2025.11.12
EU|大型車両に搭載される燃料・エネルギー消費量、走行距離および車両総重量を監視・記録する実施規則の公布
大型車両の燃料・電力消費および総重量について
2025年10月31日、大型車両に搭載される燃料・エネルギー消費量、走行距離および車両総重量を監視・記録するためのOBFCM(オンボード燃料・エネルギー消費モニタリング)装置に関する詳細要件を定める実施規則(EU)2025/2161がEU官報にて公布されました。これにより、メーカーや型式認証当局は新しい技術仕様に基づいて車両設計および認証手続きを行う必要が生じます。
背景
■ 大型車有害物質排ガス規則(Euro VI)(EC)595/2009は、大型ディーゼル車両等の排出ガスに関する基準を定めるものです。近年において、EUでは温室効果ガス削減および燃費効率の向上を目的として、車両の実際の使用時データの把握を重視する方向に政策が進んでいます。
■ すでに乗用車や小型商用車ではOBFCMデータの収集が義務化されていることを踏まえ、EU域内でのエネルギー使用効率やCO2排出削減目標をより精緻に評価し、将来の環境政策に反映させ、それと同時に車両メーカーが自社の実走行データを正確に取得・報告できる体制を整備するためにも、この流れを大型車両にも拡大する必要性が指摘されていました。
概要
■ 本実施規則(EU)2025/2161は、大型車有害物質排ガス規則(Euro VI)(EC)595/2009第5条に基づき、主に大型車両(heavy-duty vehicles)に関するOBFCM装置の要件を明確に定義するものです。
■ 大型車両のメーカーは全ての新型車に、燃料や電力の消費量、走行距離、総重量を継続的に測定・記録するOBFCM(オンボード燃料・エネルギー消費モニタリング)装置を搭載することが義務化されます。装置は規則で定められた精度・通信仕様・データ形式に従って設計し、型式認証の際にその性能を証明しなければなりません。これにより、燃費や排出の測定が実験値ではなく実走行データに基づくものへと変わります。
■ 加盟国の型式認証当局は、各メーカーが提出する装置仕様と計測結果を審査し、規則の要件を満たすか確認する義務を負います。従来よりも審査対象が拡大するため、技術的評価能力やデータ検証手続きの強化が求められます。また、車両に搭載されたOBFCM装置は、データの記録方法や保存期間に関する要件も定められており、メーカーはこれを遵守するためにシステム管理や社内監査の体制を再構築する必要があります。
■ 製造段階において、新たなハードウェア設計とソフトウェア統合が必要になり、型式認証に要する準備期間や試験コストが増加します。一方で、運輸事業者や車両ユーザーに対しては、特段の報告義務は課されていませんが、車両のOBFCM装置を通じて消費データが把握されることで、車両運用の効率化やメンテナンス計画の高度化が可能になります。
■ 本実施規則に基づき、従来の「試験室基準での燃費評価」から「実走行データに基づく環境性能評価」へと転換が進みます。
参考情報
注目情報一覧
新着商品情報一覧
調査相談はこちら
概要調査、詳細調査、比較調査、個別の和訳、定期報告調査、年間コンサルなど
様々な調査に柔軟に対応可能でございます。
- ●●の詳細調査/定期報告調査
- ●●の他国(複数)における規制状況調査
- 細かな質問への適宜対応が可能な年間相談サービス
- 世界複数ヵ国における●●の比較調査 など