USPTO、当事者間レビュー(IPR)および特許付与後レビュー(PGR)手続きの実施規則を改正する規則案策定通知を発表
2025年10月17日、米国特許商標庁(USPTO)は、2024年04月19日付で連邦官報に掲載された規則制定案公示(NPRM、89 FR 28693)を撤回しました。これにより、特許審判部(PTAB)が行う当事者間レビュー(IPR)および特許付与後レビュー(PGR)手続きの実施規則を改正する規則制定案(NPRM)が撤回されました。また、同日、撤回されたNPRMの代わりとなる新たなIPR・PGF手続きの実施規則案が連邦官報で公表されました。
この新たな実施規則案で、USPTOは、特許紛争における公平性、効率性、予測可能性の促進を図るため、訴訟で争われたことがない特許審査、または訴訟が早期に解決された特許審査に関して、有効となる必要項目を追加するなど新たな手続きを提案しました。一般からの意見は、2025年11月17日まで募集されていました。
特許審判部(PTAB)とは
米国特許庁(USPTO)の特許審判部(Patent Trial and Appeal Board、PTAB)とは、2012年のアメリカ発明法(AIA:America Invents Act)により設置された組織で、特許に関する審判を、裁判所に行く前に、専門家が審理する場として機能しています。特許に関する審判、例えば、審査不服申立て(Appeal)、特許の有効性を争う審理(AIA Trials)、発明者の認定などを行う、USPTO内部の「準司法機関」です。
当事者間レビュー(Inter Partes Review、IPR)とは、特許の有効性を争う最も一般的な手続きで、文献や先行技術に基づいて「特許は無効では?」と第三者が特許の有効性を争う審理を申し立てることができます。一方、特許付与後レビュー(Post-Grant Review、PGR)とは、特許発行直後に広く無効理由を主張できる手続きを言います。PTABが行うこれらレビューによって「裁判より早くて費用が低く」、「技術と特許法の専門家が判断される」ことからこれら手続きは広く用いられ、米国における特許戦略においてIPRとPGRの対策が非常に重要となっています。
今回提案された改正点
USPTOは、近年の特許申請件数の増加に伴い、1つの特許に対して連続的または並行的にIPRで有効性異議申立てが行われた場合、米国の特許の信頼性が落ちたり、IPRと地方裁判所訴訟で同一の争点が扱われてそれぞれの機関が疲弊したりすることを、問題視しています。
2025年10月17日、USPTOは、IPRでの特許紛争における公平性、効率性、結果の予測可能性を上昇させるため、連邦規則集37巻パート42(37 CFR part 42)の§42.108「当事者間レビュー(IPR)手続きの開始」に、以下の(d)~(f)項を追加した実施規則案を提案しました。
(d) 効率性に関する必須の合意
(e) 先行する手続きにおいて有効と認められた請求項目
(f) 並行訴訟
この時、PTAB では、IPRに対する、年間推定回答数を1,300件と見積り、その回答には相当の時間(推定年間回答者負担時間、157,300時間)とコスト(推定年間回答者時間当たりコスト負担額、70,313,100ドル)を見積っています。そのため、上記(d)~(f)に関して、以下の(1)~(4)を含んだ回答を、一般から2025年11月17日まで募集しました。
(1) 特許に関するPTABの(d)~(f)の情報収集が、PTABの適切な判断の遂行に必要であるかどうか、当該情報が実用的な有用性を持つかどうかの評価。
(2) PTABによるこれら情報収集の負担に関する見積もりの正確性の評価。これには、使用された方法論及び仮定の妥当性を含む。
(3) PTABが収集するこれら情報の質、有用性、および明確性を向上させる方法。
(4) PTABによるこれら情報収集の負担を最小限に抑える方法。これには、適切な自動化、電子的、機械的その他の技術的収集手法、またはその他の提出方式を含む。
米国において、特許申請に関わるすべての事業体は、この内容に注意が必要です。
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