| 法令の情報時期:2019年07月 統合版 | ページ作成時期:2025年12月 |
目的
本指令は、優良試験所規範(GLP)の検査および検証に関する既存の法令を編纂して一本化し、旧指令No 88/320/EECを廃止したうえで、EU域内で実施される化学物質の非臨床試験について、その試験の計画・実施・記録・報告がGLP原則に従って行われているかどうかを確実に監視する共通枠組みを整備することを目的とする。
また、GLP原則の適用に関する指令No 2004/10/ECと同時に採択され、化学物質の安全性評価制度の調和を図る役割も担っている。
概要
本指令は、化粧品、工業化学物質、医薬品、食品添加物、飼料添加物、農薬など、あらゆる化学物質に関する非臨床試験を対象として、GLPに従って実施される試験研究の組織体制および、試験が計画・実施・記録・報告される条件について、その査察および検証の方法を定めている。
各加盟国は、自国領域内の試験所を検査する権限当局を指定し、毎年、検査を実施した試験所名、検査日および検査結果の概要を記載した報告を欧州委員会および委員会に提出しなければならない。
GLP適合と認定された試験所および試験については、その適合性がEU全体で相互承認される仕組みとされており、附属書には、加盟国が国のGLP遵守監視プログラムを構築する際に用いるべき具体的な構造・手続に関する実務上の手引きが示されている。
注目定義
<対象製品>
■ 「優良試験所規範の原則」(GLP principles)
| 優良試験所規範の原則とは、指令2004/10/EC第1条で採択されたOECD優良試験所規範の原則と整合するGLP原則をいう。 |
■ 「GLP遵守監視」(GLP compliance monitoring)
| GLP遵守監視とは、試験施設が優良試験所規範(GLP)原則を遵守しているかどうかを確認する目的で、試験施設の定期的な査察および/または試験監査を実施することをいう。 |
■ 「国のGLP遵守プログラム」( (national) GLP compliance programme)
| 国のGLP遵守プログラムとは、加盟国が自国領域内の試験施設のGLP遵守状況を監視するために、試験施設査察および試験監査を通じて実施する特定の制度枠組みをいう。 |
■ 「国のGLP監視当局」( (national) GLP Monitoring Authority)
| 国のGLP監視当局とは、自国領域内の試験施設のGLP遵守状況を監視し、GLPに関連する国内で定められたその他の職務を遂行する責任を負う、加盟国内に設置された機関をいう。なお、加盟国内に複数の当局が設置される場合もある。 |
■ 「試験施設査察」( test facility inspection)
| 試験施設査察とは、試験施設の手順および実務を現地で調査し、優良試験所規範(GLP)原則への遵守の程度を評価するための検証をいう。この査察では、試験施設の管理体制や運用手順を確認し、主要な技術担当者への聞き取りを行い、当該施設が生成したデータの品質と完全性を評価して記録する。 |
■ 「試験監査」(study audit)
| 試験監査とは、試験の原データおよび関連記録を中間報告書または最終報告書と照合し、原データが正確に報告されているか、試験が試験計画書および標準作業手順書に従って実施されたかを確認し、報告書にない追加情報を把握するとともに、データの妥当性を損なうような手法が用いられていないかを検証することをいう。 |
■ 「GLP遵守状況」(GLP compliance status)
| GLP遵守状況とは、試験施設が優良試験所規範(GLP)原則をどの程度遵守しているかについて、国のGLP監視当局が評価した結果をいう。 |
■ 「規制当局」(Regulatory Authority)
| 規制当局とは、化学物質の管理に関する一定の事項について、法的責任を有する国内の行政機関をいう。 |
<対象者>
■ 「査察官」(inspector)
| 査察官とは、国のGLP監視当局を代表して試験施設査察および試験監査を実施する者をいう。 |
適用除外(対象外・猶予・免除等)
本指令は、化学物質に関する非臨床試験の「計画・実施・記録・報告」のプロセスがGLP原則に従っているかどうかを監視する枠組みを定めたものであり、試験結果の科学的な解釈やリスク評価は本指令の適用範囲外とされている。(第1条第3項および附属書ⅠパートB)
事業者が注意すべき内容
| 本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。 ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。 |
本指令は、化学物質(化粧品、工業化学物質、医薬品、食品添加物、飼料添加物、農薬など)に関する「規制目的で用いる非臨床試験」が対象となる。また、優良試験所規範(GLP)そのものの原則は、GLP試験指令2004/10/EC附属書の原則を参照する形で定義される。そのため事業者は、自社が使う・実施する非臨床試験がこのGLP対象に該当するかどうかをまず確認し、化学物質GLP指令No 2004/10/ECと併せて理解する必要がある。(詳しくは第1条参照)
加盟国は、自国領域で「GLPに従っている」と主張して試験を行うすべての試験所について、GLP適合性を検証しなければならない。査察・試験監査の結果、GLP原則への適合が確認された場合、「指令No 2004/9/ECに従ったGLPへの適合性の評価(…年…月…日)」という定型文で証明することができる。
スポンサーとなる事業者は、委託先のGLP試験施設選定にあたり、これらの観点(QA体制、文書管理、原データの追跡可能性など)に注意すべきである。(詳しくは第2条参照)
加盟国は、GLP遵守の監視を行う「国のGLP監視当局」を指定しなければならない。国のGLP監視当局は、附属書Ⅰに定めるガイドラインに従って、試験施設の検査および試験監査を行う。(第3条)
各加盟国は、GLP検査を実施した試験施設の名称、所在地、査察日、検査結果の要約などを含む年次報告を作成し、欧州委員会に提出しなければならない。
GLP監視活動で入手した営業上の機密情報等は、原則として委員会や関係当局・当該施設/スポンサーに限定して提供される。ただし、査察対象となった試験施設名、GLP遵守状況、検査・試験監査の実施日は機密情報とはみなされない。(詳しくは第4条参照)
一つの加盟国が実施したGLP査察および試験監査の結果は、原則として他の加盟国の当局もその評価を受け入れ、尊重しなければならない。試験施設で重大な不適合が認められた場合、その加盟国は欧州委員会および他の加盟国に通知しなければならない。(第5条)
ある加盟国が、別の加盟国に所在する試験施設のGLP遵守状況に疑義を持った場合、その施設の監視を行うGLP監視当局に対し、追加情報の提供や新たな試験監査の実施を求めることができる。(第6条)
欧州委員会は、OECDの決定や技術の進歩に合わせて、附属書Ⅰに定められたGLPの監視方法や検査・監査の手順を、必要に応じて更新できる権限を持つ。したがって事業者は、GLPに関する要求事項がOECD文書やEUの制度改正に応じて変わり得ることを踏まえ、自社の手順書や品質管理手順、文書様式を定期的に見直す必要がある。(詳しくは第6a条参照)
目次
第1条
第2条
第3条
第4条
第5条
第6条
第6a条
第7条
第8条
第9条
第10条
第11条
附属書Ⅰ 優良試験所規範(GLP)の検査および検証に関する規定
パートA GLP遵守監視手続に関する改訂指針
用語の定義
GLP遵守監視手続の構成要素
機密保持
人員および研修
(国の)GLP遵守プログラム
試験施設検査および試験監査のフォローアップ
異議申し立て手続き
パートB 試験施設検査および試験監査の実施に関する改訂指針
導入
用語の定義
試験施設検査
検査手続き
開始会議
組織および人員
品質保証プログラム
施設
生物試験系の飼育、収容および管理
器具、材料、試薬および試料
試験系
生物試験系
試験物質および参照物質
標準作業手順書
試験の実施
試験結果の報告
記録の保管および保存
試験監査
検査または試験監査の完了
附属書Ⅱ 廃止指令および国内法化期限
パートA 廃止指令およびその改正
パートB 国内法への編入期限
附属書Ⅲ 対照表(旧GLP検査指令88/320/EECとの対応)
基礎情報
| 法令(現地語) | |
| 法令(日本語) | 優良試験所規範(GLP)の検査および検証に関する2004年2月11日付け欧州議会および理事会指令(EC)No 2004/9 |
| 公布日 | 2004年02月20日 |
| 所管当局 | 欧州委員会 域内市場・産業・起業および中小企業総局 |
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