財務省、インフレ抑制法に基づいてエネルギー安全保障や気候変動対策を進める
2023年5月13日、バイデン・ハリス政権の「イン・アメリカ投資戦略」の一環として、米国財務省の内国歳入庁(IRS)は、「クリーンエネルギープロジェクトの税額控除」および「国内生産品の税額控除」に関する詳細情報が記されたガイダンスを発表しました。このガイダンスは、エネルギー省および運輸省との共同で作成されています。ここでは、「インフレ抑制法に基づいた財務省の実施」「発表されたガイダンスの内容」について記事になっています。
インフレ抑制法に基づいた財務省の実施:
2022年8月に成立した「インフレ抑制法(Inflation Reduction Act、IRA)法は過度なインフレ(物価の上昇)を抑制しながら、エネルギー安全保障や気候変動対策を迅速に進めることを目的とした法律です。約54兆円という巨額の予算が投じられ、バイデン政権が最も力を入れている政策の一つです。このインフレ抑制法が成立されて以来、財務省(Department of the Treasury)はこの法律を実施するための規則の作成に取り組んできました。IRA成立の数日後には、購買者が適格な電気自動車のリストをオンラインで簡単に見つけられるように米国運輸省(Department of Transportation、DOT)および米国エネルギー省(Department of Energy、DOE)と協力して、電気自動車の税額控除に関するガイダンスを発行しました。
さらに、財務省は、IRAについて数百万人の労働者、数千の企業、主な投資資産グループ、ならびに気候および環境正義に関する擁護団体、地域社会の組織、およびインフレ抑制法の主要な関係者からの意見を募集しました。 財務省はまた、部族政府およびアラスカ先住民の企業との正式な協議を主催し、協議内容を規定に反映しました。加えて、財務省は、業界団体、自動車メーカー、労働団体、州および地方自治体の代表者、消費者、外国政府、公益事業会社、気候擁護団体、シンクタンクなどから何千もの意見募集を行い、検討を行っています。
さらに2023年11月には、財務省は、一般的な賃金と実習生の賃金の基準に関する最初のガイダンスを発表しました。2023年12月には、財務省と内国歳入庁(Internal Revenue Service、IRS)は、新しい持続可能な航空燃料(Sustainable Aviation Fuel、SAF)の税額控除に関するガイダンスと、エネルギー効率の高い住宅改修プロジェクトと住宅用クリーンエネルギー資産の税額控除に関する質問・回答集を発行しました。
発表されたガイダンスの内容:
主に4つの内容がガイダンスにより発表されています。
(1)生産品の税額控除(Production Tax Credit、PTC)では、国内生産品の生産要件を満たす施設は10%の税額控除が受けられます。また、投資税額控除(Investment Tax Credit、ITC)では、国内生産品の生産要件を満たすプロジェクトは、最大10パーセントの税額控除が受けられます。プロジェクトは、国内生産品の生産要件と次のいずれかの要件を満たしている場合にのみ、控除の全額が受け取れます。①最大正味出力は1メガワット未満のプロジェクト、②2023年1月29日より前にプロジェクトの施設建設が開始、または③インフレ抑制法の一般的な賃金および見習い工要件を満たしたプロジェクト、です。
(2)国内生産品の税額控除は、国産の鉄鋼や鉄を製造する施設に適用されます。控除を受け取るには、すべての鉄鋼および鉄の製造プロセスが米国で行われる必要があります。施設での製造製品およびその構成部品は、米国で採掘、生産、または製造された製品および部品から成る必要があります。
(3)連邦交通局が管理するバイアメリカの規則に従い、製品の構成部品の製造プロセスが米国で行われ、製品のすべてが米国で製造されている場合、製造された製品は「メイドインアメリカ」とされます。製品の構成部品には、製造された製品に組み込まれる物品、材料、または消耗品が含まれます。ガイダンスには、国内製造にとどまるように、人件費の取り扱いに関する項目の明確化も行われました。
(4)納税者が該当する鉄鋼、鉄、または製造製品の基準を決定するのをサポートするために、財務省とIRSは、連邦交通局とDOEによって推し進めている特定の種類のクリーンエネルギープロジェクトにセーフハーバー(違法ないし違反にならないとされる範囲)を情報提供しています。財務省は、特に技術、製造プロセス、およびサプライチェーンが進化するため、製造された製品の構成部品がどのように分類されるかについての意見を歓迎しています。ガイダンスでは、特定の製造製品を分類してセーフハーバーを確立していますが、財務省は、この分類を代替する方法についても検討中です。
この国内生産品の税額控除のガイダンスは、財務省によるインフレ抑制法のクリーンエネルギー規定の実施の第1段階です。このガイダンスは、3月に発表されたクリーン自動車の税制控除に関する規則制定案の通知と、4月に発行された地域社会にあるクリーンエネルギープロジェクトおよび施設の控除に関するガイダンスに続くものです。ガイダンスの第1段階では、投資やプロジェクトを計画している企業やその他の団体に明確なガイダンスを提供することで、インフレ抑制法の重要な経済的および気候的利益を促進していくことが目標となっています。財務省は、今後数か月間、インフレ抑制法のクリーンエネルギー条項に関するガイダンスの発行を続けます。
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