EU|改正建設製品規則を公布

建設資材の循環型経済への移行促進が目的

2024年12月18日、欧州官報に、改訂建設製品規則 (CPR)(EU) 2024/3110が公布されました。官報掲載の20日後に発効し、一部と除き2026年01月08日に適用となります。旧規則 No.305/211は、一部2040年01月08日に廃止される規定を除き、2026年01月08日に廃止されます。

改正規則は、建設製品につき、資源利用の持続可能性に関する規定を設け、欧州グリーン・ディールならびにデジタル化への対応と、加盟国間の建設製品の規制調和により、競争力が改善、市場参入障壁が低減され、単一市場をさらに強化することが目的です。

CPRは、欧州グリーンディールと循環経済行動計画の一環の位置付けです。

背景

建物は、毎年資源の抽出と消費の約50%、EUの総廃棄物の30%以上を占めています。さらに、建物はEUのエネルギー消費の40%、エネルギー関連の温室効果ガス排出量の36%を占めています。

旧建設製品規則は、環境面の規定は汚染対策などに限られ、資源利用の持続可能性に関する規定は設けられておらず、欧州グリーン・ディールに対応できていませんでした。また、建設資材は、2022年02月に公表された標準化戦略において最も標準化が求められる分野の1つです。

建設製品に関する改正規制は、2020年03月に公表された循環型経済行動計画に従い、エコデザイン規制および持続可能で循環的な繊維に関するEU戦略とともに、欧州委員会が2022年03月30日に発表した一連の措置の一部です。

概要

改正規則の概要は以下のとおりです。

1. 建設資材の必須特性に環境要件導入

安全性能だけでなく、気候関連を含む環境性能の表記方法を規定するとともに、必須特性の閾値などの製品要件に関しても、安全性や機能性に加え、環境面の性能が導入されます。

2. 製品のライフサイクルにおける環境関連情報の開示の義務

製造業者の開示要件は以下のとおりです。

  • 最高水準の環境持続可能性を有する形での製品設計
  • リサイクル済みの原料の優先的利用
  • リサイクル済み原料の最低限の利用とその他の環境持続可能性に関する制限の順守
  • 製品データベースにおいて製品の再利用や修理のための説明

要件への適合を示すために、性能宣言書と自己適合宣言書を作成した上で、製品にCEマーキングを貼付する義務があります。

将来的にデジタルパスポートでの開示となります。

3. 建設製品用デジタルパスポートの導入

建設製品デジタルパスポートシステムの構築が規定されています。製品パスポートシステムの機能と要件は、欧州委員会が別途定める委任規則により規定されます。

4. グリーン公共調達に関する権限

欧州委員会は、建設製品の公共調達に関する委任行為を通じて、環境的に持続可能な製品の供給と需要を奨励するために、必須の最低環境持続可能性要件を定める権限を与られます。

5. 業界標準の設定

欧州委員会が実施規則を通じて、独自に標準化要件が規定されます。

目次

第1章 一般条項
 第1条 主題と目的
 第2条 範囲
 第3条 定義
 第4条 統一技術仕様の開発に向けた作業計画と準備段階
 第5条 性能に関する重要な特性を規定する統一規格
 第6条 基本的な特性を規定するその他の統一技術仕様
 第7条 適合性の推定を授与する製品要件と統一規格
 第8条 適合性の推定を与える共通仕様
 第9条 一般的な製品情報、使用方法、安全情報
 第10条 評価および検証システム
 第11条 統一圏と国家措置 
 第12条 他のEU法との関係

第2章 手順、宣言およびマーキング
 第13条 性能および適合性の宣言
 第14条 性能および適合宣言書の作成免除
 第15条 性能および適合宣言の内容
 第16条 性能および適合宣言書の提供
 第17条 CEマークの一般原則と使用
 第18条 CEマークの貼付に関する規則と条件
 第19条 その他の表示と性能に関する主張

第3章 経済活動者の義務と権利
 第20条 経済活動者の義務
 第21条 製造業者の権利
 第22条 製造業者の義務
 第23条 権限のある代表者の義務
 第24条 輸入業者の義務
 第25条 販売業者の義務
 第26条 製造業者の義務が輸入業者や販売業者に適用されるケース
 第27条 フルフィルメントサービス提供者の義務
 第28条 オンライン市場の義務
 第29条 オンラインおよびその他の遠隔販売
 第30条 経済事業者の義務と権利に関する法律の実施

第4章 欧州評価文書
 第31条 欧州評価文書
 第32条 欧州評価文書の開発と採用の原則と手順
 第33条 欧州技術評価の要請を受けたTABsの義務
 第34条 参考文献の公開
 第35条 欧州評価文書の内容
 第36条 欧州評価文書に対する正式な異議申し立て
 第37条 欧州技術評価

第5章 技術評価機関
 第38条 指定機関
 第39条 TABsの指定、監視、評価
 第40条 TABsの要件
 第41条 TABsの調整

第6章 通知当局および届出機関
 第42条 通知
 第43条 通知当局
 第44条 通知当局に関する要件
 第45条 通知および指定当局の調整
 第46条 届出機関に関する要件
 第47条 届出機関の適合性の推定
 第48条 届出機関の子会社および下請業者
 第49条 届出機関の試験所外の施設の使用
 第50条 通知申請
 第51条 通知手続き
 第52条 届出機関の識別番号とリスト
 第53条 通知への変更
 第54条 届出機関の能力に対する異議申し立て
 第55条 届出機関の業務上の義務
 第56条 届出機関の情報義務
 第57条 届出機関の義務に関する法律の施行
 第58条 届出機関の調整

第7章 簡素手続き
 第59条 型テストと型計算の置き換え
 第60条 小規模企業による簡易手続きの利用
 第61条 特注非シリーズ製品
 第62条 他の届出機関による評価と検証の承認

第8章 市場監視およびセーフガード手順
 第63条 苦情ポータル
 第64条 市場監視当局と単一連絡窓口
 第65条 不遵守に対処する手順
 第66条 連合のセーフガード手続き
 第67条 リスクを伴う適合製品
 第68条 市場監視の調整とサポート
 第69条 費用回収
 第70条 報告とベンチマーク

第9章 情報と行政協力
 第71条 調和のとれた意思決定のための情報システム
 第72条 建設用製品コンタクトポイント
 第73条 人材の育成と交流
 第74条 役割の共有と共同意思決定

第10章 デジタル製品パスポート
 第75条 建設デジタル製品パスポートシステム
 第76条 デジタル製品パスポート
 第77条 デジタル製品パスポートの一般的な要件
 第78条 デジタル製品パスポートの技術設計と運用
 第79条 固有識別子とデジタル製品パスポートレジストリ
 第80条 義務的使用と技術的適応

第11章 国際協力
 第81条 国際協力

第12章 インセンティブと公共調達
 第82条 建設製品に対する加盟国の優遇措置
 第83条 グリーン公共調達

第13章 製品の規制状況
 第84条 製品の規制状況

第14章 緊急時の手続き
 第85条 緊急手続きの適用
 第86条 危機関連建設製品の評価と検証の優先順位付け
 第87条 標準規格と共通仕様に基づく性能の評価と宣言
 第88条 市場監視活動の優先順位付けと当局間の相互支援

第15章 最終条項
 第89条 委任規則
 第90条 委員会手続き
 第91条 電子申請、決定、文書及び情報
 第92条 罰金
 第93条 評価
 第94条 廃止
 第95条 例外規定および経過措置
 第96条 発効

附属書 I 建設工事の基本要件
附属書II 事前に決定された環境の必須特性
附属書III 製品要件
附属書IV 一般的な製品情報、使用方法、安全情報
附属書V 第15条(1)に規定する性能及び適合性の宣言
附属書VI 欧州技術評価の要請および欧州評価文書の採択の手続き
附属書VII 製品ファミリーのリスト
附属書VIII TABsの要件
附属書IX 評価および検証システム (AVS)
附属書XI 訂正表

参考情報

注目情報一覧

新着商品情報一覧

調査相談はこちら

概要調査、詳細調査、比較調査、個別の和訳、定期報告調査、年間コンサルなど
様々な調査に柔軟に対応可能でございます。

(調査例)
  • ●●の詳細調査/定期報告調査
  • ●●の他国(複数)における規制状況調査
  • 細かな質問への適宜対応が可能な年間相談サービス
  • 世界複数ヵ国における●●の比較調査 など
無料相談フォーム

    会社名・団体名

    必須

    ※個人の方は「個人」とご入力ください。

    所属・部署

    任意

    お名前

    必須

    メールアドレス

    必須

    電話番号

    任意

    お問い合わせ内容

    任意

    Page Top