EPA、現行のオゾン吸収断面積値を国際基準と合わせる最終規則を発表
2023年10月12日、米国環境保護庁(EPA)は、現行のオゾン吸収断面積が比較的不確かであるため、より不確かさが小さい1.1329×10-17cm2分子-1(304.39atm-1cm-1における不確かさ0.94atm-1cm-1、304.39±0.94 atm-1cm-1という、国際的な合意に基づく推奨断面積値に更新することを最終決定しました。この新しい設定値は現在の値である308atm-1cm-1より1.2%低く、値の不確実性が0.31%減少しています。このオゾン吸収断面積の更新により、今後測定値として発表されるオゾン濃度が増加する可能性があります。この内容を含んだ最終規則は、2023年11月13日より発効されます。
背景
地上レベルのオゾンは人体に有害な汚染物質とみなされ、産業界、政府規制当局、地域の大気質管理者などがその濃度を測定しています。測定の際には、オゾンが波長254ナノメートルの紫外線を吸収することを利用した光度計が用いられ、測定器にいれた空気サンプルがどの程度紫外線を吸収するかを測定することでオゾン濃度を計算します。この計算式に代入する定数として、オゾン吸収断面積値があります。そのため、オゾンの濃度を正確に算出するためには、より正確(より不確かさが小さい)オゾン吸収断面積値を定数とする必要があります。
1961年、オゾン吸収断面積値は1.1476×10-17cm2分子-1、つまり308.3atm-1cm-1(1気圧で1センチメートルあたり308.3)と測定され、相対標準不確実性は1.4%と報告されました。1980年代、米国標準技術局(National Institute of Standards and Technology、NIST)は、米国環境保護庁(Environmental Protection Agency、EPA)と共同で、オゾン測定の国際標準である標準光度計(Standard Reference Photometer、SRP)を開発しました。また、近年この光度計の精度と測定技術がより進歩したため、現行の値の不確実性がかなり大きいことがわかりました。このため、フランス度量衡局(Bureau of Weights and Measures in France、BIPM)の化学・生物学計量諮問委員会のガス分析作業部会(Gas Analysis Working Group of the Consultive Committee for Metrology in Chemistry and Biology、CCQM-GAWG)は、1950年以降に公表されたオゾン吸収断面積値を見直すことを決め、2016年に米国のNISTおよびEPAを含む国際的計量機関や各国の計量機関を代表するタスクグループを招集しました。タスクグループでは科学者により過去の膨大な科学データの検討と正確なオゾン吸収断面積値の再計算が行われました。そしてその結果を得て、2020年10月にCCQM-GAWでは、オゾン層の測定吸収断面積値の変更とその実施が議論されました。この会議により、不確実性がより小さい正確な測定値を採用し実施することが合意されました。
米国では、各地のオゾン濃度測定値は国家環境大気質基準(National Ambient Air Quality Standard、NAAQS)と比較され、法令準拠の判断指標となります。このオゾン濃度の計算には、今回最終決定されたオゾン吸収断面積値が定数として代入されて算出されています。
注目すべき内容
現在の「大気中のオゾン測定のための基準測定原理および校正手順」で規定されているオゾン校正手順において、オゾン吸収断面積値は308±4 atm-1cm-1という数値が用いられています。本最終措置では、このオゾン吸収断面積値を更新し、BIPMのCCQM-GAWGが断面積の基準値とした、304.39atm-1cm-1(標準温度0 ℃、標準圧力1気圧における不確実性は0.94atm-1cm-1)と合わせることを決定しました。
EPAは、この新しい断面積値が不確実性を0.31%低減すると判断し、この値を採用しています。この更新により、今後オゾン濃度の測定値が増加する可能性がありますが、EPAは他のオゾン層の監視データの値に影響を及ぼす可能性は低いと考えています。今回の最終規則は、2025年1月1日より実施が開始されます。州、地方、および部族の監視機関は、2026年1月1日までに実施を完了する予定です。よって、2025年1月1日以降は、両方の断面積値、304.39±0.94atm-1cm-1と308±4 atm-1cm-1の両方の使用が認められ、2026年1月1日以降は、304.39±0.94 atm-1cm-1の断面積値のみが使用されます。
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