DHSの米国市民権・移民局、第一種就労許可証を持つ外国人を適切に審査・選択できるようにIFRの改正を発表
2025年10月30日、国土安全保障省(DHS)の米国市民権・移民局(USCIS)は、特定の就労許可カテゴリーにおいて、就労許可証(I-766 employment authorization documents(EAD))の更新申請を行った外国人に対して、就労許可証の有効期間の自動延長を終了させる暫定最終規則(Interim final rule)を連邦官報で発表しました。具体的には、新たに就労許可期間やI-766 EADが付与される前に、USCISが就労許可証を持つ外国人を適切に審査・選択する時間を取ることができるように、IFRが改正されています。
ただし、このIFRは、2025年10月30日以前に自動的に延長されたI-766 EADなどには影響しません。米国において米国人以外の労働者の雇用などを行っている事業体は注意が必要です。このIFRは2025年10月30日より発効されています。この改正に関する意見は、2025年12月01日まで受け付けられています。
このIFRの背景
外国人が米国で就労を許可されるかどうかは、当該外国人の移民ステータスまたは就労許可を認めるその他の条件(例えば、難民申請が係属中であること、または執行猶予の許可を得ていることなど)によって決まります。DHSの規則では、米国での就労資格が認められる外国人は以下の3つのカテゴリーに分類されます。
- 第一種(8 CFR 274a.12(a)に規定):該当する外国人は、あらゆる雇用主のもとで就労が許可され、自営業に従事することも認められています。ただし、特定のカテゴリーの外国人については、就労許可の証拠となるI-766 EADを取得するために、USCISへ申請を必要とする場合があります。この種の対象は、「難民として認められた外国人(A03)」「亡命を認められた外国人(A05)」「移民国籍法(INA)に基づき永住権を付与された外国人の親または扶養子女として認められた外国人」などが含まれます。
- 第二種(8 CFR 274a.12(b)に規定):通常この許可は特定の雇用主のもとでのみ有効とされています。このカテゴリーの外国人には、米国における就労許可ステータスを示す入国・出国記録(I-94フォーム)が発行され、ほとんどの場合、就労許可の証拠に関する別途の申請を行う必要はありません。
- 第三種(8 CFR 274a.12(c)に規定):I-765 EADによって必ず申請する必要があります。一定の制限の下で、あらゆる雇用主のもとで就労が許可され、自営業に従事することも認められています。
大統領令(E.O.)14159「アメリカ国民を侵略から守る」は、DHS長官に対し、「雇用許可は移民国籍法(INA)第274A条(8 U.S.C. 1324a)に準拠した方法で交付され、米国における不法滞在外国人には雇用許可が公布されないこと」を指示しています。また、大統領令14161号「外国テロリスト及びその他の国家安全保障・公共安全上の脅威から米国を保護する」は、その第2条においてDHS長官に対し、「米国への入国を申請する外国人、または既に米国にいる外国人全員が、可能な限り最大限の審査と選択を受けること」を指示しています。今回のDHSより発表されたIFRは、これらの大統領令の指示との整合性が図られています。
このIFRにおける改正点
このIFRは、以下の変更が行われました。
- DHSは、連邦規則集(8 CFR 274a.13(d))の見出しを改訂し、最大540日間の自動延長期間が2025年10月30日以前に提出された更新用I-766 EAD申請にのみ適用されることを明確にしました。ただし、DHSはこの項についてその他の変更は行っていません。
- DHSは、新たな8 CFR 274a.13(e)を追加しています。具体的には、8 CFR 274a.13(d)、法律、または連邦官報による一時保護ステータス(TPS)関連の就労書類に関する公示がない限り、失効済みまたは失効予定のI-766 EADの有効期間は、2025年10月30日以降に提出された更新用EAD申請によって自動的に延長されないことを規定しました。
この変更により、今後更新用I-766 EADの申請をおこなっている外国人労働者は、EADの交付が出される前に、より時間をかけて審査され、選択されることになります。労働者の雇用に関係している事業体は注意が必要です。
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