| 法令の情報時期:2025年1月 統合版 | ページ作成時期:2025年11月 |
目的
本指令は、電気・電子機器における鉛、水銀、カドミウムなどの有害物質の使用に関する既存の規則を強化し、人の健康および環境を保護することを目的としている。特に、電気・電子機器の環境的に適正な回収および廃棄物処理を可能にすることによって、その目的を達成するものとしている。
概要
本指令は、附属書で示される電気・電子機器の種類を規定し、家庭用機器からIT機器まで幅広い製品を対象とする。2019年7月以降は、特定の種類に該当しない製品も含むように制限適用範囲の拡大(オープンスコープ)がなされ、現在ではすべての電気・電子機器に加え、ケーブルおよび交換部品にも制限が適用される。
本指令の対象外となる一部の特殊なケースには一覧が設けられている。本指令の禁止措置は、医療機器や監視・制御機器など、特定の製品について段階的に導入された。(詳しくは下記「事業者が注意すべき内容」参照)
経済事業者には、それぞれの役割に応じた義務が課される。製造者は、上市する電気・電子機器が指令の要求事項に適合するよう設計・製造し、適合宣言およびCEマーキングを正しく行わなければならない。輸入者は、第三国からの電気・電子機器が要求事項を満たすことを確認し、販売業者もまた基準の遵守を確保する必要がある。
経済事業者はすべて、トレーサビリティを確保し、必要に応じて当局への協力を行う義務を負う。
制限される物質やそれらの許容濃度値の一覧を含む附属書は、科学技術の進歩や人の健康・環境へのリスクを考慮して定期的に見直される。また、技術的理由から代替困難な用途については、附属書IIIおよび附属書IVに猶予が定められ、必要に応じて更新される。
欧州委員会は2020年に本指令の評価および必要な改訂の検討を開始しており、附属書や実施措置は継続的な更新が行われている。
注目定義
<対象者>
■ 「製造者」(manufacturer)
| 「製造者」とは、電気・電子機器を製造する者、またはその設計・製造を他者に行わせ、自らの氏名または商標の下でその機器を市場に供給する自然人または法人をいう。 |
■ 「認定代表者」(authorised representative)
| 「認定代表者」とは、製造者から文書による委任を受け、当該委任の範囲内で、本指令に基づく特定の義務を製造者に代わって履行するEU域内の自然人または法人をいう。 |
■ 「販売業者」(distributor)
| 「販売業者」とは、サプライチェーンの中で製造者または輸入者以外に属し、電気・電子機器を市場で提供する自然人または法人をいう。 |
■ 「輸入者」(importer)
| 「輸入者」とは、第三国からの電気・電子機器を EU 市場に初めて上市する、EU域内に所在する自然人または法人をいう。 |
■ 「経済事業者」(economic operators)
| 「経済事業者」とは、製造者、認定代表者、輸入者および販売業者を総称する用語をいう。 |
<対象製品>
■ 「電気・電子機器」(electrical and electronic equipment / EEE)
| 「電気・電子機器」とは、適切に作動するために電流または電磁界に依存し、これらの電流や電磁界の発生・伝送・測定のための機器であって、定格電圧が交流1000ボルト以下または直流1500ボルト以下のものをいう。 |
■ 「大規模固定式産業用工具」(large-scale stationary industrial tools)
| 「大規模固定式産業用工具」とは、特定の用途のために機械・装置・部品を組み合わせた大規模な設備一式で、特定の場所に専門家が恒久的に設置・撤去し、産業用製造施設または研究開発施設で専門家により使用・維持されるものをいう。 |
■ 「大規模固定設備」(large-scale fixed installation)
| 「大規模固定設備」とは、複数種類の機器その他の装置を組み合わせた大規模な設備であり、専門家によって特定された専用の場所に恒久的に設置され、同じく専門家により撤去されるものをいう。 |
■ 「ケーブル」(cables)
| 「ケーブル」とは、定格電圧が250ボルト未満であり、電気・電子機器をコンセントに接続するか、または複数の電気・電子機器同士を接続する目的で用いられるすべてのケーブルをいう。 |
■ 「CEマーキング」(CE marking)
| 「CEマーキング」とは、当該表示の貼付を規定するEUの調和立法に定められた適用要求事項に製品が適合していることを、製造者がその表示によって示す表示をいう。 |
■ 「均質材料」(homogeneous material)
| 「均質材料」とは、全体として組成が一様な材料、またはねじ外し、切断、粉砕、研磨などの機械的手段によって異なる材料に分離することができない材料の組合せをいう。 |
■ 「医療機器」(medical device)
| 「医療機器」とは、旧指令No 93/42/EEC第1条第2項(a)で定義される医療機器であって、あわせて電気・電子機器でもあるものをいう。 |
■ 「体外診断用医療機器」(in vitro diagnostic medical device)
| 「体外診断用医療機器」とは、旧指令No 98/79/EC第1条 第2項(b)で定義される体外診断用医療機器をいう。 |
■ 「能動埋込み医療機器」(active implantable medical device)
| 「能動埋込み医療機器」とは、旧指令No 90/385/EEC第1条第2項(c)で定義される能動埋込み医療機器をいう。 |
■ 「産業用監視・制御機器」(industrial monitoring and control instruments)
| 「産業用監視・制御機器」とは、専ら産業用または専門用途向けに設計された監視機器および制御機器をいう。 |
■ 「交換部品」(spare part)
| 「交換部品」とは、電気・電子機器の一部を交換できる別個の部品であって、その部品がなければ当該機器が本来の機能を果たせず、その部品に交換することで当該機器の機能が復元されるか、または向上するものをいう。 |
■ 「専ら業務用として提供される非道路移動機械」(non-road mobile machinery made available exclusively for professional use)
| 「専ら業務用として提供される非道路移動機械」とは、搭載電源または外部電源で駆動され、その運転にあたり移動性または連続的・準連続的な移動を必要とし、作業しながら固定された複数の作業地点間を移動する機械であって、専ら業務用として市場に提供されるものをいう。 |
適用除外(対象外・猶予・免除等)
対象外
武器、宇宙機器、大規模な固定式産業用工具(例:印刷機、フライス盤、穴あけ機)、発電設備のような固定設備などの一連の品目、太陽光発電パネル(第2条 第4項)
パイプオルガンおよび一部の非道路移動式機械(第2条 第4項および第3条 第28号)
旧指令No 2002/95/ECの適用範囲外であった電気・電子機器のうち、指令No 2011/65/EUには適合しない機器について、二次市場での取引(修理、交換用部品の取替え、再生・再使用、レトロフィットを含む)に対する禁止を解除している。(第4条)
電気・電子機器から回収された再使用部品(監査可能なクローズドかつ循環型の事業者間回収システム上において再使用が行われ、かつ、部品の再使用が消費者に通知される場合)(第4条)
猶予
特定の条件を満たす場合、電気・電子機器におけるはんだへの鉛の使用など一定の用途については、猶予が設けられ制限が適用されない。(第5条、第4条、附属書III、附属書IV)
附属書IIIおよび附属書IVに、制限適用まで猶予を与えられた用途、許容濃度値、および猶予期間の満了日が記載されている。指令の公布以降、これらの適用除外一覧表は技術の進歩に合わせて継続的に更新されている。(第5条、附属書III、附属書IV)
事業者が注意すべき内容
| 本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。 ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。 |
電気・電子機器をEU市場に上市する事業者は、当該電気・電子機器(修理・再使用・機能更新・性能向上のためのケーブルや交換部品を含む)が、附属書IIに掲げる制限物質を、均質材料ごとの最大濃度値を超えて含有しないようにしなければならない。
本指令の禁止措置は、特定の製品について段階的に導入された。発効日は以下のとおりである。
・2014年7月22日:監視・制御機器および医療機器
・2016年7月22日:体外診断用医療機器
・2017年7月22日:産業用監視・制御機器
・2019年7月22日:その他の製品群
再使用部品を電気・電子機器に用いる事業者は、監査可能なクローズドかつ循環型の事業者間回収システム上において再使用を行い、消費者に再使用部品であることを通知しなければならない。(詳しくは第4条参照)
製造者は下記の義務を負う。
- 電気・電子機器を、第4条の要求事項に適合するように設計・製造しなければならない。
- 電気・電子機器の適合性を示す技術文書を作成しなければならない。
- 内部生産管理手順を実施しなければならない。
- 適合性が証明された電気・電子機器についてEU適合宣言を作成し、CEマーキングを表示しなければならない。
- 技術文書とEU適合宣言を、電気・電子機器の上市後10年間保持しなければならない。
- 量産においても電気・電子機器の適合が維持されるような手順を整備しなければならない。
- 不適合の電気・電子機器およびリコールの登録簿を保持しなければならない。
- 電気・電子機器に識別可能な型式、ロット番号、製造番号その他の識別情報を表示しなければならない。
- 自らの名称、登録商標および連絡先住所を電気・電子機器またはその包装・添付文書に表示しなければならない。
- 自ら上市した電気・電子機器が本指令に適合しないと認める場合には、速やかに当該電気・電子機器を適合させるための是正措置、または必要に応じて市場からの撤去・リコールを行わなければならない。
- 当該不適合の電気・電子機器を提供した加盟国の主管当局に対し、不適合の内容および講じた是正措置の詳細を直ちに通知しなければならない。
- 主管当局からの理由ある要請に応じて必要な情報・文書を提供し、当局が電気・電子機器の適合性を確保するために講じる措置に協力しなければならない。(詳しくは第7条参照)
製造者は、電気・電子機器が第4条で定められた要求事項を満たしていることを示すEU適合宣言を作成し、その内容を附属書VIで定められた様式と要素に従って記載し、製品が上市または提供される加盟国の要求する言語に翻訳しなければならない。また、EU適合宣言を作成することにより、電気・電子機器が本指令に適合していることについての責任を負わなければならない。(詳しくは第13条参照)
認定代表者は、製造者から与えられた委任の範囲内で、EU適合宣言および技術文書を電気・電子機器の上市後10年間市場監視当局のために保管し、当局からの理由ある要請に応じて、電気・電子機器の適合性を示すために必要な情報・文書を提供し、当局による適合確保のための措置に協力しなければならない。(詳しくは第8条参照)
輸入者は下記の義務を負う。
- EU市場に上市する電気・電子機器が、本指令の要求事項に適合するものに限るようにしなければならない。
- 製造者が適切な適合性評価手順を実施し、技術文書を作成していることを確認しなければならない。
- 電気・電子機器にCEマーキングが付され、必要書類が添付されていることを確認しなければならない。
- 製造者が第7条(g),(h)の表示義務(名称、登録商標、連絡先住所の表示)を果たしていることを確認しなければならない。
- 自らの名称、登録商標および連絡先住所を電気・電子機器またはその包装・添付文書に表示しなければならない。
- 電気・電子機器が第4条に適合しないと考える場合には、当該電気・電子機器を適合させるまで市場に上市してはならない。
- 上市した電気・電子機器が本指令に適合しないと判明したときは、当該電気・電子機器を適合させるか、撤去またはリコールするための必要な是正措置を講じなければならない。
- 不適合の内容および講じた是正措置の詳細を、主管当局および販売業者に通知しなければならない。
- EU適合宣言を電気・電子機器の上市後10年間保持し、市場監視当局の求めに応じて提供しなければならない。
- 必要に応じて、製造者の技術文書を市場監視当局に提供し、当局が適合性確保のために講じる措置に協力しなければならない。(詳しくは第9条参照)
販売業者は下記の義務を負う。
- 電気・電子機器にCEマーキングが付されていることを確認しなければならない。
- 必要書類が、当該加盟国の消費者やエンドユーザーが理解できる言語で添付されていることを確認しなければならない。
- 製造者および輸入者の表示義務(第7条および第9条)が守られていることを確認しなければならない。
- 電気・電子機器が第4条に適合しないと考える場合には、その電気・電子機器を市場で提供してはならない。
- 市場で提供した電気・電子機器が本指令に適合しないと判明したときは、当該電気・電子機器を適合させる、撤去する、またはリコールするための必要な是正措置を確実に講じなければならない。
- 不適合の内容および講じた是正措置の詳細を、関連加盟国当局に直ちに通知しなければならない。
- 加盟国当局の理由ある要請に応じて必要な情報・文書を提供し、当局が適合性を確保するためにとる措置に協力しなければならない。(詳しくは第10条参照)
輸入者または販売業者は、自らの名称または商標の下で電気・電子機器を市場に上市する場合、またはすでに市場に上市された電気・電子機器を、その適合性に影響を与え得る形で改変する場合には製造者とみなされ、第7条に定める製造者の義務を負わなければならない。(詳しくは第11条参照)
すべての経済事業者は、自らに電気・電子機器を供給した経済事業者および自らが電気・電子機器を供給した経済事業者を、市場監視当局からの求めに応じて、電気・電子機器の上市から10年間特定できるようにしておかなければならない。(詳しくは第12条参照)
電気・電子機器にCEマーキングを付す製造者等は、製品販売認定・市場監視規則(EC)No 765/2008 に定めるCEマーキングの一般原則に従い、電気・電子機器を上市する前に、製品上または銘板等に視認・判読可能で消えないようにCEマーキングを付さなければならない。(詳しくは第14条および第15条参照)
目次
第1条 主題
第2条 適用範囲
第3条 定義
第4条 予防措置
第5条 科学技術の進歩に応じた附属書の改正
第6条 附属書IIの制限物質一覧の見直しおよび改正
第7条 製造者の義務
第8条 認定代表者の義務
第9条 輸入者の義務
第10条 販売業者の義務
第11条 製造者の義務が輸入者・販売業者に適用される場合
第12条 経済事業者の識別
第13条 EU適合宣言
第14条 CEマーキングの一般原則
第15条 CEマーキングの表示に関する規則および条件
第16条 適合性の推定
第17条 調和規格に対する正式な異議申立て
第18条 EU市場に流入する電気・電子機器の市場監視および管理
第19条 委員会手続
第20条 委任権限の行使
第21条 委任の撤回
第22条 委任行為への異議
第23条 制裁
第24条 見直し
第25条 国内法への編入
第26条 廃止
第27条 発効
第28条 宛先
附属書I 指令の対象となる電気・電子機器の種類
附属書II 制限物質一覧
附属書III 電気・電子機器の適用猶予(一般用途)
附属書IV 医療機器および監視・制御機器に特有の適用猶予
附属書V 猶予の申請に関する規定
附属書VI EU適合宣言書の書式
基礎情報
| 法令(現地語) | |
| 法令(日本語) | 電気・電子機器における特定有害物質の使用制限に関する2011年6月8日付け欧州議会および理事会指令(EU)No 2011/65(RoHS指令) |
| 公布日 | 2011年7月1日 |
| 所管当局 | 欧州委員会環境総局(DG-ENV) |
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