EU|欧州化学品庁(ECHA)、REACH料金規則の改正に基づき、中小企業(SME)がREACH登録や認可申請を行う前に企業規模の事前検証申請の実施義務化を公表
REACH制度、申請前の企業規模の自己検証が義務付け
2025年10月16日、欧州化学品庁(ECHA)は欧州委員会によるREACH料金規則の改正に基づき、中小企業(SME)はREACH登録や認可申請を行う前に、企業規模の検証の申請を行うことが義務付けられたと公表しました。これにより、SMEは割引料金を受けるためには事前に認定を得る必要があります。一方、大企業については標準料金と手数料が19.5%引き上げられることになりました。
背景
■ REACH制度は、化学物質の登録・評価・認可・制限に関するEUの包括的な規則であり、企業の規模によって料金体系が異なります。従来、中小企業が申請時に自己申告ベースで割引料金を適用できていたため、後から規模の誤認や不正申告が判明するケースがあり、欧州化学品庁(ECHA)による事後検証が必要となっていました。
■ この問題を是正し、より透明で公平な料金体系を確立する必要が指摘されていました。
■ 欧州委員会は2025年10月15日に改訂規則を採択しており、EU官報での公布から20日後に発効します。新たな事前検証(ex-ante verification)手続きは、発効から15か月後、すなわち2027年2月5日から適用が開始されます。それまでは、現行の事後的な検証制度が引き続き適用されます。
概要
■ 最大の変更点は、中小企業がREACH提出前に「企業規模の検証」を受けることが義務化された点です。SMEが登録または認可の申請を行う場合、提出の少なくとも2か月前に企業規模の検証申請を行わなければなりません。
■ 欧州化学品庁(ECHA)は必要書類を受領してから2か月以内にSME資格を確認します。認定を受けられない場合には、欧州化学品庁(ECHA)管理委員会が定める行政手数料が課される可能性があります。
■ 認定されたSME資格は欧州化学機関(ECHA)の決定日から3年間有効とされ、企業規模に変更がない場合には、初回の更新を自己申告で行うことが可能です。ただし、この更新も有効期限の2か月前までに手続を開始する必要があります。
■ 欧州化学品庁(ECHA)は、申請企業が期限内に提出を完了できるよう、できるだけ早期に検証手続きを開始するよう呼びかけています。また、事前検証の準備を支援するための具体的なガイダンスを今後段階的に公表する予定です。
■ 一方で、料金面にも変更があります。大企業に適用される標準料金および手数料は、2021年から2023年にかけての平均年間インフレ率を反映し、19.5%引き上げられます。中小企業の競争力を確保する観点から、この料金引き上げは大企業のみに適用され、中小企業は影響を受けません。新しい料金水準は2025年11月5日から施行されます。
■ 今回の改正により、SMEは提出前に企業規模の検証を受けるという新たな手続き的負担を負う一方で、一度認定されれば3年間の有効期間が与えられることで、長期的には負担軽減にもつながります。つまり、制度全体としては、手続きの透明性向上と不正防止を図りつつ、正当にSMEである企業の保護と予見性の向上を両立させる内容となっています。
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