとどめなければならない。 – 両院により却下された政令は、破棄とされ、それが効力を持つ間に得られた権利は別とする。 – 政令を承認または却下する両院の決議は、それらの議長により行政に伝達され、直ちに官報に掲載され、公表されるものとする。 |
※通常、行政は立法の性質も持つ規定を発することはできない。
政令の種類
■ 法規に関する政令
法律に宿る言外の内容、および具体的な目的を観察する上で必要なものであり、これがあることで立法者の意図に沿うことが可能となる。ただし、この種類の政令には、法律の文面をそのまま転記することに専念したような不要なものも存在することを指摘しておかなければならない。
■ 委任政令
原則として、行政への立法機能の委任は禁じられているため、国民議会は立法機能を大統領に委ねることはできない。ただし、公共行政および公共の非常事態についてはこの限りではない。委任政令とは、国民議会の法律が権限を与えるときに大統領が発する政令である。法律によって、公共行政および公共の非常事態に関して立法機能を大統領に委ねることができるが、その権限を行使する期間、および行使の規準が定められなければならない。
■ 必要性と緊急性の政令
必要性と緊急性の政令(DNU)は、アルゼンチンに存在している規定で、行政により裁可されるにもかかわらず、法律としての効力を持つ政令である。DNUが公布されたら、国民議会はこれを分析し、効力を持たせ続けるか否かを判断する。アルゼンチン共和国憲法第99条3に規定されるように、例外的な状況に向けた道具として機能する。アルゼンチン共和国憲法では、行政は「立法の性質を持つ規定を発する」ことはできないと規定されているが、法律を裁可する際に「例外的な状況が発生し、通常の手続きを遂行することが不可能となるとき」、「必要性と緊急性を理由に政令を発することができる」とも明確に記している。すなわち、例外的な状況が起きたときは、行政は議会を通過させることなく立法を行うことができるということである。
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