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米国|輸出管理規則(EAR)のカメラ、システム、および関連部品に対する許可要件を改正した最終規則

産業安全保障局(BIS)、日本を含む同盟国へのカメラ関連の部品の輸出許可要件を改正して最終規則とする

2024年02月23日、産業安全保障局(BIS)は、特定のカメラ、システム、および関連部品に対する許可要件を改正した輸出管理規則(EAR)を最終規則としました。BISはこの改正において以下2点を改正しています。①EARのカメラなどに関する許可要件をより明確にしています。②現在、輸出管理分類番号(ECCN)6A003、または6A203のいずれにおいても管理されていない特定のカメラの種類(ECCN 6A293)を通商管理リスト(CCL)に追加しました。この規則は2024年03月08日に発効しています。CCLに掲載されている製品の製造者、特にカメラ関連部品等の製造者やその販売者、これらの米国への輸出入に関わる事業者に影響が及びます。

産業安全保障局(BIS)と輸出管理規則(EAR)とは

米国の産業安全保障局(Bureau of Industry and Security, BIS)は、米国の輸出の拡大を促進しつつ大量破壊兵器の拡散の阻止を図ることを目標にする商務省の一機関で、国家安全保障と高度産業技術に関する問題を扱っています。BISの活動には、①効果的で効率的な方法で物品や技術の輸出を統制する輸出規制や反ボイコット・公共安全法令を施行すること、②輸出規制と戦略的貿易の問題に関して他国と協力しまた時には援助すること、③米国の産業界が国際的な武器規制協定を遵守するよう補助すること、④米国の防衛産業の基盤の成長可能性を監視すること、⑤国家の基幹施設の保護を行うため指導と協力を促進すること、が含まれています。

上記の目的のため、BISは輸出管理規則(Export Administration Regulations、EAR)に基づき、安全保障上の脅威、外交政策、短期的な供給の問題、核の拡散や生物・化学兵器の拡散を防止するなどを理由に、特定の外国企業、研究機関、個人等の名称をエンティティリスト(禁輸措置対象リスト)として公示し、輸出規制を行っています。このリストにはファーウェイなどの中国系企業も含まれています。またBISは、EARに基づいて、取引許可が必要な製品を通商管理リスト(Commerce Control List、CCL)に記載し、輸出規制を行っています。CCLにおいて、BISは輸出が規制される特定の技術や商品をリストアップし、それぞれの商品や技術に輸出管理分類番号(Export Control Classification Numbers、ECCN)を割り振ることで、管理しています。

戦略的貿易許可(STA)とは

戦略的貿易許可(Strategic Trade Authorization、STA)とは、2011年06月に出来た新しい許可例外の一つです。通常CCLに掲載されている特定の品目の輸出、再輸出、国内移転にはEAR輸出許可が必要ですが、「不正または許されない使用のリスクが低い輸出先」に関して、米国はSTAを設定して例外的に許可し、その販売を促しています。ただし、輸出者が、STAの例外を使用する場合、(1) STAを使用して輸出されたことを示す書面での通知と(2)輸出者が事前に取得する荷受人の陳述書が要求されます。2024年03月現在「不正または許されない使用のリスクが低い輸出先」として、米国は、英国、フランスやドイツなどの欧州の同盟国と共に日本も含めています。

今回のカメラ関連の部品の輸出許可要件における改正点

BISは、この改正において以下2点を改正しました。

①既存のカメラ許可要件の変更

規則に特定の文言を加えることで、ECCN 6A003.a.3(カメラ、電子連射タイプ(electronic streak type))、6A003.a.4(カメラ、電子フレーミングタイプ(electronic framing type))、またはこれらのカメラにプラグインとして接続する6A003.a.6で指定されたカメラ関連商品を、「不正または許されない使用のリスクが低い輸出先」(具体的には、Country Group A:1リスト掲載国を除いた国)へ、許可を必要とせずに輸出することができるようになりました。今回付け加えられたECCNカテゴリーは、COVID-19に感染した人の発熱状態を測定するカメラの種類を含んでおり、この種類を含む米国製品を同盟国への貿易・販売することを妨げないようにするための対処となっています。ただし、いわゆる軍需品(600シリーズ)でECCN 0A919で指定されたカメラ、システム及び関連部品のカテゴリーについては許可要件から削除されていません。また、Country Group A:1リストに掲載されている国への焦点面アレイ(focal plane arrays)は、EARの他の規定に基づき、引き続き許可が必要となっています。

②カメラ用のECCN 6A293カテゴリーをECCN 6A003および6A203カテゴリーと同様にSTAに追加

ECCN 6A293カテゴリーは、ECCN 6A003(一般的なカメラもしくは関連部品)または 6A203(高速度カメラもしくは関連部品)のいずれにも管理されておらず、以下の2つの特徴を有するカメラを対象としています。(1)最短露光時間が1マイクロ秒以上、(2)毎秒205,000フレームで撮影した場合のスループットが13.43ギガピクセル/秒以上。今回の改正では、ECCN 6A293カテゴリーをECCN 6A003および6A203カテゴリーと同様とする文言を含め、ライセンス特例の戦略的貿易許可(Strategic Trade Authorization、STA)の対象としました。これにより、「不正または許されない使用のリスクが低い輸出先」へのECCN 6A293カテゴリーに属するカメラの輸出、再輸出などが条件付きで許可されます。つまり、ECCN6A293カテゴリーに属するカメラはSTAを利用することで、ロシア、ベラルーシ、中国を除いた原子力供給国グループ(Nuclear Suppliers Group、NSG)参加国に無許可で輸出できるようになりました。NSGとは、核拡散防止を目的とした国家グループ組織のことで、2024年03月現在、米国以外に英国、フランスやドイツなどの欧州各国や日本も含む48か国が参加しています。

以上の内容により、カメラ関連の製造者やその販売者、米国への輸出入に関わる事業者に影響が及びます。

参考情報

輸出管理規則(EAR)のカメラ、システム、および関連部品に対する許可要件を改正した最終規則

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