大企業の納税義務に関して情報を通知
2023年2月17日、米国財務省と内国歳入庁(IRS)は、インフレ抑制法の重要な規定である「15億ドル規模の企業が株主に報告する調整済み財務諸表収入に対して最低15%の税金を支払うことを保証する」を実現するための法人代替最低税(Corporate Alternative Minimum Tax、CAMT)に関する情報を発表しました。ここでは、「CAMTの背景」「CAMTに関する通知内容」について記事になっています。
CAMTの背景:
2022年8月12日に議会を通過した「インフレ抑制法(Inflation Reduction Act、IRA)」は8月16日にバイデン大統領の署名をもって成立しました。法人税関係では会計利益を課税標準とする15%の法人代替最低税(Corporate Alternative Minimum Tax、CAMT)と、自社株の買いに対して1%の懲罰的課税が盛り込まれました。その一方で、当初の予算調整法案(Build Back Better Act案)に盛り込まれていた多くの増税案は、議会において廃案となっています。
CAMTは過去3年間平均の調整後財務諸表利益(Adjusted Financial Statement Income、AFSI)が10億ドル(現在は約1300億円)を超える大企業に適用されます。外国に本籍を有する企業の場合、全世界のグループ会社の連結所得をもとにAFSIが10億ドル超、かつ米国内グループ会社のAFSIが1億ドル超の場合に対象となります。CAMTはAFSIに15%の税率を乗じて計算され、通常の法人税に米国企業が外国所得を米国に戻す際(配当等)の追加の税金(Base Erosion and Anti-abuse Tax、BEAT税)を加算した税額を超える分について追加的に納税が求められます。
現在、米国財務省(Department of the Treasury、USDT)は、CAMTにのっとり、税金の計算上で起こる主要な問題を排除して、義務となっている税金を正確に計算して納税義務を明確に説明できるガイダンス作成を行っています。今回は、納税者への情報提供を目的に、このガイダンスについての情報を発表しました。
CAMTに関する通知内容:
今回の通知では、8つのセクションにおいて「この通知の概要」「この通知の背景」「可変契約のAFSIにおける調整」「再保険契約のAFSIにおける調整」「フレッシュスタート基本規則のAFSIにおける尊重」「該当する日付」「コメントの要求」「起案・連絡先」が具体例と共に明示されています。
財務省は、この通知により主に保険業界の会計慣行に関連する重要な問題を明確にしました。そのためガイダンスでは、特定の生命保険資産の財務会計規則とCAMTの両方を考慮し、企業がCAMTに基づいて支払うべき税金を決定する際に発生する重大な歪みに対処しています。具体的には、この通知により、CAMTに基づいて支払うべき税金を決定する際に、財務諸表に表示される非経済的利益または損失の意図しない会計上の加算を防ぐために、納税者は既存の財務諸表に沿った会計慣行を使用して税務処理を行うことが可能である事が示されています。
また、ガイダンスは、CAMTに基づく利益または損失を決定するために、以前の非課税法人に対する特定の法定「フレッシュスタート」基本規則が適用されることも明確にしました。
通知された情報に関するコメントは2023年4月3日まで受け付けられています。
財務省とIRSは、企業がCAMTに基づいて支払うべき税金を決定する方法に関するガイダンスを引き続き作成しており、今後数か月以内に追加のガイダンスが発表される予定です。今後提案される規則によって規定されるCAMTは、本通知の第3章から第5章に基づき、2022年12月31日以降に開始する課税年度より開始されることが予想され、このガイダンスに関する通知として発表されました。よって、近日中に提案される規則が発行される前に、納税者はCAMTに関して本通知の第3節から第5節までの規則に依拠することができます。
2021年1月のバイデン新政権の誕生に際して、大統領は新型コロナウイルスの脅威とそれに伴う経済危機に対応するための2段階の計画「米国救済プラン」と「復興プラン」を発表しました。復興プランでは、それに要する莫大な財源を確保する手段として、法人所得税率の引上げや富裕層への増税をはじめとする税制改革案が盛り込まれています。今後も、ガイダンスに関する通知に注目が必要です。
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