| 法令の情報時期:2024年7月 統合版 | ページ作成時期:2025年11月 |
目的
本規則は、以下に関する措置および条件を定めることにより、人の健康および環境を保護することを目的としている。
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水銀、水銀化合物および水銀混合物の使用、貯蔵および取引
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歯科用アマルガムを含む水銀添加製品の製造および取引
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製造工程における水銀および水銀化合物の使用
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水銀廃棄物の管理
概要
2018年以降、水銀および附属書Ⅰ記載の化合物・混合物の輸出入が禁止され、附属書Ⅱ記載の水銀添加製品(電池、照明、化粧品、農薬、温度計など)のEU域内での製造・輸出入・販売も段階的に禁止された。
新たな水銀添加製品や製造工程は、環境・健康上の著しい利益が立証され、欧州委員会の承認を得た場合を除き認められない。
歯科用アマルガムの使用は2018年に制限が開始され、2025年以降EU全域で原則禁止となる。
零細・小規模金採掘での水銀使用が禁止され、廃棄物の処分は追跡制度の下で厳格に管理される。
本規則は2018年1月1日に施行され、水俣条約の履行をEU法に反映している。
注目定義
<対象製品>
■ 「水銀」(mercury)
| 「水銀」とは、金属水銀(Hg、CAS登録番号7439-97-6)をいう。 |
■ 「水銀化合物」(mercury compound)
| 「水銀化合物」とは、水銀原子と、他の化学元素の一つ以上の原子から成り、化学反応によってのみ異なる成分に分離できる物質をいう。 |
■ 「混合物」(mixture)
| 「混合物」とは、二つ以上の物質から構成される混合物または溶液をいう。 |
■ 「水銀添加製品」(mercury-added product)
| 「水銀添加製品」とは、意図的に添加された水銀または水銀化合物を含む製品またはその部品をいう。 |
■ 「水銀廃棄物」(mercury waste)
| 「水銀廃棄物」とは、指令No 2008/98/EC第3条 第1項で定義される廃棄物に該当する金属水銀をいう。 |
■ 「輸出」(export)
| 「輸出」とは、次のいずれかをいう。 (a) 欧州連合機能条約(TFEU)第28条第2項の条件を満たす水銀、水銀化合物、水銀混合物および水銀添加製品の恒久的または一時的な輸出 (b) 同条項の条件を満たさず、連合域内通過手続以外の通関手続に付され、連合関税領域を通過する水銀、水銀化合物、水銀混合物および水銀添加製品の再輸出。 |
■ 「輸入」(import)
| 「輸入」とは、EU域内通過手続以外の通関手続に付された水銀、水銀化合物、水銀混合物および水銀添加製品を、EUの関税領域に実際に持ち込むことをいう。 |
■ 「処分」(disposal)
| 「処分」とは、指令No 2008/98/EC第3条 第19項で定義される処分をいう。 |
■ 「一次水銀採掘」(primary mercury mining)
| 「一次水銀採掘」とは、主として水銀を目的として行われる採掘をいう。 |
■ 「転換」(conversion)
| 「転換」とは、水銀を液体状態から、硫化水銀またはそれと同等以上に安定で、水への溶解度が同等以下であり、かつ環境上または健康上の危険を硫化水銀以上にもたらさない類似の化学化合物に化学的に変化させることをいう。 |
■ 「上市」(placing on the market)
| 「上市」とは、対価の有無を問わず、第三者に供給または提供することをいう。輸入は上市とみなす。 |
適用除外(対象外・猶予・免除等)
情報なし。ただし、条文ごとに限定的かつ個別の条件付きで規定される除外・例外がある(下記「事業者が注意すべき内容」参照)。
事業者が注意すべき内容
| 本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。 ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。 |
水銀の輸出を禁止する。附属書Ⅰ記載の水銀化合物・水銀混合物は、それぞれの指定期日以降は輸出禁止とする。ただし、研究・分析を目的とするものの輸出は限定的に認められる。(詳しくは第3条参照)
水銀および附属書Ⅰに記載の水銀混合物の輸入を原則禁止とする。廃棄物としての処分を目的とする輸入は、輸出国が自国の領域内に利用可能な転換能力を有しない場合にのみ許可される。
金の零細・小規模採掘用途の水銀輸入は禁止とする。ただし、一定の場合に加盟国の書面同意で限定的に認められる。
(詳しくは第4条参照)
附属書Ⅱに記載された水銀添加製品のEUでの輸出・輸入・製造を附属書の期日から禁止する。ただし、民間防護・軍事に不可欠な製品および研究用、機器の校正用または標準物質として使用される製品は例外となる。(詳しくは第5条参照)
委員会は、第3条および第4条を実施する目的で使用される様式を定めるため、実施法令により決定を採択するものとする。(詳しくは第6条参照)
附属書ⅢパートIに掲げる工程での水銀・水銀化合物の使用を期日付きで禁止する。パートIIの工程では条件付きで許可される。附属書Ⅲには触媒使用・電極使用・ポリウレタン等の扱いが具体的に記載されている。中間保管は環境的に適正な方法・関連指令の基準に従わなければならない。(詳しくは第7条参照)
2018年1月1日以降に「新規」となる水銀添加製品の製造・上市、新規の水銀使用工程は原則として禁止する。重大な環境・健康上の利益が立証され、その工程が代替不可の場合は例外となるが、関係する加盟国の主管当局に次の事項を含めた申請を行い承認を得なければならない。
(a) 当該製品または工程の技術的説明
(b) 環境上および健康上の利益およびリスクの評価
(c) 環境または健康に対して重要な利益をもたらす技術的に実現可能な非水銀代替手段が存在しないことを示す証拠
(d) 環境および人の健康の高水準な保護を確保するための、当該工程の運用方法、または当該製品の製造方法、使用方法、使用後の廃棄物としての処分方法についての詳細な説明
宇宙用途・防衛用途、既存製品の水銀低減のための改良は水銀使用工程の禁止の適用除外となる。
(詳しくは第8条参照)
歯科用アマルガムの使用、輸出入および製造に関して段階的な規制を導入している。
2018年7月1日以降、乳歯、15歳未満の子ども、妊婦および授乳中の女性への歯科治療におけるアマルガム使用は禁止されている。
2019年1月1日以降、歯科用アマルガムは事前充填されたカプセル形態でのみ使用が認められ、バルク状の水銀の使用は禁止されている。
歯科施設では、使用または除去の際に発生するアマルガム粒子を回収するため、アマルガム分離器を設置し、2018年以降に導入される機器では少なくとも95%以上の捕捉率(回収率)を確保しなければならない。また、2021年以降はすべての分離器がこの基準を満たす必要がある。
(詳しくは第10条参照)
アマルガム廃棄物は、認可を受けた廃棄物処理業者によって収集・処分されなければならず、環境中への直接または間接的放出は禁止される。
2025年1月1日以降、歯科用アマルガムのEU域外への輸出は禁止され、さらに2026年7月1日以降は輸入および製造も禁止される。ただし、患者の特定の医療上の必要性に基づき歯科医が厳格に必要と判断した場合には、使用・輸入・製造が例外的に認められる。また、加盟国のうち公的保険制度等の移行が困難な国には、2026年6月30日までの経過措置が与えられている。
(詳しくは第10条参照)
「特定の大口発生源」とされる塩素アルカリ産業、天然ガスの精製・洗浄工程、非鉄金属の採掘および製錬事業、EU域内における辰砂鉱石からの水銀抽出工程からの水銀等は、「廃棄物」として指令No 2008/98/ECに従い無害化処分されなければならない。また、水銀の回収精製につながる処分は禁止されている。(詳しくは第11条参照)
上記関連業種の事業者は、毎年5月31日までに、保管量・処理先・証明書等を所管当局へ報告しなければならない。設備別・処理工程別の情報整備が必要とされている。(詳しくは第12条参照)
水銀廃棄物は、原則として化学的転換および必要に応じた固化処理を経て恒久処分されなければならない。ただし、特定の安全要件を満たす地上型の専用施設であれば、液体のまま一時保管することが暫定的に認められているが、この措置は2026年1月1日で終了する。(詳しくは第13条参照)
恒久貯蔵は、転換済みの廃棄物を対象とし、危険廃棄物の最終処分が許可された岩塩鉱山、深部地層施設、または地上貯蔵施設で行わなければならない。これらの施設は他の廃棄物と分離し、廃棄物埋立指令No 1999/31/ECの要件を満たさなければならない。
(詳しくは第13条参照)
水銀廃棄物の移動と処分の全過程を追跡可能にするため、一時保管、転換、恒久貯蔵を行う各施設は、詳細な登録簿を整備しなければならない。
施設運営者は、廃棄物の受入・搬出ごとにその由来、数量、供給者・所有者、行き先および処分方法を記録し、処理が完了するたびに証明書を発行し、関係事業者および主管当局へ送付しなければならない。さらに、各施設は毎年1月末までに前年分の台帳を加盟国当局に提出しなければならない。
(詳しくは第14条参照)
歯科用アマルガムの輸入者および製造者は、毎年5月31日までに前年の輸入・製造量を主管当局へ報告しなければならない。(第18条)
目次
第1章 総則
第1条 主題および目的
第2条 定義
第2章 水銀・水銀化合物・水銀混合物および水銀添加製品に関する貿易および製造の制限
第3条 輸出の制限
第4条 輸入の制限
第5条 水銀添加製品の輸出、輸入および製造
第6条 輸出入の様式
第3章 水銀・水銀化合物および水銀混合物の使用および貯蔵の制限
第7条 産業活動
第8条 新規の水銀添加製品および新規製造工程
第9条 零細・小規模金採掘および加工
第10条 歯科用アマルガム
第4章 廃棄物および水銀廃棄物の処分
第11条 廃棄物
第12条 大規模発生源に関する報告
第13条 水銀廃棄物の貯蔵
第14条 トレーサビリティ
第15条 汚染された場所
第5章 罰則、主管当局および報告
第16条 罰則
第17条 主管当局
第18条 報告
第19条 評価
第6章 委任権限および実施権限
第20条 附属書の改正
第21条 委任の行使
第22条 委員会手続
第7章 最終規定
第23条 廃止
第24条 施行
附属書
附属書Ⅰ 水銀化合物および水銀混合物(第3条および第7条関連)
附属書Ⅱ 水銀添加製品(第5条関連)
附属書Ⅲ 製造工程に適用される水銀関連要件(第7条第1項および第2項関連)
附属書Ⅳ 零細・小規模金採掘および加工に関する国内計画の内容(第9条関連)
附属書Ⅴ 対照表(旧規則1102/2008との対応)
基礎情報
| 法令(現地語) | |
| 法令(日本語) | 規則(EC)No 1102/2008を廃止し、水銀に関する2017年5月17日付け欧州議会および理事会規則(EU)No 2017/852 |
| 公布日 | 2017年05月17日 |
| 所管当局 | 欧州委員会環境総局(DG ENV) |
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