解説南アフリカ-国家遺産法

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法令の情報時期:2000年3月 統合版 ページ作成時期:2025年2月

目的

目的

この法律は、唯一無二であり貴重な、かつ再生不可能な国家遺産の適切な管理を促進し、地域社会がその遺産を管理・保存し、将来の世代に継承できるようにすることを目的とする。

概要

概要

この法律では、唯一無二であり貴重な、かつ再生不可能な国家遺産の適切な管理を促進し、地域社会がその遺産を管理・保存し、将来の世代に継承できるようにすることを目的として、国家遺産の管理のために統合的かつ双方向的なシステムを導入する。

あらゆるレベルで良き政府を推進し、市民社会が文化遺産を育み、保存して将来の世代に引き継ぐことができるように権限を与える。

具体的には、共和国全体の文化管理を統制するための一般原則、南アフリカにおける文化遺産の特定、評価、管理用の統合システムの導入、南アフリカ文化遺産庁および評議会設立、国家的重要性をもつ遺産の輸出および外国から違法に輸出された文化財の共和国への輸入の管理、地方当局による保存に値する場所と地域の保護および管理、ならびにそれに関連する事項等について規定する。

注目定義

■ 「文化遺産」(heritage resource)

「文化遺産」とは、文化的に重要な場所または物をいう。(第2条)

■ 「文化的重要性」(cultural significance)

「文化的重要性」とは、美的、建築的、歴史的、科学的、社会的、精神的、言語的または技術的な価値または重要性をいう。(第2条)

■ 「考古学的」(archeological)

「考古学的」とは、次のものをいう。(第2条) (a)人間の活動によって生じた物質的遺物で、使用されていない状態であり、陸上にあり、100年以上前のもの(工芸品、人間およびヒト科の遺物、人工の特徴および構造物を含む) (b)固定された岩の表面または不安定な岩または石に、人間の行為によって描かれた100年以上前の絵画、彫刻、またはその他の図画表現によるあらゆる形式の岩絵、およびその表現から10メートル以内の領域 (c)残骸とは、南アフリカの陸上、内水、領海、または共和国の海洋文化ゾーン(それぞれ1994年海洋ゾーン法(1994年法律第15号)の第3条、第4条および第6条で定義)で難破した船舶または航空機、またはその一部、およびそれらに関連して発見または関連する貨物、残骸、または工芸品で、60 年以上前のものであるか、またはSAHRAが保存に値すると見なすもの。 (d)軍事史に関連する75年以上前の建造物、構造物、および工芸品、およびそれらが発見された場所。

■ 「古生物学的」(palaeontological)

「古生物学的」とは、工業利用を目的とした化石燃料または化石を含む岩石以外の、地質学的過去に生息していた動物または植物の化石化した遺物または化石の痕跡、およびそのような化石化した遺物または化石の痕跡を含む場所をいう。(第2条)

■ 「保存」(conservation)

「保存」とは、文化遺産に関して、その文化的価値を守るために場所や物の保護、維持、保全および持続可能な利用を行うことをいう。(第2条)

■ 「生きた遺産」(living heritage)

「生きた遺産」とは、継承された文化の無形の側面をいい、次のものが含まれる。(第2条) (a)文化的伝統 (b)口承史 (c)演技・演奏 (d)儀式 (e)民衆の記憶 (f)技能および技術 (g)先住民族の知識体系 (h)自然、社会、および社会関係に対する総合的なアプローチ

適用除外(対象外・猶予・免除等)

第38条(1)にあてはまる、SAHRAによって正式に保護されている文化遺産に影響を及ぼす開発については、同条(7)~(9)に従いSAHRAが別途決定しない限り適用されない。(第38条)

事業者が注意すべき内容

本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。
ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
文書登録、文書管理、文書作成

■ 第38条(7)~(9)に従い、下記のいずれかに該当する開発を行う事業者は、開発を開始する最も早い段階で、管轄の文化遺産当局に通知し、提案された開発の場所、性質、範囲に関する詳細を提出しなければならない。(第38条)

(a)長さ300メートルを超える道路、壁、送電線、パイプライン、運河またはその他類似の形態の直線的開発または障壁の建設
(b)長さ50メートルを超える橋梁または類似の構造物の建設
(c)下記(i)~(iv)のいずれかの敷地の特性を変更する開発またはその他の活動
(i)面積が5,000平方メートルを超える土地
(ii)3つ以上の既存のエルヴェン*(*訳者注:区画された土地)またはその小区画に関わるもの
(iii)過去5年以内に統合された3つ以上のエルヴェンまたはその分割に関わるもの
(iv)費用がSAHRAまたは州の文化遺産当局の規則で定められた額を超える場合
(d)面積が10,000平方メートルを超える敷地の再区画
(e)SAHRAまたは州の文化遺産当局の規則で規定されているその他の分類の開発

情報伝達、連絡

開発者、または農業活動の過程で考古学的または古生物学的物体または資料、または隕石を発見した者は、直ちに作業を中止し、管轄の文化遺産当局、または最寄りの地方自治体の事務所または博物館に報告しなければならない。(第38条)

目的

他の法律の規定に従い、開発またはその他の活動の過程で、これまで存在が知られていなかった墓の場所を発見した者は、直ちに活動を中止し、その発見について管轄の文化遺産当局に報告しなければならない。(第36条)

資格、認定

いかなる者も、外国の文化財を、税関の入国港を経由し当該物品の原産国で発行された輸出許可証またはその他の許可を税関職員に提示しなければ南アフリカに輸入することはできない。(第33条)

目次

第1条 適用範囲および解釈
第2条 定義

第1章 国家遺産管理制度
第1部 一般原則
第3条 国家遺産
第4条 適用範囲
第5条 文化遺産管理の一般原則
第6条 文化遺産管理の原則
第7条 文化遺産の評価基準および格付け
第8条 国家遺産の識別と管理における文化遺産庁および地方当局の責任および権限
第9条 国家および支援団体の権利および義務ならびに免責事項
第10条 手続きにおける一般原則
第2部 文化遺産庁の構成、役割、権限および義務
第11条 南アフリカ文化遺産庁(SAHRA)の設置
第12条 SAHRAの目的
第13条 SAHRAの役割、権限および義務
第14条 SAHRA評議会の設立および構成
第15条 評議会議長
第16条 評議会の役割
第17条 評議会会合
第18条 評議委員
第19条 評議会員および評議委員の経費補償
第20条 評議会の従業員
第21条 財務および資産
第22条 活動報告
第23条 地方文化遺産庁の設置
第24条 地方文化遺産庁の役割、権限および義務
第25条 文化遺産庁の一般的な権限および義務
第26条 文化遺産庁の役割または権限の委任

第2章 文化遺産の保護および管理
第1部 正式保護
第27条 国家遺産地および地方遺産地
第28条 保護地域
第29条 暫定保護
第30条 遺産登録
第31条 遺産地域
第32条 遺産対象物
第2部 一般的保護
第33条 外国法に基づく保護対象物の輸入
第34条 構造物
第35条 考古学および古生物学資料および隕石
第36条 墓地および墓
第37条 公共の記念碑および追悼碑
第38条 文化遺産管理
第3部 管理
第39条 国家遺産の目録
第40条 国家遺産支援プログラム
第41条 遺産対象物の返還
第42条 遺産協定
第43条 遺産保存の報奨
第44条 保護された遺産の展示
第45条 強制修繕命令
第46条 所有されている遺産の収用
第47条 一般政策

第3章 一般規定
第1部 執行、上訴、違反行為および罰則
第48条 許可
第49条 上訴
第50条 遺産検査官の任命と権限
第51条 違反行為および罰則
第2部 その他
第52条 通知
第53条 大臣または地方執行委員会(MEC)による権限の委任
第54条 地方当局による条例
第55条 責任の制限
第56条 共和国外での権限行使
第57条 地方法の適用性
第58条 経過規定およびこれに伴う改正
第59条 関連法の制定
第60条 廃止法令
第61条 本法令の略称

基礎情報

法令(現地語)

NATIONAL HERITAGE RESOURCES ACT, 1999

法令(日本語)

国家遺産法

公布日

1999年4月14日

所管当局

南アフリカ文化遺産庁(SAHRA)

 

 

作成者

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 株式会社先読+英語翻訳者(作業者名 齋藤由貴子)

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