EPA、カリフォルニア州のいわゆるクリーンカー規制を、連邦政府の権利を侵害するとして、拒否する提案を発表
2025年08月25日、米国環境保護庁(EPA)は、州外および国外車両に適用される、カリフォルニア州の大型車(HD)の検査・整備(I/M)要件への不承認を提案しました。カリフォルニア州が提出した州実施計画(SIP)のHDへのI/M要件は、州内で走行する「すべての」HDに対するI/Mプログラムを確立していました。EPAは、この要件が米国憲法の商取引条項に違反し、さらに連邦法との矛盾が大気浄化法110条にも違反するとの懸念から、この州の措置を拒否することを提案しています。米国で自動車、特に商用の大型車を取り扱う事業体は注意が必要です。
EPAが管理する大気浄化法(Clean Air Act、CAA)における州実施計画(SIP)とは
大気浄化法(Clean Air Act、CAA)とは、米国で1963年12月に制定された大気汚染防止のための法律です。酸性雨対策やオゾン層の保護を目的とし、CAAでは、6つの汚染物質、粒子状物質、地上オゾン、一酸化炭素、二酸化硫黄、二酸化窒素、鉛のそれぞれに対し、国家大気環境基準National Ambient Air Quality Standards、NAAQS)を設けています。
さらに、CAAは、各州に対して州実施計画(State Implementation Plans、SIP)を策定し、排出制限値や遵守スケジュールのほか、風下にあたる他州の大気環境に重大な影響を与える排出を禁じる規定を盛り込むことを義務付けています。CAAに基づき、米国環境保護庁(Environmental Protection Agency、EPA)は、各州のSIPを承認する立場にあります。
この提案の背景
この米国連邦政府のカリフォルニア州のSIPへの拒否は、下記2件の政府のカリフォルニア州法への措置に続くものとなっています。
- カリフォルニア州大気資源局(California Air Resources Board、CARB)は、いわゆる「クリーン・トラック・パートナーシップ」を通じて、大型トラックおよびエンジン製造業者へ同州の排出基準を実施しています。2025年08月、米国司法省は、この排出基準の実施に関して、連邦裁判所に2件の不服申し立てを提出しました。
- 前政権時にEPAは、3つの免除規則(カリフォルニア州の先進クリーンカーII、先進クリーントラック、および大型エンジンのオムニバスNOx)をカリフォルニア州に付与していました。しかし、2025年02月、現政権下でEPA長官は、現大統領および新たに設立された国家エネルギー支配評議会(National Energy Dominance Council)とともに、議会審査法(Congressional Review Act、CRA)に基づいて、この3つの免除規則を議会に送付しました。そして、2025年06月、CRA決議により、これらカリフォルニア州の自動車排出ガス免除が不承認として米国下院と上院で可決し、大統領による署名の後に法律となっています。
この提案の内容
今回、EPAは、カリフォルニア州SIPのHeavy-Duty(HD)の検査・整備(Inspection and Maintenance、I/M)要件について、カリフォルニア州の州法が連邦法に矛盾しているという理由で、不承認を提案しました。EPA長官はこの拒否という措置の理由として、以下の2点を挙げています。
- カリフォルニア州のSIPは、州外で登録している自動車にも及ぶことから、全国に製品などを配送するトラック運転手とその製品に依存するすべての米国人の生活費を引き上げる
- カリフォルニア州のSIPは、州の外国車にも及ぶことから、外交に関する権限が連邦政府に帰属するという基本原則を無視している
EPAが発表したこの不承認を含む提案は、連邦官報に掲載された後30日間意見公募が行われます。その後、EPAがすべての意見を検討した上で、最終的な決定がおこなわれます。
米国、特にカリフォルニア州近辺において販売、走行するであろう、商用の大型トラックおよびそのエンジン製造者は、この提案の内容と今後の最終決定の動向に注意が必要です。
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