| 法令の情報時期:2009年4月 統合版 | ページ作成時期:2025年12月 |
目的
化学物質の試験に適用される優良試験所規範(GLP)の原則およびその適用確認に関するEU法令を編纂し、試験結果の質と信頼性を確保すること。
従来の指令No 87/18/EECを廃止し、EU全体でGLPの適用と監督を一貫して運用できる枠組みを整備すること。
概要
本指令は、化学製品の試験を実施する試験所が、附属書Iに定めるGLP原則を遵守するよう、EU加盟国が必要な措置を講じることを求めている。
規則(EC) No 1272/2008(CLP規則)に基づく化学品および混合物の分類、包装および表示に関する試験のみならず、その他のEU法令でGLPの適用が求められる試験にも適用される。試験は化学物質の特性および人の健康や環境に対する安全性を評価する目的で実施され、試験所は結果提出時にGLP原則に従って実施したことを証明しなければならない。
加盟国は、OECDが定める原則に従った査察や点検などの措置により、GLP遵守状況を検証する体制を整備する義務を負う。また、GLPを理由に、当該原則を遵守して得られた試験結果に基づく化学製品の上市を妨げてはならない。ただし、GLPに従って試験が行われていても、当該化学物質が人の健康または環境に危険を及ぼすと判断される場合、加盟国は暫定的にその市場流通を禁止し、または特別な条件を課すことができる。
附属書Iは、試験施設が優良試験所規範(GLP)をどのように運用面へ具体化するかを示す技術的な指針であり、試験施設の責任体制、GLP品質保証の仕組み、試験物質および試験データの取扱いと保存の三つを柱として構成されている。具体的には、試験施設管理者、試験責任者、品質保証部門など、誰がどの職務に責任を負うかを明確にし、独立した品質保証プログラムによる査察や点検を通じてGLP遵守を監視する枠組みを定めている。併せて、試験物質の受領、サンプリング、特性評価、保管、生データや試料、報告書の長期保存など、試験結果の信頼性と追跡可能性を確保するための詳細なルールが示されている。
注目定義
<対象者>
■ 「試験施設管理者」(test facility management)
| 試験施設管理者とは、優良試験所規範に従って試験施設を組織し運営する権限と公式な責任を有する者をいう。 |
■ 「スポンサー」(sponsor)
| スポンサーとは、非臨床の健康および環境安全性試験を委託し、支援し、または当局に提出する主体をいう。 |
■ 「試験責任者」(study director)
| 試験責任者とは、非臨床の健康および環境安全性試験の全体的な実施および最終報告書について責任を負う唯一の統括責任者をいう。 |
■ 「主任研究者」(principal investigator)
| 主任研究者とは、多サイト試験において試験責任者を補佐し、試験の特定の段階について委任された責任を担う者をいい、ただし試験全体の最終的な責任は試験責任者から移転されないものをいう。 |
<対象製品>
■ 「優良試験所規範」(good laboratory practice / GLP)
| 優良試験所規範とは、非臨床の健康および環境安全性試験がどのように計画、実施、監視、記録、保存および報告されるかについて、組織上の手続と条件を定めた品質システムをいう。 |
■ 「品質保証プログラム」(quality assurance programme)
| 品質保証プログラムとは、試験の実施から独立した人員を含む定義されたシステムであって、試験施設管理者に対し、当該試験施設が優良試験所規範に適合していることを保証することを目的とするものをいう。 |
■ 「試験施設」(test facility)
| 試験施設とは、非臨床の健康および環境安全性試験を実施するために必要な人員、建物および運営単位全体をいい、多サイト試験の場合には試験責任者が所在するサイトと、当該試験の一部が行われるすべての試験サイトを含むものをいう。 |
■ 「標準作業手順書」(standard operating procedures / SOPs)
| 標準作業手順書とは、試験計画書や試験指針では通常詳細に規定されない試験または活動の実施方法について、手順を文書で定めたものをいう。 |
■ 「非臨床の健康および環境安全性試験(試験)」(non-clinical health and environmental safety study (study))
| 非臨床の健康および環境安全性試験とは、試験物質を実験室内または環境中で検討し、その特性および人の健康または環境に対する安全性に関するデータを得て、所管当局への提出を目的とする実験または一連の実験をいう。 |
■ 「試験計画書」(study plan)
| 試験計画書とは、試験の目的および実験計画を定義し、必要な変更を含めて記載した文書をいう。 |
■ 「試験システム」(test system)
| 試験システムとは、試験に用いられるあらゆる生物学的、化学的または物理的システム、またはそれらの組合せをいう。 |
■ 「生データ」(raw data)
| 生データとは、試験における最初の観察および作業の結果として生じる、試験施設におけるすべての原記録および文書、またはその真正な写しであって、写真、電子媒体、自動計測装置の記録など、所定期間の安全な保存に適すると認められたあらゆる媒体を含むものをいう。 |
■ 「試料」(specimen)
| 試料とは、検査、分析または保存のために試験システムから採取されたあらゆる材料をいう。 |
■ 「試験物質」(test item)
| 試験物質とは、試験の対象となる物質または製品をいう。 |
■ 「対照物質」(reference item / control item)
| 対照物質とは、試験物質との比較の基準を与えるために用いられるあらゆる物質または製品をいう。 |
適用除外(対象外・猶予・免除等)
各加盟国の国内法により特に適用除外とされる場合(附属書Ⅰ、1.適用範囲)
事業者が注意すべき内容
| 本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。 ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。 |
加盟国は、化学製品に関する試験を行う試験所が附属書Iに定めるGLP原則を遵守するよう必要な措置を取らなければならない。したがって、事業者にとって、EUの規制(CLP規則など)に基づき提出する非臨床試験データは原則としてGLP準拠が必須となり、試験を依頼する際には「GLP適合試験施設を用いること」が必要となる。(詳しくは第1条参照)
第1条にいう試験所が結果を提出する際、当該試験がGLP原則に従って実施されたことを証明しなければならない。(第2条)
加盟国は、試験所に対してGLP遵守状況を検証するため、査察や試験監査を行う体制を整備しなければならない。したがって、事業者が自社内でGLP試験を行う場合は、将来的に自社施設も監督当局の査察対象になり得る。また、試験を外注する場合も、委託先試験所のGLP認定状況(監督当局による認証・査察履歴)を確認することが重要となる。(詳しくは第3条参照)
GLPに従って試験が行われていても、その結果から当該化学物質が人の健康または環境に対して危険をもたらすと判断される場合には、加盟国はその物質の上市を暫定的に禁止すること、または上市に特別な条件を課すことができる。(第5条)
目次
第1条
第2条
第3条
第3a条
第4条
第5条
第6条
第7条
第8条
附属書I OECD優良試験所規範(GLP)
セクションI 序論
前文
1 適用範囲
2 用語の定義
2.1 優良試験所規範
2.2 試験施設の組織に関する用語
2.3 非臨床の健康および環境安全性試験に関する用語
2.4 試験物質に関する用語
セクションII GLP原則
1 試験施設の組織および人員
1.1 試験施設管理者の責任
1.2 試験責任者の責任
1.3 主任研究者の責任
1.4 試験担当者の責任
2 品質保証プログラム
2.1 一般
2.2 品質保証要員の責任
3 試験施設の設備
3.1 一般
3.2 試験システム用設備
3.3 試験物質および対照物質の取扱設備
3.4 アーカイブ設備
3.5 廃棄物処理
4 装置、材料および試薬
5 試験システム
5.1 物理化学的試験システム
5.2 生物学的試験システム
6 試験物質および対照物質
6.1 受領、取扱、サンプリングおよび保管
6.2 特性評価
7 標準作業手順書
8 試験の実施
8.1 試験計画書
8.2 試験計画書の内容
8.3 試験の実施方法
9 試験結果の報告
9.1 一般
9.2 最終報告書の内容
10 記録および資料の保存
附属書II 廃止指令および経過規定
附属書III 対照表(旧87/18/EECとの対応表)
基礎情報
| 法令(現地語) | |
| 法令(日本語) | 化学物質試験における優良試験所規範の原則の適用および適用確認に関する2004年2月11日付け欧州議会および理事会指令(EC)No 2004/10 |
| 公布日 | 2004年02月20日 |
| 所管当局 | 欧州委員会 域内市場・産業・起業・中小企業総局 |
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