解説EU – 職場発がん性ばく露指令

HOME > 法令解説 > 解説|EU – 職場発がん性ばく露指令
法令の情報時期:2024年4月 統合版 ページ作成時期:2026年1月

目的

目的

この指令は、労働安全衛生指令89/391/EEC第16条1 項の意味における第6番目の個別指令であり、その目的は職場での発がん性物質、変異原性物質、生殖毒性物質へのばく露から生じる、または生じる可能性のある健康および安全に対するリスクから労働者を保護することである。また、そのようなリスクの防止も目的に含まれる。

概要

概要
  • この指令は、職場での発がん性物質、変異原性物質、生殖毒性物質へのばく露から生じる、または生じる可能性のある健康および安全に対するリスクから労働者を保護すること、さらにそのようなリスクを防止することを目的とする。
  • この指令は、労働者が仕事の結果として発がん性物質、変異原性物質、生殖毒性物質にばく露される、またはその可能性がある活動に適用される。
  • 具体的には雇用者の義務としてリスク評価義務のほか、発がん性物質等の削減と置き換え、ばく露予防と軽減、事故時の対応、労働者保護のための衛生安全面の具体策、情報提供義務等を定める。
  • 各物質の制限値は附属書Ⅲに記載されている。

適用除外(対象外・猶予・免除等)

この指令は、欧州原子力共同体設立条約の対象となる放射線のみに被曝する労働者には適用されない。

事業者が注意すべき内容

本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。
ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
ばく露

【雇用者の義務】

・発がん性物質、変異原性物質または生殖毒性物質への暴露の危険を伴う可能性のある活動においては、労働者の健康または安全に対するリスクの有無および程度を評価し、講じるべき措置を定めることができるよう、労働者のばく露の性質、程度および期間を決定する。

・当局からの要請があれば評価に使用した情報を提出する。評価は定期的に更新し、状況に何らかの変化が生じた場合も必ず更新しなければならない(第1章3条)。

【雇用者の義務 つづき】
 
・職場における発がん性物質、変異原性物質または生殖毒性物質の使用を削減する。技術的に可能な限り、使用条件下で労働者の健康または安全に対して危険ではない、または危険性が低い物質、混合物またはプロセスに置き換える。また、関係当局から要請があれば調査の結果を提出する義務がある(第2章4条)。
 
・ 第3条に定める評価の結果、労働者の健康又は安全に対するリスクが明らかになった場合には、労働者のばく露を防止・削減しなければならない。別物質への置き換えが技術的に不可能であれば、閉鎖系での作業、有害物質の量の制限、労働者の数の削減、有害物質の放出を最小限に抑制する適切な作業手順等の措置を講じる(第2章5条)。

【雇用者の義務 つづき】

・評価の結果、労働者の健康または安全に対するリスクが明らかになった場合、管轄当局の要請に応じて適切な情報を提出する(第2章6条)。

・予見できない事象、または労働者の異常なばく露をもたらす可能性のある事故が発生した場合には、労働者に通知し、原因が除去されるまで必要最低限のばく露のみを許可する(第2章7条)。

・メンテナンス等の予見可能なばく露量増加については、その期間の短縮や個人保護具等の対策を実施する(第2章8条)。

【雇用者の義務 つづき】

・汚染の恐れがある区域で飲食・喫煙を禁じる、保護服等を支給する等の対策をとる(第2章10条)

・労働者に対し、ばく露の健康リスクや予防措置等について十分な研修を行う(第2章11条)

注目定義

■ 「発がん性物質」(carcinogen)

欧州議会及び理事会規則EC第1272/2008号附属書Iの定めるカテゴリー1Aまたは1Bの発がん性物質に分類される基準を満たす物質または混合物。 本指令の附属書Iに規定する物質、混合物またはプロセス、ならびに同附属書に規定するプロセスによって放出される物質または混合物。

■ 「変異原性物質」(mutagen)

規則(EC)第1272/2008号の付属書Iに規定されているカテゴリー1Aまたは1Bの生殖細胞変異原に分類される基準を満たす物質または混合物。 本指令の附属書Iに規定する物質、混合物またはプロセス、ならびに同附属書に規定するプロセスによって放出される物質または混合物。

■ 「生殖毒性物質」(reprotoxic substance)

規則(EC)第1272/2008号の付属書Iに規定されているカテゴリー1Aまたは1Bの生殖毒性物質に分類される基準を満たす物質または混合物。

■ 「非閾値生殖毒性物質」(non-threshold reprotoxic substance)

労働者の健康に対して安全なばく露レベルがなく、附属書IIIの注記欄にその旨記載された生殖毒性物質。

■ 「閾値生殖毒性物質」(threshold reprotoxic substance)

そのばく露レベル以下では労働者の健康に危険がなく、附属書IIIの注記欄にその旨記載された安全なばく露レベルが存在する生殖毒性物質。

■ 「限界値」(limit value)

特に指定がない限り、附属書IIIに定める特定の基準期間における、労働者の呼吸ゾーンの空気中にある発がん性物質、変異原性物質または生殖毒性物質の濃度の時間加重平均の限度値。

■ 「生物学的限界値」(biological limit value)

ある物質、その代謝物、または効果の指標の適切な生体媒体における濃度の限界。

■ 「健康監視」(Health surveillance)

職場における特定の発がん物質、変異原物質、または生殖毒性物質へのばく露に関連して、個々の労働者の健康状態を判断するために当該労働者を評価すること。

目次

第1章 総則

第1条 目的

第2条 定義

第3条 適用範囲―リスクの決定と評価

第2章 雇用者の義務

第4条 低減と代替

第5条 ばく露の防止と低減

第6条 管轄当局への情報

第7条 予期しないばく露

第8条 予見可能なばく露

第9条 危険区域へのアクセス

第10条 衛生と個人の保護

第11条 労働者への情報と研修

第12条 労働者への情報

第13条 労働者の協議と関与

第13条a ソーシャルパートナー協定

第3章 雑則

第14条 健康監視

第15条 記録の保持

第16条 限界値

第16条a 非閾値および閾値生殖毒性物質の特定

第17条 附属書Ⅱの改正

第17条a 委任権の行使

第17条b 緊急手続き

第18条 データの使用

第18条a 評価

第19条 委員会への通知

第20条 廃止

第21条 発効

第22条 宛先

附属書Ⅰ 物質、混合物及びプロセスのリスト(第2条、(a)(ii)及び(b)(ii))

附属書Ⅱ 労働者の健康監視に関する実践的な勧告(第14条(7))

附属書Ⅲ 制限値およびその他の直接関連する条項(第16条)

付属書Ⅲa 生物学的限界値と健康監視措置(第16条(4))

付属書IV パートA 廃止された指令とその修正(第20条にて言及)

パートB 国内法への移行期限(第20条にて言及)

付属書V 相関表

基礎情報

法令(現地語)

DIRECTIVE 2004/37/EC OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL of 29 April 2004 on the protection of workers from the risks related to exposure to carcinogens, mutagens or reprotoxic substances at work (Sixth individual Directive within the meaning of Article 16(1) of Council Directive 89/391/EEC)

法令(日本語)

職場におけるがん原性物質、変異原性物質または生殖毒性物質へのばく露に関連するリスクからの労働者の保護に関する2004年4月29日付欧州議会および理事会指令2004/37/EC(指令89/391/EEC第16条(1)の意味における第6個別指令)

公布日

2004年4月30日

作成者

株式会社先読

この続きは先読会員になるとお読みいただけます。

ログインして続きを読む
Page Top