初めてリンに対する排水制限を設定する提案
2023年12月15日、米国環境保護庁(EPA)は、食肉・鶏肉製品を加工する施設からの廃水排出基準を改定する規制案を発表しました。これらの施設の多くは、栄養塩汚染が深刻な水域や住民が多い地域社会の近くに立地しています。今回のEPAの提案は、最新の汚染防止技術を活用し、食肉工場などから水域に排出される窒素やリンなどの汚染物質を年間で約1億ポンド削減することを目指し、最終的に下流の地域社会や生態系の水質を改善することが目的です。食肉および鶏肉製品を加工する事業や関連事業に影響が及びます。EPAは、2024年03月25日まで一般からの意見を募集します。
背景
水質浄化法(Clean Water Act、Clean Water Act)は、環境保護庁(Environmental Protection Agency、EPA)に対し、汚染防止技術の向上に対応する形で業界全体の廃水処理基準値を含む排水制限ガイドライン(effluent limitation guidelines、ELG)の改訂を行うことを義務づけています。食肉・鶏肉製品を加工する施設に対する最初のELGは1974年に発行され、最後の改訂は2004年でした。ELGでは、年々向上する排水処理技術に基づいて、業界全体が経済的もしくは技術的に達成可能な最大の汚染物質削減量を示すこととなっています。これは、EPAが最大の削減量を示す事により業界全体において施設の低コスト化や制御技術の向上が行われると考えているためです。
EPAは、2021年09月の予備的排水ガイドライン計画15(Preliminary Effluent Guidelines Program Plan 15)で発表したように、食肉および鶏肉製品を加工する施設の詳細な調査を完了し、これらの施設に対する現行の排水規制を改定することを決定しました。
注目すべき内容
EPAの本規制案では、以下の3点が新たに提案されています。
- 既存の直接放流を行っている事業者に対して、窒素に対するより厳しい排水制限が設けられました。
- 初めてリンに対する排水制限が設けられました。
- 油脂類、総浮遊固形物、および生物化学的酸素要求量に関する前処理基準も初めて設定されました。この規制オプションは、全国5,000の食肉・鶏肉製品を加工する施設のうち約850に適用されます。
EPAは、食肉・鶏肉製品を加工する施設を対象とするELG規則に関する意見の他、「一部の施設で発生する高塩分廃棄物の分離と管理の義務付け」に関する意見を求めています。EPAは、本規制案は2024年01月23日に官報に掲載し、その60日後の2024年03月25日まで一般からの意見を募集します。
参考情報
EPA、食肉・鶏肉製品を加工する施設の廃水排出基準を改定する規制案を発表
水質浄化法とは
水質浄化法(Clean Water Act、CWA)は、米国で1972年に制定された水質汚濁防止のための法律です。水域の化学的・物理的・生物学的状態を修復し維持することが目的で、汚染水排出源からの汚染物質の水域への排出を制限する内容となっています。排出源からの汚染物質の水域への排出は許可制とし、許可には技術基準と水質基準が課せられています。技術基準は汚染物質によって異なる、全国で統一された基準です。一方、水質基準は技術基準を満たしていても排出先の水質の修復・維持が困難な水域において課される厳格な基準で、水域の利用目的に応じて州・公認部族がその内容を決定します。本法の下では、排出源と認定されていない排出水の規制プログラムや湿地等の浚渫・埋め立てに係る規制プログラムなども含まれています。
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