消費者の安全を保護するため
2025年10月07日、工業省は中央システム(Law Portal)上で3つの工業製品に対するタイ工業規格(TIS, Thailand Industrial Standards)を任意規格から強制規格に引き上げるための省令草案3件に対するパブリック・コメントの公募を行いました。本記事ではこれら3件の省令草案について紹介いたします。
対象となるタイ工業規格
今回の措置は規制をより強化するためのもので、対象のタイ工業規格は以下の通りです。
「工業省令草案 自動車用ホイールは規格を満たす必要がある旨を定める」
本省令草案に対するパブリック・コメントの公募期間は2025年10月07日から11月05日まででした。
昨今、規格検査を受けていないホイールの使用や既存のホイールとの交換が数多く判明しています。こうしたホイールが規格や品質基準を満たしていない場合、重篤な事故に繋がる可能性があること、また、現段階ではこれらの使用の安全性を管理・監督機関が存在していないことから、現在任意規格であるTIS 3506-2565を強制規格に引き上げる本省令草案が起草されたものです。
「工業省令草案 調理用ガスに使用するゴム管およびプラスチック管は規格を満たす必要がある旨を定める」
本省令草案に対するパブリック・コメントの公募期間は2025年10月07日から10月29日まででした。
昨今、規格外もしくは悪品質な調理ガス用ゴム管・プラスチック管や、通常のゴム管・プラスチック管を改造して調理に使用しているケースが多く判明しています。これらが規格や品質基準を満たしていない場合、爆発や火災を引き起こすなどの安全性のリスクが生じること、また現段階ではこれらの使用の安全性を管理・監督機関が存在していないことから、現在任意規格であるTIS 895-2567を強制規格に引き上げる本省令草案が起草されたものです。
「工業省令草案 携帯用消火器:二酸化炭素は規格を満たす必要がある旨を定める」
本省令草案に対するパブリック・コメントの公募期間は2025年10月07日から10月29日まででした。
昨今、携帯用の二酸化炭素消化器はさまざまな公共の場で使用されていますが、規格を満たさないものであったり品質が劣悪なものである場合、重篤な事故に繋がる可能性と安全性のリスクあります。また、現段階ではこれらの使用の安全性を管理・監督機関が存在していないことから、現在任意規格であるTIS 881-2567を強制規格に引き上げる本省令草案が起草されたものです。
タイ工業規格(TIS, Thailand Industrial Standards)番号とは
タイ工業規格(TIS, Thailand Industrial Standards)はタイの工業分野における標準化を進めることを目的として制定されたもので、1969 年に施行された「仏暦2511年(西暦1968年)工業製品規格法」に基づきタイ工業規格局(TISI, Thai Industrial Standard Institute)が管轄しているタイの国家規格です。そしてこの国家規格をクリアした工業製品に付与される番号をTIS番号と言います。
TIS番号は工業製品の標準化による世界市場での競争力の強化、そして消費者保護を目的としたもので、製品の製造ガイドライン、技術上の必須要件となる安全認証の役割を担っています。各製品分野での必要性に応じて強制規格と任意規格の2種類を展開しており、強制規格がある製品に対する要件は特に厳しいものとなっています。各規格の概要は下記の通りです。
▪強制規格
-法律に基づく遵守が義務付けられている規格
-強制規格に該当する製品は認証を取得しない限りタイ国内での販売が許可されない
-タイに製品を輸入する場合は、事前にタイ工業規格協会(TISI, Thai Industrial Standard Institute)から認証を受け、通関前に製品に強制規格認証マークを取り付ける必要がある
▪任意規格
-タイ国内の生産者が任意で申請できる品質認証規格
-規格基準を満たし、消費者または購入者に製品の品質を保証することにより他製品との差別化が可能となる
任意規格と強制規格制定の手続き
タイではまず対象の製品に対しTIS規格番号を制定する工業省告示が発出され、この時点で規格は任意規格として制定されます。その後必要が生じた場合に、対象の工業製品を規格の全部もしくは一部に遵守することを義務付ける(=強制化する)省令が発行され、強制規格に変更されます。上述の3つの省令草案はこの手続きを踏むために起草されたものとなります。
参考情報
「工業省令草案 自動車用ホイールは規格を満たす必要がある旨を定める」
意見募集は2025年10月07日から11月05日まで
「工業省令草案 調理用ガスに使用するゴム管およびプラスチック管は規格を満たす必要がある旨を定める」
「工業省令草案 携帯用消火器:二酸化炭素は規格を満たす必要がある旨を定める」
意見募集は2025年10月07日から10月29日まで
注目情報一覧
新着商品情報一覧
調査相談はこちら
概要調査、詳細調査、比較調査、個別の和訳、定期報告調査、年間コンサルなど
様々な調査に柔軟に対応可能でございます。
- ●●の詳細調査/定期報告調査
- ●●の他国(複数)における規制状況調査
- 細かな質問への適宜対応が可能な年間相談サービス
- 世界複数ヵ国における●●の比較調査 など