EU理事会、不安定労働に焦点を当てた、メンタルヘルスと雇用の相互関連性に関する結論を承認
2023年10月09日、EU理事会は不安定労働に焦点を当てた「メンタルヘルスと雇用の相互関係」に関する結論を初めて承認しました。メンタルヘルスが労働者が提供する仕事の質と生産性にとって大きな影響をもたらすことを考慮し、加盟各国に対して安定した労働環境創出のための対策を求める内容になっています。
背景
メンタルヘルスはEUを含む世界全体で大きな問題となっており、国連2030アジェンダにおいても、全ての労働者に安全で労働環境を提供することが持続可能な発展目標の1つとして挙げられています。
実際に、2022年にはEUの労働者の27%がストレス、うつ病、不安など精神的な負担に苦しんでいました。さらに、コロナ禍の影響により、ストレスや精神障害に関連するリスク要因は増加しています。
そして、メンタルヘルスと労働には密接な関係が存在します。仕事の能力と生産性を高めるにはメンタルヘルスを良好に保つことが重要です。
その一方で、労働における心理的リスクはメンタルヘルスに悪影響をもたらします。不安定労働や低賃金な仕事が、不安やうつ病などの障害につながる可能性が指摘されています。
また、2023年06月07日には、欧州委員会がメンタルヘルスに対する包括的なアプローチに関する通達について採択しています。
メンタルヘルスへの取り組みを強化することは、スペインにおいて優先事項として掲げています。
概要
スペインの労働・社会経済担当大臣ヨランダ・ディアス・ペレス氏は、不安定な労働環境の改善は、労働における心理的リスクに大きな効果を発揮すると述べています。この認識は、メンタルヘルスの重要さを正しく理解し、労働者が心理的な幸福を獲得できる環境構築にとって重要な進展です。
欧州理事会は加盟国に対して下記の含むいくつかの対策の実施を促しています。
- 不安定な労働環境に対抗するための質の高い雇用政策を促進する
- 労働におけるメンタルヘルスを保護するための公共システムを強化する
- 労働におけるメンタルヘルスに関する研究を促進する
- メンタルヘルスの問題を抱える労働者の採用や復帰をサポートする
- 自営業者や中小企業の労働における心理的リスクを防ぐためにサポートする
また、欧州理事会は欧州委員会に対しても下記施策の実施を呼びかけています。
- 労働における精神的リスクに対処するための適切な政策を検討する
- 予防措置としての「つながらない権利」(勤務時間外に電子メールやメッセージなどの仕事に関連した電子通信に従事しなくていいなど、労働から切り離される権利)を検討する
- 労働における精神的リスクを改善する国の取り組みのサポートを促進する
さらに、雇用者、従業員、労働組合などに対しては労働条件をよりよくするための対話を進め、心理的な幸福を達成するための認識を養っていくことが求められています。
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