2023年09月18日、運輸省陸運局(DLT, Department of Land Transport)は火花点火式エンジンを搭載した車から排出される一酸化炭素および炭化水素ガス値の検査基準と方法に関する告示を官報公布しました。この告示は官報公布日より60日の猶予期間を経て発効となります。
この告示発出の背景
この告示は天然資源環境省が下記3つの告示を発出することにより火花点火式エンジン搭載車の一酸化炭素と炭化水素ガスの排出規制基準の改善を行ったため、それらの内容に基づいた一酸化炭素と炭化水素ガス排出に係る検査基準と方法を定めるために発出されたものです。
■「三輪車(サムロー))から排出される一酸化炭素と炭化水素ガスの基準値の規定 仏暦2548年(西暦2005年)」
■「火花点火式ガソリンエンジン搭載車から排出される一酸化炭素と炭化水素ガスの管理基準 仏暦2564年(西暦2021年)」
■「火花点火式天然ガスエンジン搭載車から排出される一酸化炭素と炭化水素ガスの管理基準 仏暦2564年(西暦2021年)」
なお、今回の告示発出により以下の告示は廃止となります。
■「ガソリンエンジン搭載車に係る法律に基づく排気管から排出される一酸化炭素と炭化水素ガス値の検査基準と方法 仏暦2554年(西暦2011年)」(西暦2011年3月22日発出)
この告示の主な内容
この告示は火花点火式エンジンを搭載した車を対象に、以下の内容につき言及されています。
■ノーマルアイドリング状態で排気管から排出されるガス規制値を下記カテゴリ別に定めています。
▪三輪車(サムロー)
・一酸化炭素ガス値:機器で測定した体積中4.5%を超えないこと
・炭化水素ガス値:機器で測定した際 10,000Ppmを超えないこと
▪1993年11月1日以前に登録された各県をまたぐ7人乗り業務用車、7人乗りタクシー、業務用小型車、7人乗り自家用自動車など
・一酸化炭素ガス値:機器で測定した体積中4.5%を超えないこと
・炭化水素ガス値:機器で測定した際 600Ppmを超えないこと
▪1993年11月1日以降に登録された各県をまたぐ7人乗り業務用車、7人乗りタクシー、業務用小型車、7人乗り自家用自動車など
・一酸化炭素ガス値:機器で測定した体積中1.5%を超えないこと
・炭化水素ガス値:機器で測定した際 200Ppmを超えないこと
▪上述以外の自動車で2007年1月1日以前に登録した車
・一酸化炭素ガス値:機器で測定した体積中1.5%を超えないこと
・炭化水素ガス値:機器で測定した際 600Ppmを超えないこと
▪上述以外の自動車で2007年1月1日-2013年12月31日に登録した車
・一酸化炭素ガス値:機器で測定した体積中0.5%を超えないこと
・炭化水素ガス値:機器で測定した際 100Ppmを超えないこと
▪上述以外の自動車で2014年01月01日以降に登録した車
・一酸化炭素ガス値:機器で測定した体積中0.3%を超えないこと
・炭化水素ガス値:機器で測定した際 100Ppmを超えないこと
※ハイアイドリング状態時(ラムダ1±0.3もしくはエンジン回転数が1分につき2,500-3,000回)の場合のガス規制値は下記の通りです。
・一酸化炭素ガス値:機器で測定した体積中0.2%を超えないこと
・炭化水素ガス値:機器で測定した際 100Ppmを超えないこと
■その他、ガス排出量の検査方法もノーマルアイドリング状態時、ハイアイドリング状態時に分けて記されています。
タイ排出ガス規制の動き
タイでは主に都市部を中心にガソリン車やディーゼル車等から排出される排気ガスによる大気汚染、特にPM2.5の問題が深刻化して久しい状態です。そのためタイではその規制を目的に自動車排ガス規制「ユーロ4」を早くから導入していますが、2024年1月から「ユーロ5」を導入予定、さらに厳格な「ユーロ6」についても、早期導入を目指し準備が進められています。
また、2023年07月には工業省が以下3つの特定の自動車の工業規格をにユーロ5に準拠したものとし、強制規格として定めるための省令を官報公布するなど、コロナ禍による「ユーロ5」導入の遅れを経てその動きは活発化しています。
TIS (工業規格)番号3018-2563
「仏暦2566年(西暦2023年)工業省令 圧縮着火エンジン搭載の小型自動車工業製品は規格に準拠する必要がある旨を規定する」
TIS (工業規格)番号3043-2563
「仏暦2566年(西暦2023年)工業省令 天然ガスまたは液化石油ガスを燃料とした火花点火エンジン搭載の大型自動車工業製品は、規格に準拠する必要がある旨を規定する」
TIS (工業規格)番号3046-2563
「仏暦2566年(西暦2023年)工業省令 圧縮着火エンジン搭載の大型自動車工業製品は規格に準拠する必要がある旨を規定する」
参考情報
「陸運局告示 火花点火エンジン搭載車に係る法律に基づく排気管から排出される一酸化炭素および炭化水素ガス値の検査基準と方法」2023年09月18日官報公布、官報公布日より60日後発効(2023年07月24日発出)
「サムロー(三輪車)から排出される一酸化炭素と炭化水素ガスの基準値の規定 仏暦2548年(西暦2005年)」
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