| 法令の情報時期:2013年06月 公布版 | ページ作成時期:2025年12月 |
目的
本指令は、火工品(花火、舞台用火工品、車両用エアバッグガス発生器などの技術用火工品)の市場提供に関する加盟国の法令を調和させ、EU域内での自由な流通と、人の健康・公衆の安全・消費者保護・環境保護の高い水準を同時に確保することを目的とする。
概要
本指令は、火工品を危険性や用途に応じて花火F1類〜F4類、舞台用T1類・T2類、その他P1類・P2類に分類し、区分ごとに年齢制限や、専門知識を有する者のみ取り扱い可となる範囲などを規定している。
附属書Iで必須安全要求事項を定め、製造者が選択する複数の適合性評価モジュールに基づき、EU適合宣言とCEマーキングを通じて製品の適合性を証明する仕組みを採用している。
製造者・輸入者・流通業者ごとの義務(技術文書とEU適合宣言の作成・保存、登録番号によるトレーサビリティ、各国公用語での表示・取扱説明、当局への情報提供など)と、市場監視・セーフガード手続・制裁・経過措置を詳細に定めることで、EU全体で火工品の安全確保と公正な競争条件を整備している。
注目定義
<対象製品>
■ 「火工品」(pyrotechnic article)
| 火工品とは、自立的な発熱化学反応により、熱、光、音、ガスまたは煙(これらの効果の組合せを含む。)を生じさせるように設計された、爆発性物質または爆発性物質の混合物を含有するあらゆる物品をいう。 |
■ 「花火」(firework)
| 花火とは、娯楽目的の火工品をいう。 |
■ 「舞台用火工品」(theatrical pyrotechnic articles)
| 舞台用火工品とは、映画およびテレビ制作を含む屋内または屋外の舞台用途またはこれに類する用途のために設計された火工品をいう。 |
■ 「車両用火工品」(pyrotechnic articles for vehicles)
| 車両用火工品とは、車両の安全装置の構成部品であって、当該装置またはその他の装置を作動させるために使用される火工物質を含むものをいう。 |
■ 「市場提供」(making available on the market)
| 市場提供とは、支払の有無を問わず、商業活動の過程において、EU市場における流通、消費または使用のために火工品を供給するあらゆる行為をいう。 |
■ 「上市」(placing on the market)
| 上市とは、EU市場において火工品を初めて市場提供することをいう。 |
■ 「技術仕様」(technical specification)
| 技術仕様とは、火工品が満たすべき技術的要求事項を定める文書をいう。 |
■ 「整合規格」(harmonised standard)
| 整合規格とは、規則(EU) No 1025/2012第2条第1号(c)に定義される整合規格をいう。 |
■ 「適合性評価」(conformity assessment)
| 適合性評価とは、火工品に関して本指令の必須安全要求事項が満たされているか否かを実証する手続をいう。 |
■ 「リコール」(recall)
| リコールとは、最終使用者に対して既に市場提供された火工品の返還を達成することを目的とするあらゆる措置をいう。 |
■ 「撤去」(withdrawal)
| 撤去とは、サプライチェーンにある火工品の、市場提供の阻止を目的とするあらゆる措置をいう。 |
■ 「CEマーキング」(CE marking)
| CEマーキングとは、表示の貼付を定めるEU調和法令における適用要件に、当該火工品が適合していることを示すために製造者が付すマーキングをいう。 |
<対象者>
■ 「製造者」(manufacturer)
| 製造者とは、火工品を製造する自然人または法人、または火工品の設計もしくは製造を行わせ、自己の名称または商標の下で当該火工品を上市する自然人または法人をいう。 |
■ 「輸入者」(importer)
| 輸入者とは、EU域内に設立され、第三国からの火工品をEU市場に上市する自然人または法人をいう。 |
■ 「専門知識を有する者」(person with specialist knowledge)
| 専門知識を有する者とは、加盟国によりその領域内で、F4類の花火、T2類の舞台用火工品および/またはP2類のその他の火工品を、取り扱いおよび/または使用することについて権限を付与された者をいう。 |
■ 「流通業者」(distributor)
| 流通業者とは、製造者または輸入者以外の者であって、サプライチェーンに属し、火工品を市場における提供に付する自然人または法人をいう。 |
■ 「経済事業者」(economic operators)
| 経済事業者とは、製造者、輸入者および流通業者をいう。 |
適用除外(対象外・猶予・免除等)
非商業目的で、軍隊・警察・消防が使用する火工品
海上機器指令96/98/ECの対象機器
宇宙産業向け火工品
玩具安全指令2009/48/ECの対象となる玩具用雷管
爆薬指令93/15/EECの対象となる爆薬
弾薬
自家使用目的で製造され、その製造者の所在する加盟国が自国領域内でのみ使用を認め、かつその領域から移動しない花火 (第2条)
事業者が注意すべき内容
| 本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。 ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。 |
事業者は、取り扱う火工品が本指令の適用対象に該当するかを確認しなければならない。国内法に基づく軍・警察・消防等の非商業用途や、玩具指令または爆薬指令の対象となる製品など、本指令の適用対象外となるものについては、本指令を根拠として上市または市場提供を行ってはならない。(詳しくは第2条参照)
事業者は、火工品を用途および危険性に応じて適切な種類およびカテゴリー(花火F1類〜F4類、舞台用T1類・T2類、その他P1類・P類)に分類しなければならず、誤った分類に基づく市場提供や使用は認められない。種類・カテゴリーは次の通りとされている。
(a) 花火
・F1類 非常に低い危険性およびごく低い騒音レベルを有し、屋内を含む限られた場所での使用を想定した花火
・F2類 低い危険性および低い騒音レベルを有し、屋外の限られた区域での使用を想定した花火
・F3類 中程度の危険性を有し、広い屋外空間での使用を想定した花火であって、騒音レベルが人の健康に有害でないもの
・F4類 高い危険性を有し、専門知識を有する者のみが使用することを想定した花火で、騒音レベルが人の健康に有害でないもの(業務用花火)
(b) 舞台用火工品
・T1類 低い危険性を有する舞台用火工品
・T2類 専門知識を有する者のみが使用することを想定した舞台用火工品
(c) その他の火工品
・P1類 花火および舞台用火工品以外の火工品で、低い危険性を有するもの
・P2類 花火および舞台用火工品以外の火工品で、専門知識を有する者のみが取り扱いまたは使用することを想定したもの
(詳しくは第6条参照)
事業者は、次に掲げる年齢未満の者に対して、下記の種類に対応する火工品の市場提供を行ってはならない。
(a) 花火
・F1類:12歳
・F2類:16歳
・F3類:18歳
(b) T1類の舞台用火工品およびP1類のその他の火工品:18歳
また、F4類、T2類およびP2類の火工品は、一般公衆への提供は認められず、加盟国が認めた専門知識を有する者に対してのみ提供される。
(詳しくは第7条参照)
製造者の義務として、次の内容が定められている。
・火工品をEU市場に上市するに当たり、附属書Iに定める必須安全要求事項に従って設計および製造されていることを保証しなければならない。
・附属書IIに言及される技術文書を作成し、第17条に規定される適合性評価手続をを実施した上でEU適合宣言を作成し、CEマーキングを表示しなければならない。
・技術文書およびEU適合宣言を、火工品の上市後10年間保管しなければならない。
・量産品が継続して本指令に適合するよう管理体制を整備し、必要に応じて抜取検査、調査、不適合品やリコールの記録管理を行い、その結果を流通業者に共有しなければならない。
・名称、商号または商標、および連絡可能な住所を火工品または包装等に表示し、最終使用者および当局が理解できる言語で示さなければならない。
・加盟国が求める言語による取扱説明書、および安全情報を火工品に添付し、それらが明確で理解しやすいものであることを保証しなければならない。
・上市した火工品が不適合または危険火工品であると判断した場合には、直ちに是正措置を講じ、必要に応じて撤去またはリコールを行い、関係当局に通知しなければならない。
・所管当局からの要請に応じて、適合性を示す情報および文書を提供し、火工品のリスク除去のための措置に協力しなければならない。(詳しくは第8条参照)
製造者は、火工品に製造者名、登録番号、必要な安全情報および取扱説明書を、加盟国が求める言語で表示しなければならない。表示が欠如した、または不十分な火工品を、市場に提供してはならない。(詳しくは第10条および第11条参照)
輸入者は、火工品をEU市場に上市する前に、適合性評価が実施され、CEマーキングおよび必要な表示が付されていること、ならびに技術文書およびEU適合宣言が作成されていることを確認しなければならない。(詳しくは第12条参照)
流通業者は、市場提供に先立ち、火工品にCEマーキングおよび必要な表示および取扱説明書が付されていることを確認し、保管または輸送条件によって適合性が損なわれないよう配慮しなければならない。(詳しくは第13条参照)
輸入者または流通業者が自己の名称または商標の下で火工品を市場に提供する場合、または製品を変更して適合性に影響を与える場合には、製造者としての義務を負うことに留意しなければならない。(詳しくは第14条参照)
すべての経済事業者は、サプライチェーン上で自らが関与した事業者を識別できる体制を整え、当局からの要請に応じて情報を提供しなければならない。(詳しくは第15条参照)
製造者は、火工品について適切な適合性評価手続を実施しなければならない。(第17条)
製造者は、適合性評価の結果に基づきEU適合宣言を作成し、附属書Iに定める必須安全要求事項の履行が実証されていることを記載しなければならない。
EU適合宣言は、附属書IIIに定める様式構成に従うものとし、附属書IIに定める該当するモジュールで規定された要素を含み、かつ継続的に更新されなければならない。また、当該火工品が上市され、または市場における提供が行われる加盟国が要求する言語に翻訳されなければならない。
火工品が、EU適合宣言を要求する複数のEU法令の適用対象となる場合には、それらすべてのEU法令について、単一のEU適合宣言を作成しなければならない。(第18条)
製造者は、技術文書およびEU適合宣言を作成・保管し、市場監視当局の要請に応じて提出できるようにしなければならない。(詳しくは第8条および第18条参照)
製造者は、火工品が適用される要件に適合していることを示すため、規則 (EC) No 765/2008に定めるCEマーキングを当該火工品に表示しなければならない。(第19条)
CEマーキングは、火工品本体に、見やすく、判読可能で、消えない方法で表示しなければならない。火工品の性質上それが困難または不適当な場合には、包装および添付文書に表示しなければならない。
CEマーキングは、火工品をEU市場に上市する前に表示しなければならない。(詳しくは第20条参照)
事業者は、火工品が不適合、または危険火工品であることが判明した場合には、加盟国の市場監視当局から、直ちに是正措置を講じること、または市場からの撤去、リコールの実施を求められる。(詳しくは第39条参照)
事業者は、CEマーキング、EU適合宣言、技術文書、表示情報などの行政上の要求事項に不備が認められた場合、加盟国によってその不適合の是正を求められる。(詳しくは第42条参照)
加盟国またはEUレベルで保護措置手続が開始された場合、事業者は調査や是正措置に協力し、当局の要請に応じて情報提供や対応を行わなければならない。(詳しくは第40条および第41条参照)
事業者は、本指令に違反した場合、加盟国の国内法に基づく罰則の対象となり得る。また加盟国はこの罰則に、重大な違反に対する刑事罰を含めることができる。(詳しくは第45条参照)
目次
前文
第1章 総則
第1条 目的
第2条 適用範囲
第3条 定義
第4条 自由流通
第5条 市場提供
第6条 火工品の種類
第7条 年齢制限およびその他の制限
第2章 経済事業者の義務
第8条 製造者の義務
第9条 トレーサビリティ
第10条 車両用火工品を除く火工品の表示
第11条 車両用火工品の表示
第12条 輸入者の義務
第13条 流通業者の義務
第14条 輸入者および流通業者に製造者の義務が適用される場合
第15条 経済事業者の識別
第3章 火工品の適合性
第16条 適合推定
第17条 適合性評価手続
第18条 EU適合宣言
第19条 CEマーキングの一般原則
第20条 CEマーキングおよびその他の表示の貼付条件
第4章 適合性評価機関の通知
第21条 通知
第22条 通知当局
第23条 通知当局に関する要件
第24条 通知当局の情報提供義務
第25条 通知機関に関する要件
第26条 通知機関の適合推定
第27条 通知機関の子会社および下請け
第28条 通知申請
第29条 通知手続
第30条 通知機関の識別番号および一覧
第31条 通知内容の変更
第32条 通知機関の適正に対する異議申立て
第33条 通知機関の運営上の義務
第34条 通知機関の決定に対する不服申立て
第35条 通知機関の情報提供義務
第36条 各加盟国当局間における経験交換
第37条 通知機関の調整
第5章 火工品のEU域内市場監視、域内市場流入管理、EU保護措置手続
第38条 火工品の市場監視および域内市場流入管理
第39条 危険火工品への国内レベルの対応手続
第40条 EU保護措置手続
第41条 健康または安全への危険を有する適合火工品
第42条 形式的不適合
第6章 実施権限
第43条 実施行為
第44条 委員会手続
第7章 経過規定および最終規定
第45条 制裁
第46条 経過規定
第47条 国内法の制定および公布
第48条 廃止
第49条 施行日
第50条 宛先
附属書I 必須安全要求事項
附属書II 適合性評価手続
附属書III EU適合宣言
附属書IV 廃止される指令および適用日
附属書V 対照表(旧指令2007/23/ECとの対照)
基礎情報
| 法令(現地語) | |
| 法令(日本語) | 火工品の市場提供に関する加盟国の法令の調和に関する2013年6月12日付け欧州議会および理事会指令(EU)No 2013/29 |
| 公布日 | 2013年06月28日 |
| 所管当局 | 欧州委員会 域内市場・産業・起業および中小企業総局 |
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