米国|耐空性指令;各種飛行機、ヘリコプター、エンジン

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米国|耐空性指令;各種飛行機、ヘリコプター、エンジン

排気テールパイプをターボチャージャーの排気口に取り付けるVバンドカップリングに関する最終規則

2023年6月12日、運輸省(DOT)の連邦航空局(FAA)は、ターボチャージャー付きレシプロエンジンを搭載した航空機およびヘリコプター、ならびに特定のVバンドカップリングを取り付けたターボチャージャー付きレシプロエンジンに対する新しい耐空性指令(AD)を採択し最終規則としました。

ここでは、「レシプロエンジンとは」「最終規則として採択された背景」「最終規則として採択された内容」について記事になっています。

レシプロエンジンとは

レシプロエンジン(reciprocating engine)は、往復動機関あるいはピストンエンジンとも呼ばれる熱機関の一形式で、船舶、自動車、非電化区間向けの鉄道車両、航空機といった乗り物の他、発電機やポンプなどの定置動力にも用いられ、一般的な動力源として広く普及しています。

20世紀中盤以降は、航空機では大排気量・高出力のものからガスタービンエンジンに置き換わり、21世紀に入ると分野によっては、再生可能エネルギーを利用したカーボンニュートラル化が容易な電動機に置き換わりつつあります。

最終規則として採択された背景

1970年代半ば以来、排気テールパイプをターボチャージャーの排気口に取り付けるVバンドカップリング(「スポット溶接されたマルチセグメント排気テールパイプのVバンドカップリング」とも呼ばれます)の不具合は、飛行機もしくはヘリコプターの両方で、かなりの数の事故や事件(死亡事故と非致死事故)を引き起こしていました。

1974年以来、米国運輸安全委員会(National Transportation Safety Board、NTSB)の事故・事件調査により、排気システムまたは排気Vバンドカップリングに関するNTSB安全勧告が7件、排気システムまたは排気Vバンドカップリングの不完全な安全性に対処するFAAからの耐空性指令(airworthiness directive、AD)が20件、同様にFAAからの特別耐空性情報速報(Special Airworthiness Information Bulletins、SAIB)が10件発行されています。

このため、関連業界は、Vバンドカップリングの不具合に関連する懸念事項に対して、様々な行動をおこなっていますが、その努力にもかかわらず、不具合は発生し続け、重大な安全事象の数は増え続けています。

以上の状況を踏まえ、連邦航空局(Federal Aviation Administration、FAA)と産業界で構成される一般航空合同運営委員会(General Aviation Joint Steering Committ、GA-JSC)は、ターボチャージャー付きレシプロエンジンを搭載した航空機に関連するVバンドカップリングの不具合を研究し、推奨される是正措置を策定するための作業部会を設置しました。

このVバンドカップリング作業部会は、航空業界メーカー、ユーザーグループ、政府機関で構成されています。

この作業部会では、

①特定のカップリングタイプ(スポット溶接、リベット、シングルピース)に合わせた強制的な是正措置を推奨しました。

また、

②カップリングの交換時期(寿命制限)と年次点検の義務化を推奨し、適切なVバンドカップリングの取外し、取付け、検査の実施方法について、保守要員を支援し、教育するための強制的ではない措置を推奨しました。

さらに、

③作業部会は、ターボチャージャーの排気吐出口のすぐ下流にVバンドカップリングを組み込んだ新設計の場合、交換間隔(スポット溶接の場合は500時間、リベットと一体型の場合は2,000時間)を整備マニュアルの耐空性制限のセクションに組み込むことも推奨しました。

2018年1月、作業部会はそれまでの研究内容をまとめ、「排気系ターボチャージャーからテールパイプへのVバンドカップリング/クランプ作業部会最終報告書(Exhaust System Turbocharger to Tailpipe V-band Coupling/Clamp Working Group Final Report)」と題する最終報告書を発表しました。

最終報告書の付録Bには、ベストプラクティスガイド(もっとも適切な対処方法)が含まれています。この最終報告書では、関連する事故に共通するのは、スポット溶接されたマルチセグメント排気テールパイプVバンドカップリングであると結論づけています。

作業部会が最終報告書を発表した後、FAAは2018年7月13日付けでSAIB(CE-18-21)を発行しました。このSAIBでは、最終報告書のベストプラクティスガイドが入手可能であることを発表し、ターボチャージ付きレシプロエンジン搭載航空機の整備においてベストプラクティスを適用することを推奨しました。

FAAはまた、最終報告書に含まれる勧告を評価し、スポット溶接されたマルチセグメントVバンドカップリングが取り付けられたターボチャージャー付きレシプロエンジン搭載航空機に安全でない状態が存在すると判断しました。FAAはさらに、最終報告書で推奨された是正措置がこの安全でない状態に対処するために適切であると判断しました。

2022年7月27日、作業部会の最終報告を受け、FAAは、ターボチャージャー付きレシプロエンジンを搭載した航空機とヘリコプター、および特定のVバンドカップリングを取り付けたターボチャージャー付きレシプロエンジンに適用されるADを追加することにより、連邦規則集タイトル14「航空宇宙」パート39「耐空性指令」(14 CFR part 39)を改正するための規則作成提案公告(NPRM)を発行していました。

最終規則として採択された内容

FAAは、ターボチャージャー付きレシプロエンジンを搭載した飛行機やヘリコプター、および特定のVバンドカップリングが取り付けられたターボチャージャー付きレシプロエンジンに対し、新しいADを採用しました。このADでは、スポット溶接されたマルチセグメントVバンドカップリングの寿命を確立し、スポット溶接されたマルチセグメントVバンドカップリングを繰り返し検査する必要性を義務として指摘しています。このADは2023年7月17日に発効します。

参考

耐空性指令;各種飛行機、ヘリコプター、エンジン

https://www.federalregister.gov/documents/2023/06/12/2023-12417/airworthiness-directives-various-airplanes-helicopters-and-engines

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