意匠保護の現代化と利便性の向上、欧州商標規則との調和 、及び域内でのスペアパーツ保護が目的
2024年11月18日付けで、欧州官報にて意匠に関する規則(EU) 2024/2822、及び意匠の法的保護に関する指令(EU) 2024/2823が公布されました。規則及び指令とも公布の20日後に発効します。
規則(EU) 2024/2822は、2025年05月01日に適用となり、規則(EU) 2246/2002は同日に廃止となります。施行規則や委任規則等の二次規定よって定められる部分については、2026年07月01日からの適用となります。
指令(EU) 2024/2823は、2027年12月09日までに加盟国により国内法化されます。
改正規則と改正指令は、それぞれ2002年と2002年に制定された現行法を更新し、EU全域での意匠登録手続きを容易にし、EUと各加盟国の制度間の手続きをさらに調和させるもので、EU全域での修理条項の導入や、3Dプリンターで複製可能な意匠を保護するための新しいルールの導入などを含んでいます。
背景
この改正規則と改正指令は、欧州委員会が2020年11月に発表した知的財産行動計画で示した行動のうちの「EU 意匠保護の近代化」に沿ったもので、2021年に公開諮問を実施し、2022年11月に欧州委員会が提案したものです。2023年12月05日に政治的合意に達しました。
新しい規則と指針は、工業デザインの保護を促進し、この分野のEU法をデジタルおよび 3Dプリンティングの課題に適応させることを目的として、20年前に制定された意匠法を更新するものです。
概要
概要は以下のとおりです。
1. 修理条項
- スペアパーツに対する意匠権保護の例外が明確化
:
1)自動車などの「複雑な製品」の構成部品が、その製品の元の外観の復元を目的とした修理目的にのみ使用される場合には、EU意匠での保護を享受できません。この例外は、構成部品の外観が複合製品の外観に依存している場合にのみ適用されます。
2) この修理条項は、スペアパーツ市場を自由化を促進し、より低価格で消費者に修理部品の提供を可能にすることを目的としています。 - 規則だけでなく指令にも導入:欧州の意匠制度(規制)と各国の意匠制度(指令)との間に整合性が取れまし
2. 3D印刷
- 意匠権の効力は、登録意匠の3D印刷にも及びます。
- 意匠を記録した媒体またはソフトウェアの作成、ダウンロード、コピー、共有、または 他者に配布することも意匠の侵害行為に該当します。
3. 登録出願窓口
欧州連合知的財産庁 (EUIPO) に直接出願することとなり、各国官庁を通じての出願はできなくなりました。
4. 意匠登録手数料 (附属書 I)
登録料と公告料が統合、複数意匠出願には追加意匠ごとに定額料金が導入されました。
参考情報
注目情報一覧
新着商品情報一覧
調査相談はこちら
概要調査、詳細調査、比較調査、個別の和訳、定期報告調査、年間コンサルなど
様々な調査に柔軟に対応可能でございます。
- ●●の詳細調査/定期報告調査
- ●●の他国(複数)における規制状況調査
- 細かな質問への適宜対応が可能な年間相談サービス
- 世界複数ヵ国における●●の比較調査 など